敵地で巨人に連勝も…阪神は「少し不安」 専門家が気になる“飛車角落ち”の「心臓部」
今季は阪神が巨人に12勝7敗、昨季まで5年連続負け越しなし
■阪神 5ー1 巨人(12日・東京ドーム)
阪神は12日、東京ドームで行われた巨人戦に5-1で勝ち、同率首位で迎えた3連戦の1、2戦目を連勝。今季巨人には12勝7敗と分が良く、特に敵地・東京ドームで9勝2敗と圧倒している(本拠地・甲子園では3勝5敗)。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)の4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、今後の優勝争いの展開を読む(成績は12日現在、以下同)。
主軸のバットが火を噴いた。3回1死から3番の森下翔太外野手が巨人先発の左腕・井上温大投手の外角低めのカットボールをとらえると、打球はバックスクリーン右の中堅席上段に飛び込み、推定飛距離134.4メートルの特大28号ソロとなった。続く4番・佐藤輝明内野手も負けじと、真ん中に来たフォークを右翼席へ運ぶ25号ソロを放ち2者連続弾。佐藤は7回にも右中間へ26号ソロアーチを描いた。
阪神は9-1と大勝した前日(11日)には逆に、森下が2発、佐藤が1発を放っており、この2試合で本塁打を3本ずつマーク。東京ドームは森下が打率.375、6本塁打(甲子園では.227、9本塁打)、佐藤も打率.395、3本塁打(甲子園では.303、12本塁打)と相性が抜群にいい。野口氏は「ホームランを打てる今の阪神にとって東京ドームはやりやすいということでしょう。特に森下、佐藤はのびのびとバッティングをしていますよ」とうなずく。
タイトル争いでは今のところ、佐藤が打率.319、75打点で2部門トップ(森下は.291で3位、64打点で2位)。一方、森下は28本塁打でトップに立ち、26本塁打で2位の佐藤を上回っている。野口氏は「森下と佐藤は普段から仲もいいそうで、相乗効果が生まれていると思います。タイトル争いの行方は最後までわかりません」と分析。「佐藤は昨年から強振しなくても芯に当たれば本塁打になることを体得したようで、強振しない分、本塁打数だけでなくコンタクト率も上がっている。6月に月間2本塁打でペースダウンした影響で、本塁打では今のところ森下の後塵を拝していますが、3冠王の可能性も十分あります」と見ている。
左アキレス腱断裂で今季未登板の石井大智は勝負どころの9月に間に合うか
阪神はチーム全体でも今季リーグ最多の89本塁打を量産し、同4位の77本の巨人を上回っている。本塁打が出やすいといわれる東京ドームでは、まるでホームのような戦いぶりである。
そもそも、阪神は昨季まで宿敵の巨人に5年連続で負け越しなし(2024年は12勝12敗1分、それ以外は勝ち越し)。とはいえ、ペナントレースの行方は直接対決だけで決まるわけではない。たとえば、巨人が11勝5敗と圧倒しているDeNAに、阪神は8勝8敗と苦戦していたりする。さらに、仮に阪神がリーグ優勝し甲子園でCSを戦うとなると、東京ドームでの対戦とは様相が変わってくるだろう。
野口氏は「優勝争いの行方もまだ全然わかりません。阪神は藤川球児監督が就任1年目の昨年から『心臓部』と重視しているリリーフ陣に、少し不安があります」と指摘する。
阪神の救援陣は、昨季53試合登板・防御率0.17と無双した石井大智投手が、左アキレス腱断裂で今季未登板。昨季66試合・防御率0.87だった左腕・及川雅貴投手も、今季は防御率4.00と振るわない。守護神の岩崎優投手の防御率も2.78で、例年に比べるといまひとつ。19セーブを挙げているラファエル・ドリス投手も今月7日の中日戦(京セラドーム大阪)では、2点リードの9回に登板して3失点し、今季3敗目を喫した。
野口氏は「ここにきて最速160キロ以上を誇る2人(木下里都投手と工藤泰成投手)が台頭し、非常に楽しみですが、経験の浅いところが今後どう出るかは、やってみなければわかりません」とも。「近々2軍で実戦復帰できそうな石井が、勝負どころの9月に1軍に戻ってこれて、なおかつ昨年並みのパフォーマンスを発揮できるようなら、阪神が一気に抜け出し、日本シリーズまで突っ走る気がします」と注目ポイントを挙げた。
G党、虎党ファン双方にとって、ドキドキ、ワクワクの展開が続く。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

