国内アパレル2位「しまむら」が急成長…「GU」「SHEIN」にはない「独自のビジネスモデル」がカギに

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かつては“安いけどダサい”というイメージが先行していたが、どのようにしてZ世代以降の若者たちの心を掴んだのか?

全国に2200店舗以上を展開する大型衣料品チェーン「しまむら」が、6年連続で過去最高益を更新した。しまむらが公表した2026年3〜5月期の連結決算によると、純利益は128億5700万円で前年同期比19.0%増となっている。現在しまむらは国内のアパレル小売業界において、ユニクロを運営するファーストリテイリングに次いで、売上高2位の地位を確立しているほどだ。

しまむらは“しまラー”や“しまパト”(しまむらパトロールの略)といったワードが生まれたように、現在は若い世代を中心に厚い支持を受けている。そういった背景もあり、公式SNSで新作の発表があると、2000件以上の“いいね”が付くことも珍しくないのである。

低価格で着こなしやすいファッションアイテムはもちろんだが、特に若い女性たちから人気となっているのが豊富なキャラクターグッズ。「サンリオ」や「ちいかわ」など人気キャラクターのグッズが頻繁にリリースされ、店舗によっては“即売り切れ”となるところもあるという。アパレル業界のコンサルティングなどに携わる河合拓氏に解説していただく。(以下「」内は河合氏のコメント)

記事前編は【「しまむら」が過去最高益を更新…「ダサい」イメージが一変、Z世代の心をつかむワケ】から。

メリットは“しまむらバレ”しにくさ

「しまラー」という言葉が生まれた2009年から現在に至るまで若い女性を魅了し続けているしまむらのビジネスモデルとはどんなものなのか。

「まず若い女性たちの心理として、最も避けたいことが“どこで購入したアイテムなのかバレること”です。その点、しまむらには約600社という豊富な種類のブランドの商品が取り揃えられているので、“しまむらバレ”しにくいというメリットがあるのです。

またしまむらには約600社というアパレルや商社に、インフルエンサーが集い、お互い高め合うことで高品質の商品が取り揃えられています。しまむらのビジネスモデルは、大量生産を行うSPA(製造小売業)ではなく、続々と新たな商品がアップデートされるYouTubeのようなものなので、、“宝探し感覚”でショッピングできるというのも若者たちの心をつかんでいる理由の一つでしょう」

リーズナブルに商品を提供できるカラクリ

しまむらがリーズナブルな価格で商品を提供できるワケにはこんな事情もある。

「百貨店など日本の小売業界では一般的に『消化仕入れ』という仕入れ方法が採用されており、売れ残った商品はサプライヤー側に返品が可能となっています。その代わり返品リスクを見越して仕入れ価格が上乗せされます。

一方しまむらは600社のアパレルや商社から『完全買い取り』の仕入れ方法を採用しています。この仕入れ方法だと、商品の供給者側は返品されるリスクがないため、しまむら側に対して返品リスク料を上乗せする必要がなくなり、しまむらは安く仕入れることができるのです。

そして、しまむら単体でも1400店舗以上ありますが、グループ全体では全国に2200店舗以上を展開しており、圧倒的な店舗網があります。完全買い取りだと在庫リスクを抱えやすいですが、しまむらは他の店舗に在庫を循環させて売り切る仕組みがしっかりと構築されているのです」

良いクオリティのものを探す楽しみ

安さで言えば「GU」や「SHEIN」といったブランドもある。そのなかでしまむらが選ばれる理由について河合氏はこう指摘する。

「先述したように、約600社のアパレルや商社から、2200店舗という膨大な店舗にばらまけば、例えば単純に4000枚という大ロットの商品を仕入れても、一店舗あたり2枚弱となり、商品アイテム数が増え、おしゃれに敏感な若い世代の消費者にとってしまむらを選ぶ大きなメリットなのです。GUやユニクロは展開商品数を絞って大量生産をしているため、どうしても“GUバレ”や“ユニバレ”しやすいのです。一方、EC型のSHEINは商品数こそ多いですが、届いた商品を見てみると、生地の質が悪かったり、安さ相応のクオリティであったりすることもあり、世界中から訴訟を受けているところなど、今ひとつ信頼できない。

しかししまむらは、完全買い取りの仕入れによって質のいい商品を安く仕入れて、安く販売することが可能。消費者が直接目で見て、良いクオリティのものを安くその場で納得して手に入れられるというのもまた、しまむらの強さといえるでしょう」

続けて河合氏は現代の若者たちのショッピングにおける感覚についてこう分析する。

「この物価高・低賃金時代において、Z世代以降の若者たちはとにかく“安さ”を重視する傾向にあります。ブランドで服を選ぶという感覚はもはやなく、1円でも安ければ安いほうを迷わず買うのが当たり前になっているのです。そんななか、しまむらの低価格かつアパレル、キャラクターグッズなどの多種多様なアイテム展開は、現代の若者たちのニーズにフィットしたものであると言えるでしょう」

国内市場に特化したビジネスモデル

今年、ユニクロを展開するファーストリテイリングが衣料品の製造小売りで世界2位に浮上することが話題となったが、国内市場ではファーストリテイリングに次いで急成長するしまむら。河合氏はしまむらが今後“世界市場に羽ばたく可能性”についてこう予想する。

「しまむらは2012年に一度中国に進出しましたが、その後撤退しています。しまむらの海外進出が厳しい理由としては、しまむら独自のローコストオペレーション体制が、国内2200店舗超えの圧倒的な店舗網と600に及ぶアパレル・商社などの仕入先のエコシステムに支えられているため、現時点では国内市場でしか勝負できないビジネスモデルになっているということが挙げられます。

しまむらはEC販売が全体のたった2.8%程度のみという、デジタル化に関する課題もあります。今後世界で通用するブランドになるためには、AIといった最新テクノロジーを駆使して、さらなるローコストオペレーションの仕組みを極めていくことが重要となるでしょう」

――余談だがしまむらは昨年12月からタイ・バンコクに「SHIMA Park(しまパーク)」という新業態のポップアップ型店舗を展開している。海外進出も視野に入れているとみられるしまむらが、今後どういった成長ぶりを見せていくのか、引き続き注目したい。

(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)

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