サントリーが「金麦がビールになる」と発表…10月に控えた酒税法改正がビール業界にもたらす影響
「酒税法改正」でビール業界に転換期
今年10月に行われる酒税法の改正をもって、ビール、発泡酒、新ジャンル(第3のビール)の3つのビール系飲料の税率が350ml換算で54.25円に統一される。この改正は、類似する酒類間の税率格差を解消し、公平な税負担を実現することを目的に段階的に進められてきた。従来「新ジャンル」として親しまれてきた商品の多くが価格や製法の見直しを迫られる大きな転換期を迎えている。
サントリー株式会社は、酒税法改正に伴う税率一本化を見据え、主力ブランド「金麦」のビール化および新たな「デイリービール市場」の創造に向けた事業戦略発表会を開催した。2026年1月から6月の国内酒類市場において、サントリーは市場推定を上回る推移を見せた。ビール事業全体では前年比100%となる2,984万ケースを達成し、主要ブランドでは「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドが562万ケース、「サントリー生ビール」ブランドが前年比112%となる346万ケースと好調に伸長した。主力である「金麦」ブランドも前年比101%となる1,378万ケースと着実な成果を上げている。(いずれも大瓶換算)
サントリー「金麦」がビールに
一方で、酒税改正を前に西田英一郎代表取締役社長は「前回、2023年の酒税改正時のお客様の変化を振り返ると、価格が上がる新ジャンルを飲んでいたお客様の『酒離れ』、または『ビール離れ』が発生した。これは当時のビール類市場全体の約4%に相当する規模であった」と警戒感を示す。生活防衛意識や節約志向が高まる消費者のニーズに応えるためにサントリーが行うのが、いままで新ジャンルに分類されていた「金麦」の麦芽比率を上げてビールにすること、および「金麦」を中心とした「デイリービール」市場の創造である。
週末のご褒美や上質な時間を彩る最高峰のクオリティを持つ「プレミアム」、日常の終わりに本格的な満足感を提供する市場の中心軸「スタンダード」、そして手頃な価格でありながら毎日飲むのにふさわしい「デイリー」という3つの区分けを新たに打ち出していく。
西田社長は「エコノミー価格帯でビールを展開し、価格以上の価値を提供する新たな市場を創造する。当社は『金麦』をビール化することで、『手頃な価格で満足感のあるビールを楽しみたい』というお客様の数多くのニーズにしっかりとお応えしていきたい」と話す。
味の進化や価格帯の維持に期待の声
「金麦」は、10月6日より新ジャンル製法からビール製法へと刷新され、正式にビールとして販売される。具体的には小麦スピリッツが抜かれ、麦芽比率が50%以上に上げられる。事前に同社が実施した調査ではエコノミー銘柄を週1以上飲用するユーザーの約6割がビール化に興味があると回答し、味の進化や価格帯の維持に期待の声が寄せられている。
常務執行役員の多田寅ブランド部門長はリニューアルについて「麦芽比率が50%を超えているため、しっかりと『飲みごたえ』が強化された。それとともに、毎日飲んでも飲み飽きない中味の『すっきりとした後味』という部分にもさらに磨きをかけた」と説明する。
原料費やコストが上昇するなかでも、高価格帯のビールに合わせず、新ジャンルと同等レベルの手頃な価格帯を維持する決断をした。これは「金麦」が「たまに飲む特別なビール」ではなく、「日常の晩酌で気軽に飲めるビール」を目指すため。価格上昇を理由に消費者がビールや晩酌文化から離れてしまわないよう、他部分での企業努力によってこの価格帯を実現している。
「食卓になじむ」美味しさ
マーケティング本部ビール・RTD部課長の斎藤圭世氏は「『金麦』は2007年の発売当初から一貫して『日々の食卓に合うビール類』であることを第一に開発されている」と話す。サントリーの調査によると夕食時の食卓出現率はビール類の中でトップクラスであり、旬の食材に合うよう季節ごとに年4回味わいを微調整するほど、食卓との親和性を重視している。景品キャンペーンでもグラスなどではなく、食卓を彩る「あいあい皿」や「花やか皿」を採用するなど、食事の時間を豊かにする提案にこだわっているのが特徴だ。
酒税改正を見越して、5年以上前から「ビール」への変更開発は進められていた。麦芽比率を上げるとコクが出る反面、金麦の強みである「すっきりとした後味」が失われやすくなる。既存ファンの期待を裏切らない絶妙な味わいのバランスを確立するまで、試行錯誤を重ねた。
新ラインナップ「金麦〈豊潤〉」も登場
さらに10月13日には、エコノミーユーザーのなかでコクや飲みごたえを求める層に向けた新ラインナップとして「金麦〈豊潤〉」が追加される。素材には欧州産希少麦芽であるダイヤモンド麦芽を一部使用し、二回煮出すダブルデコクション製法と高い熱伝導率を持つ銅炊き仕込を採用することで、力強い麦の旨みと豊かなコクを実現した。
「ザ・プレミアム・モルツ」をはじめとする「プレミアムビール」で培った醸造技術を取り入れつつも、通常の「金麦」と同価格帯で展開される注目の商品だ。
デイリービールで暮らしを豊かに
同社は金麦リニューアルに向けて最大規模のマーケティング投資を行う。多田氏は「まずお客様にお伝えしなければいけないのは『金麦がビールになった』ということ、そしてもう一つは『ビールになってもスタンダードビールとの価格差はしっかりある』ということ。最大規模のマーケティング投資を投入して、この2点をお客様にしっかりとご認知いただく活動を行っていく」と説明した。
西田社長は「ビール化した『金麦』によって、デイリービール市場を創造することで市場の縮小に歯止めをかけ、ビール類市場の再活性化を図っていきたいと考えている。お客様のニーズにしっかりと寄り添い、進化させた『金麦』を世の中に届けることで、ビールの持つ豊かな生活を提供していくことを目指していく」と話す。
デイリービールとなった「金麦」は私たちの暮らしをより豊かで楽しいものにしてくれるに違いない。
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