クリップ1個から物々交換で一軒家入手目標 NZ男性「拒絶」恐れず毎日人に頼み事

見ず知らずの人からコップ1杯の水をもらう―。ニュージーランド人の男性が「拒絶されかねないことに毎日挑む」と宣言し、他人への頼み事を1年間続けた。個人事業の在宅勤務で他者との関わりが薄れたと感じ「生活に人とのつながりを取り戻そう」と考えた。失敗を恐れ、評価に敏感になりがちな若者に「一歩踏み出して向き合う大切さを伝えたい」と話す。(共同通信シドニー支局=尾崎雅子)
「ラテアートに興味があるので、ここで教えてもらえませんか」。今年2月下旬、同国北島ハミルトンの飲食店でハーマン・ジャグパルさん(28)がコーヒーを入れていたバリスタの女性に切り出した。しばらく考えた女性は熱した牛乳入りの容器を手渡し、注ぎ方を教え始めた。
女性は最初のラテアートに「10点満点中の2点」と辛口採点だったが、「見栄えが悪い時はココアパウダーで覆えばいい」と笑顔で助言した。
ジャグパルさんは2024年末に交流サイト(SNS)で活動開始を宣言。2025年1月1日から毎日、靴ひもやネクタイの結び方を教わろうとしたり、広告用看板の無料使用を願い出たりする「無謀な」頼み事の動画を撮影、投稿を続けた。不審者と警戒され、やりとりの最中に扉を閉じられて断られたこともあった。
会話が途切れても無理に沈黙を埋めずに反応を待ち、追加質問する工夫を重ね、了承してもらえることが増えた。
「ニュージーランド人は親切。だからうまくいくのでは?」。SNSのフォロワーが100万人に迫るとこうしたコメントが目立つように。そこで韓国やインド、フランスなど30カ国を巡り、同じことに挑戦した。1年間の通算成功率は61%。断りつつも親切にしてくれる人もいたとし「親切さは世界のどこにでもある」と語る。
形を変えた挑戦は今も続く。紙クリップ1個を元手に物々交換を開始。最終目標とする一軒家の入手に向け、徐々に高額商品へと交換している。「『挑戦』を通して人生は一変した。今後も臆せず人に尋ねる自信を持ち続けたい」




