ナイキが百貨店と強力タッグ戦略。 アルファ世代 を呼び込む秘訣とは?

記事のポイント
コールズは2026年の米国新学期商戦で、アルファ世代やティーンに人気のナイキを中心ブランドに据えている。
ナイキはD2C重視から方針を転換し、小売各社との関係を再構築して卸売事業の立て直しを進めている。
コールズはナイキへの投資を強める一方、品ぞろえや売場を刷新し、自社ブランドの育成も並行している。
ナイキ(Nike)は、百貨店チェーンのコールズ(Kohl's)が展開する米国新学期商戦の取り組みにおいて、いわば「優等生」といえる存在だ。
2026年の夏から秋にかけて、コールズは品揃えを拡大し、全身コーディネートの提案を打ち出すことで、店舗内に「非常に強いナイキの存在感」をつくり出していると、コールズの最高マーチャンダイジング責任者であるニック・ジョーンズ氏は語る。
コールズはさらに、「トンネルフィット」の文化的な盛り上がりに合わせて、店舗内にナイキをテーマにしたトンネルウォークも設けている。
アルファ世代とティーンに響くナイキ
「ブランド面では、子どもたちがもっとも心を躍らせるブランドに大きく傾注しており、その筆頭がナイキだ」と、コールズの最高マーケティング責任者であるクリスティ・レイモンド氏は、7月8日に報道関係者向けの電話会見で述べた。
「ナイキは、アルファ世代とティーンの買い物客に強く響き続けているブランドであり、トップブランドのひとつだ。したがって当社が注力するのにきわめて適した場所だと考えている」。
ナイキは、パイパー・サンドラー(Piper Sandler)の2025年ティーン調査において、ティーンエイジャーのあいだで衣料品・フットウエアブランドの第1位にランクインしている。
米国新学期シーズンに向けて、コールズの幹部らは、同社が25ドル(約3750円)以下の商品を数千点販売している点をアピールした。ジョーンズ氏は、コールズが「優れたナショナルブランドで、より高い価値を提供できる独自のポジションにある」と述べ、ナイキを「必需品」として強調した。
オンラインでは、米国の新学期特設ページのメインビジュアルにナイキのスニーカーが採用されている。「Nike school」とタグ付けされた商品は300点以上にのぼり、そのなかには15ドル(約2250円)のガールズTシャツや45ドル(約6750円)のボーイズジョガーパンツも含まれる。
キャンペーンのメディア向け広告のひとつでは、ナイキの衣料品、フットウエア、バックパックを身につけた学生のグループが登場する。この広告には、俳優でコールズのアンバサダーを務めるエリー・ケンパーが「コールズ・マム」役として出演している。
卸売立て直しを進めるナイキ
ナイキへの投資を強めているのはコールズだけではない。ナイキは当初、D2Cに注力するため多数の小売パートナーを切り捨てたが、いまは卸売事業および、その売上高の立て直しを図っている。
ここ数年でナイキは、DSW、メイシーズ(Macy's)、そしてAmazonとの取引を再開。2026年6月30日、ナイキは第4四半期の卸売売上高が66億ドル(約9900億円)、報告ベースで4%増となったと発表した。
「当社は卸売の関係を再構築し、アプローチを拡大し、各チャネルでの見せ方を改善してきた」と、ナイキCEOのエリオット・ヒル氏は6月30日の決算説明会で述べた。
自社ブランドへの投資も並行
コールズはナイキへの投資を強める一方で、自社ブランドの育成も進めていると幹部らは強調する。そこにはジャンピングビーンズ(Jumping Beans)、LCローレン・コンラッド(LC Lauren Conrad)、FLXが含まれる。
7月8日の会見でジョーンズ氏は、コールズが「顧客により高い価値を届けるため、自社ブランドに多大な投資を行ってきた」と語った。同氏はこう続けている。
「品揃えを拡大し、より強力な売場展開を実現し、はるかに明確なブランドポジショニングを打ち出した。そして、それぞれのブランドが何を体現しているのかを顧客に正確に理解してもらうことに、本当に強く注力している」。
[原文:Kohl's zeroes in on Nike for back-to-school marketing]
Julia Waldow(翻訳、編集:藏西隆介)
