メタの スマートグラス Ray-Ban Metaが人気。市場は1年で233%の急成長

記事のポイント
Ray-Ban Metaはアイケア小売店で売れ筋となり、撮影や翻訳など身近な用途を求める一般消費者にも広がっている。
スマートグラス市場は1年間で233%成長し、スマートフォンに続く家電市場の大型カテゴリーとして期待されている。
ベストバイなどの小売業者は体験型売り場を拡大し、スマートグラスによる来店促進と家電市場の活性化を狙っている。
AIを搭載したグラスが、アメリカ最大級のアイケア小売業者のひとつに影響をおよぼしはじめている。
同小売業者は40州に約1270店舗を展開しており、その大半はアメリカズ・ベストの屋号で運営されている。年間700万人近くの検眼患者を診察し、2000人の検眼医を雇用している。
これはアイウエア業界における地殻変動を象徴している。テクノロジーにそれほど詳しくない層にまで、カメラを搭載したメガネがメガネ専門店を通じて浸透しはじめているのだ。
ナショナル・ビジョンは2025年、Ray-Ban Metaのグラスを初めて試験導入し、すぐに100店舗以上へと拡大した。同小売業者では、顧客が加入している保険を適用して、度付きレンズを購入することも可能にしている。
一般的にAIグラスは、カメラによる写真・動画撮影ができるほか、内蔵スピーカーとBluetooth接続を介してAIアシスタントとやり取りできる。エシロールルックスオティカとメタ(Meta)は2021年に初めて共同でスマートグラスを発売し、2023年には第2世代を投入した。第2世代ではより大音量のスピーカーとアップグレードされたカメラが追加された。
AIグラスを買うのはヘビーユーザーとは限らない
メタのグラスを購入する消費者が、必ずしもAIのヘビーユーザーというわけではない。ウィルクス氏によれば、彼が最近ある店舗にいたとき、自分のラジコンカーをサイドラインから撮影したいという消費者にAIグラスを販売した店員がいたという。ほかにも、レストランのメニューを翻訳したり、花の種類を判別したりするために使いたいという人もいるだろうと同氏は述べた。
「ただ目新しさだけで買う人もいる。人生のどんな瞬間でも、目の前にあるものを手早くスナップショット的に記録できるという点にね」とウィルクス氏は語った。
「世界が、あらゆる事柄に関する疑問に即座に答えてもらうことに慣れ、それを期待するようになるにつれて、この製品の普及はさらに加速していくでしょう」。
ナショナル・ビジョンにとって、スマートグラスの装着者は、価値ある新たな顧客層でもある。ウィルクス氏によれば、そうしたフレームを買う消費者は、トランジションズ(Transitions)レンズのようなもっとももプレミアムなレンズも購入するという。
「この製品を採用する消費者は、自らの保険給付を最大限に活用し、利用可能ななかでもっともプレミアムなレンズの選択肢を選んでいる」と同氏は述べた。
スマートグラス市場は1年で233%成長
これは、スマートグラスの急成長についてのひとつの見方にすぎない。スマートグラスは光学小売業だけでなく、消費者向け電子機器(コンシューマー・エレクトロニクス)市場全体においても成長をけん引している。
サーカナ(Circana)のエグゼクティブディレクター兼コンシューマーテクノロジー業界アナリストのベン・アーノルド氏によれば、この5月までの12カ月間で、スマートグラスカテゴリーの売上高は233%増の4億3600万ドル(約654億円)に伸びた。
エシロールルックスオティカは2026年初め、2025年にAIグラスを700万台以上販売したと発表したと、CNBCが報じた。
このカテゴリーはこれまでメタが支配してきた。同社はレイバンとオークリー(Oakley)のモデルに加え、新たなメタ・レイバン・ディスプレイ・グラスも展開している。
この製品は9月に発売されたもので、右側のレンズに画像やテキストを表示できる小型のフルカラーディスプレイを追加している。
サムスン(Samsung)とスナップ(Snap)もつい先ごろ新しいグラスを発表しており、アーノルド氏はAppleやAmazonといったほかのテクノロジー企業も追随すると予想していると述べた。
ベストバイなど小売各社が期待を寄せる
一方でベストバイ(Best Buy)は、全米50店舗以上で、顧客がメタのAIグラスやVRヘッドセットを試せる体験型スペースを開設した。
AIグラスは「我々にとって重要な成長トレンドだ」と、ベストバイの次期CEOであるジェイソン・ボンフィグ氏は3月の決算説明会で述べた。
「メタとの関係は素晴らしい。彼らが我々の店舗でどう存在感を示すか、そして我々が彼らの新製品をどう市場に届けられるかという点でね」。
「消費者向けAIという発想は、ある種のロングテール領域であり、そこで我々は独自の優位性を持つことになる」と、ベストバイのCEOであるコリー・バリー氏は同じ決算説明会で述べた。
同氏は、マイクロソフト(Microsoft)が2024年に投入したPCのカテゴリーであるCopilot+に言及した。これらのPCには専用のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)チップが搭載されており、ビデオ通話で自動的に画角を調整したり、文書の文章を洗練させたりといったAI機能を動かす。
「当社はすでに、既存技術の強化という形で、その一部に注力している」。
小売分野を担当するガートナー(Gartner)のディレクターアナリスト、ブラッド・ジャシンスキー氏は、スマートフォンの販売が鈍化するなか、スマートグラスがコンシューマー・エレクトロニクス部門をけん引する次の大型製品カテゴリーになりうると述べた。
「家電業界はここしばらくのあいだ、売上を再び軌道に乗せるための次なるイノベーションを模索し続けていた。ベスト・バイをはじめとする多くの小売業者にとって、スマートグラスは人々を店舗に呼び戻し、家電領域を再び活性化させる『次なる本命カテゴリ』として大きな期待を集めている」と、ジャシンスキー氏は語った。とジャシンスキー氏は語った。
[原文:Meta's AI glasses are already among the fastest sellers at America's Best, Eyeglass World]
Mitchell Parton(翻訳、編集:藏西隆介)
