イランの弾道ミサイル「ヘイバル・シェカン」(2025年11月)=吉形祐司撮影

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米兵死亡攻撃 読売分析

 【テヘラン=吉形祐司】イランによるヨルダンの空軍基地への攻撃で、米軍兵士が死亡した。

 イラン当局の発表とメディア報道を本紙が分析したところ、使用された兵器は2種類の弾道ミサイルに絞り込まれる可能性が出てきた。イランはミサイルの改良を重ねており、中東域内の米軍イスラエルにとって依然、脅威であることが浮き彫りとなった。

発表と報道

 イランは米軍が連日の攻撃を開始した12日(米東部時間11日)以降、米軍が拠点を置くヨルダンの基地に報復を行っている。精鋭軍事組織「革命防衛隊」は主な標的にミサイル貯蔵庫や戦闘機、無人機、空中給油機などを挙げている。

 米兵死亡の直前、革命防衛隊が発表したヨルダンへの攻撃は17日、米軍がイラン南部の橋や駅などのインフラ(社会基盤)を空爆したのに対する報復のみだ。

 革命防衛隊傘下のセパ通信は18日、ヨルダンへの17日の攻撃を含む4波にわたる攻撃の映像を公表し、弾道ミサイル4種類と自爆型無人機が使われたと報じた。このうちミサイル2種類は、射程がそれぞれ700キロ・メートル、200キロ・メートル程度の短距離ミサイルで、ヨルダンの基地には届かないとみられる。無人機は時速約280キロ・メートルと迎撃されやすい。使用されたのは弾道ミサイルのヘイバル・シェカン(射程1450キロ・メートル)かハッジ・カセム(1400キロ・メートル)の可能性が高い。

国防の主力

 イランはミサイルを国防の主力としており、米国との協議でもミサイルを議題とすることを一貫して拒否してきた。ただ、2024年4月と10月にイスラエルを攻撃した際、大量のミサイルと無人機を使用し、ほとんどが迎撃されたとされる。イランはこうした機会をとらえ、ミサイルの精密度と誘導性を中心に改良を重ねた。国営テレビ傘下のプレスTVによると、ヘイバル・シェカンは派生型とともに、イスラエルの防空システム回避のための誘導技術を備えるとされる。

 ハッジ・カセムには発展型の「カセム・バシル」があり、米軍の最終段階高高度地域防衛(THAAD)や地対空誘導弾パトリオット、長距離ミサイルを高い高度で迎撃するイスラエルのアローを意識して、迎撃回避の機能を向上させたという。イランが極超音速ミサイルと主張する23年発表の「ファッターハ」も既に実戦投入されている。

謎多く

 イランの保有ミサイル数は米イスラエルの攻撃開始前、「2500発」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)だったとされる。米中央軍のブラッド・クーパー司令官は3月末、ミサイルや無人機などを製造するイランの軍事施設の3分の2以上に打撃を与え、「(兵器を)再建する能力も奪った」と強調した。

 しかし、イランのミサイルを巡っては、地下に建設された「ミサイル・シティー」の存在や、大量生産の技術など謎が多い。革命防衛隊司令官顧問のモハンマドレザ・ナクディ准将は4月、国営テレビに「我々が(今後)発射するミサイルは26年5月の製造になる。数を数えるのに2年かかるだろう」と述べるなど、再建能力に自信をのぞかせている。