「指揮官を代えただけで日本代表は変わらない」監督人事より先に着手すべき“重要課題”【W杯】
北中米ワールドカップでベスト32に終わった日本代表が、この先どのようなサッカーを目指していくのか。その哲学と設計図を示すことこそ、最優先で取り組むべき課題ではないだろうか。
日本サッカー協会にまず示してほしいのは、北中米ワールドカップに向けた準備と大会での結果を改めて検証し、何が足りなかったのか、どこを改善すべきなのかを明らかにすることだ。そのうえで、日本がこれからどんなサッカーを志向し、何を継続し、何を変えていくのか。そのビジョンを言葉にしてほしい。
その指針は、A代表だけのものであってはならない。U−23やU−20をはじめとする各年代の代表、さらには育成年代まで共有できる共通理念が必要だろう。どのような特徴を持つ選手を育て、どのような判断やプレーを求めるのか。世代が変わっても揺らがない共通認識があってこそ、日本サッカー全体の継続的な強化につながる。
フランスにはフランスの、スペインにはスペインの、アルゼンチンにはアルゼンチンの哲学がある。もちろん、国ごとのスタイルを単純にひとくくりにすることはできない。それでも強豪国には、長い年月をかけて築き上げてきたサッカー哲学がある。その考え方は育成年代からA代表まで一貫して共有され、それぞれの国らしさを形づくっている。
では、日本らしいサッカーとは何なのか。
技術を生かしたパスワークなのか。組織的な守備なのか。走力や献身性なのか。それとも、相手に応じて柔軟に戦い方を変えられる適応力なのか。これまで積み重ねてきた長所を整理し、世界の頂点に近づくために何を上積みしなければならないのか。今こそ改めて定義する必要がある。
今回のワールドカップでは、吉田麻也をサポートメンバーに迎えるなど、選手がサッカーに集中できる理想的な環境づくりにも力を注いだ。大会へ向けて、できる限りの準備を進めてきたはずだ。それでも日本はベスト32で敗退した。
だからこそ、その結果を監督一人の責任だけで片づけてはいけない。強化方針、選手選考、育成、戦術、準備、サポート体制--日本サッカー全体として何が足りなかったのかを検証する必要がある。
監督交代は、分かりやすい変化ではある。しかし、それはあくまでも手段にすぎない。日本サッカーが本当に変わるためには、その土台となる哲学と強化方針を改めて定義することから始めなければならない。
日本サッカーは何を目指すのか。そのためにどのような選手を育て、どのような代表チームを築いていくのか。その設計図が示されて初めて、次の監督に何を託すべきかも明確になる。
監督が誰になるかよりも先に、日本サッカーはどこへ向かうのか。その答えを示すことこそ、日本サッカー協会に今もっとも求められている役割ではないだろうか。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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