年収さえ高ければ不動産投資の融資は通る、そう考えている人は少なくない。しかし十分な年収がありながら、なぜか融資が思うように進まないという相談は後を絶たない。属性が良ければ安心というわけではなく、そこには別の判断基準が働いているという現実がある。
 
不動産投資アドバイザーの木村洸士氏は、住宅ローンと不動産投資の融資とでは金融機関の見方がまったく異なると説く。住宅ローンは年収や勤務先といった情報をもとに機械的に判断されやすい一方、不動産投資では申込者が賃貸経営という一つの事業を担えるかどうかが問われるという。さらに木村氏は、金融機関の担当者が必ずしも不動産に精通しているとは限らないという意外な内部事情にも触れている。担当者によっては土地や建物の価値についての理解が浅く、案件そのものを前向きに扱ってもらえない場合があるといい、だからこそ担当者が上司に案件を上げたいと感じるような資料や姿勢を、申込む側が用意しておく必要があるという。物件資料や家賃明細、収支計画を添える工夫や、決算期に合わせた持ち込み方についても言及があり、印象を左右する要素は一つではないようだ。
 
一方で木村氏は、他の金融機関と比べて優劣をつけるような発言や、リスクを考慮しない完璧すぎる事業計画には注意が必要だと語る。融資の商品には金融機関があらかじめ条件を定めているものと、金融機関自らがリスクを負って判断するものとがあり、その性質によって求められる実績や関係づくりのあり方も変わってくるという。信用金庫や信用組合のように日頃の付き合いが重視される先もあれば、そうでない先もあり、その違いを理解しないまま同じやり方で交渉を重ねても結果は変わりにくいようだ。
 
アフタートークでは、実際にどのような金融機関が融資に応じているのかという事例にも触れており、オリックス銀行や西日本シティ銀行、滋賀銀行といった名前を挙げながら、地域によっては信用金庫や信用組合でも積極的な姿勢を見せているところがあると明かしている。これから不動産投資を始めようとする人にとっては、金融機関との向き合い方そのものを見直すきっかけになる内容であり、読むことで融資審査の背景にある判断基準が整理される、そんな内容だ。

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