なぜ?「面白いのに落選する小説」の盲点。選考委員が見ている“意外なポイント”とは
「面白い作品なのに選考が通らない!」その突破口は“編集目線”を知っておくこと
面白い作品なのに落選!? 選考が通らない理由とは
小説の選考では、ときどき不思議なことが起きます。
それは、多くの人が「面白い」と感じる作品が、必ずしも通過するとは限らないということです。
キャラクターは魅力的で、展開にも引きがある。読み終えたあとには、確かな余韻が残る。それでも結果は落選になる。こうした出来事は、決して珍しいものではありません。
ここで起きているのは、「面白くない」という否定ではありません。むしろ、面白さは確かに存在している。それにもかかわらず、評価に結びつかない。そのズレこそが、多くの書き手を悩ませ、戸惑わせる原因になっています。
読者に何を感じさせたい?感情は効果的に設計されているのか
選考で問われているのは、感情の強さそのものではありません。読者に何を感じてもらいたいのか。その感情が、物語の中でどのように立ち上がり、どのような流れで届けられているのか。
感動した、泣けた、心を揺さぶられた――そうした読後感が、偶然ではなく、構成や描写によって再現可能な体験として組み立てられているかどうか。そこが、静かに、しかし確実に見られています。
一方で、書き手は「どれだけ心を込めたか」「どれほど思いを注いだか」を大切にします。それは物語にとって欠かせない要素です。実際、そこにしか生まれない熱や衝動が、作品を前に進める原動力になることもあります。
ただ、その面白さを読者に同じ体験として渡すためには、もうひとつ別の視点が必要になります。
面白さを読者に届けるために必要不可欠な“編集目線”
面白さを届けるための別の視点。それが、本書で扱う「編集目線」です。
どこで読者を引き込み、どこで緊張を高め、どの瞬間に感情を解放するのか。物語を味わいながら、同時に一歩引いて構造として捉える視点です。流れの強弱や情報の配置を意識し、読者の体験を設計する視点ともいえます。読みやすさや理解の速度まで見通す姿勢が求められるのです。「編集視点」を持つとは、自分の面白さを削ることではありません。
感覚を否定するものではなく、むしろ、その感覚を他者に届く形に整えるための方法といえるでしょう。
さらに、本書は編集視点と作家目線の双方を掛け合わせることで、物語の可能性をより立体的に捉えます。
【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ
【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

