《「非常に不健全な関係」と兄も心配…》トランプ大統領に従う34歳金髪女性の異名は「人間プリンター」 トランプ氏が「何を見るか」の取捨選択も握るキーパーソン
ホワイトハウスの廊下を歩くドナルド・トランプ大統領。その数歩後ろに、影のように付き従う金髪の女性がいる。ナタリー・ハープさん(34)。
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彼女の手には、小型の携帯プリンターとバッテリーパック。必要があればその場でニュース記事やSNS投稿、支持者からのメッセージを印刷し、大統領の手元に差し出す。
その即応性から、周囲は彼女を「ヒューマン・プリンター(人間プリンター)」と呼ぶ。
しかし本質は単純な"出力装置"ではない。むしろ彼女が握っているのは「何を大統領に見せるか」という選別の回路だ。情報の入口に立ち、何が届き、何が遮断されるかを左右するゲートキーパーである。
トランプ陣営の一部では、「見せたい情報があるならナタリーを通す」とさえ言われるという。
その出発点は政治の世界ではない。2019年、保守系メディアの番組に出演したハープさんは、自身が骨がんを患いながら治療を続けてきた経験を語った。その中で言及したのが、トランプ政権下で成立した「Right to Try法」(未承認治療へのアクセス拡大法)だった。
「この制度が選択肢を広げてくれた」──その言葉がトランプ氏側に届いたとされる。
2020年の共和党全国大会では、彼女は演説者として登壇する。そこから両者の距離は一気に縮まる。
涙ながらに語られた体験談は、単なる支持表明ではなく、政権政策と自らの体験が交差する象徴的な場面となった。
トランプ氏が再選に失敗した2020年以降も、関係は途切れていない。一時は保守系メディア「OANN(One America News Network)」に関与したとされるが、2022年ごろには再びトランプ陣営の周辺に戻ったと報じられている。
米紙ニューヨーク・タイムズは、この関係について「通常の政治的忠誠の枠を超えている」と表現した。彼女がトランプ氏に宛てたとされるメッセージには、「失望させたくない」「最も重要なのはあなた」といった強い個人的な表現が並ぶという。
一方でトランプ氏も、親しみを込めて彼女を「スウィーティー」と呼び、家族的な距離感で接していると報じられている。
この近さについては、周囲からさまざまな見方が出ている。
英メディアの取材に対し、兄プレストン・ハープ氏は「非常に不健全な関係だ」と語った。家族という最も近い視点からのこの言葉は、むしろ関係の特殊性を際立たせている。
一方、ホワイトハウス広報部長のスティーブン・チョン氏は、ハープさんについて「信頼され、価値ある存在だ」と評価している。
重要なのは肩書でも制度でもない。大統領が次に何を見て、何を信じるか。その瞬間の直前に、誰が情報を差し出すのかである。
ナタリーさんは、その最も近い位置に立ち続けている。情報と権力の境界が溶けていく場所で、彼女は静かに存在感を強めている。
◆高濱賛(在米ジャーナリスト)
