記事のポイント
ニューヨークでフローズンヨーグルトが再ブームとなり、長蛇の列を生む人気コンテンツとしてZ世代を中心に支持を集めている。
コレスやキールズなどのビューティーブランドは、ゴーグリークとのコラボを通じて、商品訴求ではなく「食べられる体験」を提供し来店促進を図っている。
フローズンヨーグルトはウェルネスとぜいたく感を両立できるためブランドとの相性がよい一方、話題性頼みの施策はマーケティング疲れを招くリスクも指摘されている。


2026年になり、終わりの見えない行列は、イエローキャブや1ドルピザと同じくらいニューヨークの文化の一部となっている。

消費者は、マムダニ(Mamdani)がデザインしたサッカーのユニフォームからリップグロスまで、あらゆるものを求めて何時間も並ぶ。だが、この夏、街区をぐるりと取り囲むような行列を見かけたら、その辛抱強い買い物客たちが待っているのは、おそらくたった1つのもの、つまりフローズンヨーグルトである可能性が高い。

ミレニアル世代なら、ピンクベリー(Pinkberry)やヨーグルトランド(Yogurtland)といったフローズンヨーグルトチェーンが2000年代に全盛期を迎えたことを覚えているだろう。だが、ミミズ(Mimi's)、バーディーズ(Birdie's)、ゴーグリーク(Go Greek)といった新顔の店舗が、TikTok世代にとっての必須スイーツとしてフローズンヨーグルトを復活させた。

ニューヨーク・タイムズ・マガジン(New York Times Magazine)のライター、エイミー・X・ワンは、スペイン発のフローズンヨーグルト「マイカ(Myka's)」のウエストビレッジ店で、ある土曜日に74人が列に並んでいるのを数えた。

集客力と夏らしいプロモーション活動を求めるビューティーブランドもいま、フローズンヨーグルトブームに乗ろうと列に加わっている。

コレスが仕掛けた「グリーク・グロウ」



「ゴーグリークは、まさにLAの定番だ。LAに行ったらエアワン(Erewhon)のスムージーを飲まなければならないし、ゴーグリークにも行かなければならない。それは誰もが知っている」。

スキンケアブランド、コレス(Korres)のシニアブランド・マーケティングマネジャーであるキャロライン・ジョセフ氏は、フローズンヨーグルトチェーンのゴーグリークについてこう語った。同チェーンは4月、ニューヨーク初の店舗をノーホー(Noho)にオープンした。

コレスは、自社の「ギリシャヨーグルト・プロバイオティック・フォーミングクリームクレンザー」を売り込むため、ゴーグリークと提携し、オリーブオイルと蜂蜜を使った「グリーク・グロウ」ボウルを作り上げた。

6月14日の時点で、ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミのゴーグリーク各店で提供されている。コレスの割引コードが記載された共同ブランドのカップ入りのボウルに加えて、客はこのクレンザーのデラックスサンプルを受け取れる。

「我々がスキンケア製品を作る際に使う成分について話すとき、それらはすべて、まず食べ物として知られているものだ」。ジョセフ氏は、食をベースにしたコラボレーションの魅力についてこう語った。

同氏によれば、コレスはこの提携が約2500人の消費者にリーチすると見込んでいる。

「もうひとつの側面は、こうした体験がインフルエンサーやプレス向けだけのものになっているのを、消費者は見慣れすぎているということだと思う。より幅広いオーディエンスにリーチし、誰もが同じ楽しい開封PR体験を味わえるようにできるのは、本当に特別なことだ」。

定番コラボ相手となったゴーグリーク



すべてのビューティーブランドがコレスのようなギリシャの伝統を持つわけではないが、ゴーグリークはフローズンヨーグルトのビューティー系コラボレーション相手として定番の存在になっている。

2012年に立ち上げられ、いまやマイアミからリヤドまで世界各地に店舗を構える同チェーンは、クラウンアフェア(Crown Affair)やソルトエア(Saltair)ともコラボレーションしている。ヘアケアブランド、ウェイ(Ouai)が6月にウィリアムズバーグで開いたポップアップには、ゴーグリークのフローズンヨーグルトとウェイの製品サンプルを求めて2000人以上が来場した。なお、ゴーグリークはGlossyのコメント要請に応じなかった。

フローズンヨーグルトは、エアワンのスムージーやアイスラテと同様に、五感に訴えるマーケティングを展開しようとするブランドにとって魅力的な選択肢となる。さらに、このスイーツがうたう健康効果(ゴーグリークのWebサイトは、自社のフローズンヨーグルトが「筋肉を作るタンパク質」をたっぷり含んでいると説明している)は、ウェルネス志向の消費者にアピールしうる。

「フローズンヨーグルトがいま流行るのは理にかなっている。まさに、ぜいたくとウェルネスの交差点に位置しているからだ」。ブランディングエージェンシーのパールフィッシャー(Pearlfisher)でストラテジーディレクターを務めるレベッカ・デメラッシュ氏はこう語る。

「食は、喜びを表し、儀式を表し、ノスタルジーを表し、ときにはウェルネスを表す。だから、カルチャーのなかで存在感を保ち、自らの価値観を軸にコミュニティを築くことに関心を持つビューティーブランドにとって、食に目を向けるのは自然な次の一手だと思う」。

キールズも全米規模で提携へ



だが、フローズンヨーグルト最大の強みは、来店客数を伸ばす力にあるのかもしれない。

キールズ(Kiehl's)も6月26日から、ゴーグリークとの全米規模の提携をスタートさせる。このロレアル(L'Oréal)傘下のスキンケアブランドは、自社の日焼け止めシリーズ「ベター・スクリーン」にインスパイアされたボウルを作るのに加えて、共同ブランドのゴーグリークのカートを一部店舗に持ち込み、ヨーグルトのサンプルを提供する。

「小売の来店客数がもっとも盛り上がっているとはいえない時期に、店舗へ体験を持ち込む方法を見つけようとしている」。キールズの米国マーケティング責任者であるギヨーム・モンセル氏は、ゴーグリークを店舗に取り込む戦略の狙いについてこう語った。

「では、スキンケアを見て回る以外にも、消費者が足を運んで時間を過ごしたくなるよう、どうすれば自分たちの店舗をもう少し魅力的にできるか、ということだ」

キールズにとって、ゴーグリークとの提携は、自社のスキンケア製品をめぐって、食べられる没入型の体験を生み出すという、より大きな戦略の一部だ。2025年には、ニューヨークのコーヒーチェーン、リズムゼロ(Rhythm Zero)とコラボレーションし、ココナッツマンゴー味の抹茶ドリンクを手がけた。

「以前は、製品を売っていた。それが従来の広告だった。いまや、人々は体験を求めている」と、モンセル氏は語った。

派手な仕掛けの先にある課題



だが、ブランドが目新しさとバイラル性を求めて消費者の生活のあらゆる隅々に入り込むなかで、マーケティング疲れに直面する消費者を遠ざけてしまうリスクもはらんでいる。たとえば、ジ・オーディナリー(The Ordinary)は5月、ブルックリンを横断するバス路線を立ち上げたが失敗に終わった

「派手な仕掛けは長続きしないし、バイラルも長続きしない。我々は皆、このサイクルを何度も経験してきた。だから、より長く続くものを生み出すには、人々の生活に意味のある貢献をもたらさなければならない。人々はマーケティングに疲れていると思う。それでも、新しい体験は依然として求めている」と、デメラッシュ氏は語った。

そして消費者は、トレンドに関しては移り気で、食もその例外ではない。ピンクベリーの全盛期を覚えているくらいの年齢の人なら、数え切れないほどの食のブームの栄枯盛衰も思い出すだろう。カップケーキやクロナッツも2000年代に一時代を築いたが、次なる流行のスイーツに取って代わられた。

かつて若手セレブがパパラッチに写真を撮られる定番スポットだったピンクベリーは、2014〜2018年のあいだに74店舗を閉鎖した。

だがいまのところ、消費者がフローズンヨーグルトを求めて列をなしているかぎり、ビューティーブランドもその流れに乗っていく。そしてマーケターは、自社のブランド名を世間の目に触れさせる機会があれば、喜んで飛びつくだろう。

コレスのキャロライン・ジョセフ氏は、客がフローズンヨーグルトを食べ終わったあとも、共同ブランドのカップが間に合わせの看板として役立ちうる、と指摘した。

「昨日、ブロードウェイとウエスト3rdの角にある(ゴーグリークの店の外の)ゴミ箱の写真を撮ったら、コレスのカップがいくつか入っていた」と、同氏は語った。

「『ゴミ箱に入れてもらえてすごくうれしい』と思った」

[原文:Beauty brands are lining up for the frozen yogurt craze]

Emily Jensen(翻訳、編集:藏西隆介)