【木田 トウセイ】令和の『女王の教室』となるか…フジの”ノスタルジック戦略”で28年ぶり復活の『GTO』爆発のカギを握る「意外な要素」

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バブル崩壊を経てカオスな時代に突入していた1998年。そんな時代に、型破りで破天荒な教師が痛快に暴れ回る伝説的なドラマがあった――。

反町隆史が演じる元暴走族の高校教師・鬼塚英吉が、学校や生徒が抱える問題を体当たりで解決していく学園ドラマ『GTO』(フジテレビ系)だ。

同作は、平均世帯視聴率28.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録し、最終回では35.7%という驚異的な数字をマーク。平成を代表する学園ドラマとして社会現象を巻き起こした。

この夏、そんな伝説のドラマが帰ってくる。

2024年に放送されたスペシャルドラマ『GTOリバイバル』で弾みを付け、ついに4半世紀以上の時を経た7月クールで、反町隆史主演の『GTO』(カンテレ・フジテレビ系、月曜午後10時〜)が28年ぶりに連続ドラマとして復活するのだ。

だが――。当時の熱狂を知る世代からは歓喜の声が聞こえる一方で、SNSやドラマファンからは「令和に鬼塚の熱さは必要なさそう……」「栄光にすがるフジテレビのダメなところが出ている」「学園ドラマはもう飽きた」といったコメントが並び、前評判は今一つのようだ。

前編『「カリスマ性か、中年の哀愁か……」28年ぶり復活『GTO』成功のカギを握る50代・反町隆史のポテンシャル』では、令和版『GTO』の成否をどう予想しているのか? 業界関係者の声を聞いた。

後編でも引き続き、関係者の声をお届けする。

ヒロイン役・生見愛瑠は大化けできるか

ドラマライターのC氏からは、ヒロイン役のキャストについて不安視する発言が飛び出した。

「前作は、鬼塚を取り巻くキャラクターたちにも存在感があった。特に、松嶋菜々子さんが演じた冬月あずさはキュートさと品格を合わせ持っており、ヒロインとして完璧でした。その一方で、今回のヒロイン役を務める生見愛瑠さんにはまだそのオーラが備わっていない。

生見さんはドラマでも繊細な演技力が評価されており、女優としてのステップアップを着実に踏んでいることは認めます。ただ、松嶋さんと比較したときに“惹きのなさ”を感じざるを得ない」

同様の意見は、民放キー局で数多くのドラマを作ってきたプロデューサーA氏からも聞こえてきた。

「今回生見さんが演じる役は、感情を表に出さない冷めたキャラクター。本人のイメージやこれまでの役どころとはかなり異なるので、うまく演じきれるか不安ですね。しかも、気合い十分で役に挑む反町さんと対等に渡り合えるのかどうかもクエスチョンマークが残る……。ただ、逆に言えば彼女が大化けする演技を見せれば、大きな話題になる可能性もありますよ」

“過去の栄光”にすがれるか

キー局でドラマディレクターを務めるD氏からはこんな不安要素も。

フジテレビは“過去の栄光”にすがるあまり、新しい時代に合わせたコンテンツを生み出す力を失っている。最近でいえば『102回目のプロポーズ』(フジテレビ系、FOD)がその典型ですよね。

同作は1998年版の脚本家やスタッフをそのまま起用するそうですが、『あの頃はよかった』という栄光や思い出にすがってドラマを作るならば、ストーリーや演出がとんでもなく古くさくなってしまうリスクがありますよ。

若手社員の声や斬新なアイデアを導入すればよいですが、それをしないのがフジテレビなんですよね……」

死活問題のドラマ製作費

また、D氏はフジテレビドラマの制作費削減についても言及した。

「前作の『GTO』がヒットしたのは、ドラマの枠を超えたスケール感のあるロケやアクションシーンがあったからこそ。しかし、昨今さまざまな問題が生じているフジテレビの懐事情では、当時のような派手な演出は望めないでしょう。

もし、学校内だけで完結するこぢんまりとした内容になった場合は、視聴者はすぐに見切りをつけるはずです」

最後に、脚本を担当する遊川和彦について、ラブコメが得意なドラマ脚本家・E氏が述べてくれた。

「遊川さんは『女王の教室』や『家政婦のミタ』(ともに日本テレビ系)で知られる稀代のヒットメーカーですが、極端なメッセージ性を提示したり、哲学的になりすぎてしまったりするドラマも多い。朝ドラ『純と愛』(NHK)や『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系)などは賛否が分かれる問題作でしたよね。

今も現役バリバリで、攻める意識を持った作家さんなので令和の教育問題に踏み込みすぎて、かえって鬼塚のストレートな破天荒さや熱さといった魅力が薄くなってしまうという懸念はあります。

ただ、かつての『GTO』とは毛色が違うテイストが見事にハマれば、『家政婦のミタ』のような社会現象を起こせる素晴らしい作家さんだとは思います。個人的には、どれだけ前作をぶち壊してくれるかのほうに期待していますよ」

過去の栄光で終わるか、再び伝説となるか

学園ドラマ自体の変容、反町隆史へのカリスマ性、ヒロインや生徒のキャスティング、そしてフジテレビの懐事情や制作費の問題、どう転ぶか分からない脚本……。復活する『GTO』を取り巻く状況は、決して良いとは言えないだろう。

もちろん、これらの懸念が払拭される可能性もゼロではない。現代社会が抱える教育現場の問題に対して、鬼塚英吉が視聴者の胸を打つセリフやシーンを提示できれば、過去作を超えることもあり得る。

だが、表面的な要素だけを令和版にアップデートしただけでは、間違いなく“ハズレ作”の烙印を押されることになるだろう。

とにもかくにも、さまざまな意味で話題を振りまく『GTO』の成否が、フジドラマの今後の未来を左右しそうだ。

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