交際相手の指を斧で切り落としたなどとして、3件の傷害罪に問われた佐藤紗希被告(当時23)の初公判が2025年9月9日、大阪地裁で開かれた。

【画像】「まな板の上の指の皮膚はまだつながって…」被害者Aさんの欠損した指を見る(閲覧注意)

 佐藤被告は罪状認否で、「いずれもやっていません。被害者から首を絞められたので殴り返しましたけど、ケガを負わせたとは思っていません」と述べた。

 このため、被害者のAさん(同21)が証人として出廷することになったが、その内容はにわかには信じ難いものだった。

始まりはインスタグラムに「かわいいですね」と送ったDM

 2021年、Aさんが高校生だった頃、佐藤被告のインスタグラムを見て、「かわいいですね」とDMを送ったことから、交流が始まった。


被害者のAさん

 佐藤被告は大阪府に住み、Aさんは埼玉県に住んでいたが、佐藤被告が「親とケンカしてきた」と言って、家出してきたことから、実家で1カ月ほどかくまうことになり、そのときに男女関係を持った。

 それをきっかけに交際が始まったが、佐藤被告には別に親しい男性がいて、「自分に深く傷をつけた方と付き合う」と条件を出し、Aさんは交際したいがために自身の左腕の肘付近を少し切ったが、結果的に佐藤被告が別の男性を選び、あっけなく別れた。

大学を辞めたAさんは、包丁で顔を切りつけられ

 2023年4月、Aさんが大学に入学した後、再び連絡を取り合う関係が復活し、その年の夏には大学を辞めて佐藤被告の実家近くでマンションを借り、半同棲生活を始めた。

 だが、それから1カ月後にはAさんは鼻血が出るまで殴られるほどの暴力を受け、近所の交番に駆け込んだ。その2カ月後には包丁で顔を切りつけられ、「ガチで刺すよ」と言われたため、警察に被害届を出した。

 同年10月、佐藤被告は暴力行為法違反容疑で逮捕され、「本当にごめん。もうしないから、被害届を取り下げて」と懇願し、Aさんは被害届を取り下げたが、この一件は前歴として残ることになった。

 しかし、佐藤被告は釈放された途端、数日後には本性を現した。「私は留置場に入ったんだから、お前も入って」などと言ってカッターナイフを突き付け、また警察沙汰になるところだったが、これを機にいったん別れることになった。

「苦痛に耐えている姿を見るのが好き」と暴力を振るわれて

 Aさんはインターネットを通じて知り合った千葉県の友人を頼り、大阪府を離れたが、佐藤被告はAさんの友人を色仕掛けで取り込み、2人を仲違いさせて、また自分に振り向かせようと画策。これがまんまと成功し、2024年1月にはヨリを戻すことになった。

 新たに大阪市北区西天満のマンションを借り、同棲生活を始めたが、佐藤被告の性格は直らず、耳の軟骨が砕けるまで噛んだり、「今のは不同意性交だから、警察へ行く」と脅したり、「苦痛に耐えている姿を見るのが好き」などと言って暴力を振るうなど、同棲は半年も経たずに幕を閉じた。その決定的な理由をAさんは次のように述べている。

「僕がマンションから閉め出されて、警察に通報したことがあった。佐藤さんと連絡を取ると、『帰ってきてもいいけど、元カレも一緒にいる』と言われた。どういう経緯でいたのか分からないけど、3人で話し合い、このマンションを契約しているのは僕なのだから、出て行ってもらいたいと言うと、その元カレにメチャクチャ殴られた。それで佐藤さんとはいったん距離を置こうと思いました」

「衣食住の面倒を見る」とAさんをおびき出し、監視生活へ

 同年5月半ば、Aさんはインターネットで知り合った北海道の友人を頼って引っ越した。その間、佐藤被告はAさんの母親に連絡を取って、「Aさんはお母さんの悪口を言っていた」「親の金なんていくらでも使っていいと言っていた」「父親に虐待を受けていたと言っていた」などとウソをつき、家族の仲を分断するような工作をしていた。

 それから1カ月後、また佐藤被告から「もう暴力は振るわないし、上下関係もないようにする」と電話がかかってきた。佐藤被告が衣食住の面倒も見ると言うので、同年7月末には再び同棲することにしたが、そこが凄惨な事件が起きる大阪市北区兎我野町のマンションだった。

 佐藤被告は「働かなくてもいいけど、生活保護を受けて、その金で私に誕生日プレゼントを買って欲しい」と言って、Aさんに大阪市天王寺区でアパートを借りさせた。さらに「男とLINEしても嫉妬する」と言ってスマホを取り上げ、通帳やパスポートや現金と一緒に金庫にしまった。その上で部屋にペットカメラを取り付け、佐藤被告が仕事に行っている間は、スマホによる遠隔操作で監視されることになった。

「乳首を切り落としても再生すると聞いた。やらせて欲しい」

 同棲を再開して2カ月後の同年9月30日、佐藤被告が「乳首を切り落としても再生すると聞いた。やらせて欲しい」と言ってきた。Aさんが断ると、「そんなこともできないなら、私のこと好きじゃないんだね。別れよう」と言い出した。佐藤被告に見捨てられたら生きていけないと思い込んでいたAさんは風呂場に連れて行かれ、服を脱いで浴槽に入った。佐藤被告は小さなハサミを持って近付いてきて、思わず後ずさりすると、口の中にタオルをくわえさせられ、乳首を切断された。

「痛いッ!」

「うるさい、近所に警察を呼ばれたら面倒なことになるから、声を出すな!」

 佐藤被告は切り取った乳首をハサミの上に乗せて写真を撮り、キャバクラ店の同僚にメッセージを送っていた。

〈〈乳首切り落としてみた〉

〈えっ、何してんの?〉

〈また再生するの楽しみ〉

〈麻酔なしでしょ、こわ〉

〈家に麻酔なんてない〉

〈口にタオル押さえてんの?〉

〈うん〉〉

 切り取った乳首は飼っていた室内犬に食べさせていた。Aさんには「病院には行くなよ。行ったらダメだからな」と口止めし、患部に絆創膏を貼っただけだった。

「許して欲しかったら指を詰めろ!」と斧を購入

 さらに3週間後にはもっとひどい虐待を受けた。別れて会っていなかった時期に風俗店に電話したという発信履歴が残っていたことを佐藤被告に気付かれたのがきっかけだった。

「これは浮気や。許して欲しかったら指を詰めろ!」

 Aさんは佐藤被告の剣幕に押され、少しだけ切ったら許してくれるのではないかと思い、包丁で指を傷つけた。

「別れても他の女の結婚指輪がはめられないように左手の薬指を切断しろ。自分でできないなら私がやるよ」

 後日、佐藤被告は通販で斧を購入。Aさんには痛みがまぎれるように睡眠薬を飲むように指示した。もし拒否したら命まで取られるのではないかという恐怖心から、Aさんはそれを承諾した。

「人の指、初めて切った」と嬉しそうにスマホで撮影し…

 同年10月19日、薬指以外の指をヘアゴムでまとめてグルグル巻きにされた。その上でまな板に指を置き、佐藤被告が斧を振り上げて切断した。

 そのときのことをAさんは次のように述べている。

「メチャクチャ痛かったです。これまで生きてきて一番痛かったです。あまりの痛みに声すら出なかった。『立て』と言われてキッチン台に寄りかかって、曲げていた足を伸ばした。まな板の上の指の皮膚はまだつながっていた。彼女は『もうじき終わる』と高揚しているような様子だった」

 佐藤被告は「人の指、初めて切った」と嬉しそうにしていて、またスマホで撮影。〈彼氏が私のために指詰めた〉と知人に連絡していた。

 さらに「ヤクザの世界では、相手を許すんだったら指を食べる風習があるらしい。ネットで検索した」などと言って、切断面の指の肉を一部取って、フライパンで焼いて食べていた。

 まさに狂気。Aさんは病院に行くことも許されず、ガーゼと包帯で手当てされただけだった。佐藤被告はこの日のXの鍵垢に〈人の指落とした後に同伴焼肉とかさすがに気持ち悪い〉と書き込んでいた。

「指が冷蔵庫に瓶詰めされている」乳首を切断、斧で指を落とした23歳女が法廷で放った、“180度異なる主張”と被害者を支配した「恐怖の洗脳」〉へ続く

(諸岡 宏樹)