ネットやSNSの普及により、世の中の情報量は爆発的に増え続けている。一方で、全国の書店数はこの10年でおよそ7割に…。平積みされた表紙に惹かれたり、手書きPOPが気になって手に取る。そんな偶然の出会いも減った中、人々はどこで本と出会っているのか。『ABEMA Prime』では、本のプロフェッショナルたちに話を聞いた。

【映像】4人のプロが“超オススメ”する1冊(実際の映像)

■4人のプロが実践する「本の選び方」と「時間の捻出術」

 SNSで約1分の縦型動画で本を紹介し、投稿動画は1000本以上の紙上健吾氏は「書店にとにかく足を運ぶことを意識している」と語る。週7日同じ書店に行くこともあるというが、「不思議なもので、同じ書店なのに全然目につく本が違う。僕はSNSで散々発信しているが、実店舗に勝る情報量はないと思っている」。

 また、読書時間の作り方について、「とにかく本を触る。朝起きてアラームを止めるのはスマホだが、次に手に取るのは文庫本にする」と、日常生活の動線を変える工夫を明かした。

 一方、株式会社WORDS代表で『メモの魔力』『国民総株主』などを担当する竹村俊助氏は自身の悩みを起点に本を探すという。「常に人生に悩んでいるので、その解決のために棚に行って、本を探す。薬になるようなものはないかなという視点で見ている」。

 中央公論新社の編集者で『幸せな家族』『スミルノ博士の日記』などの復刊を手がける名嘉真春紀氏は、「書店に並んでいる本は全部ライバルだと思っている。行くことによって刺激を受けて、アイデアが湧いてくる」と語る。

 読む時間の捻出については、「この時間集中して、絶対に読み切る。内容理解できたか怪しくてもこのページまでちゃんと読むという風に、無理やり捻出する」と、強い意志を持って臨んでいるとした。

 株式会社アスコムの編集者で平石直之アナ著『超ファシリテーション力』などを担当する大住兼正氏は、「書店に行って帯の部分に注目して選んだりはしている。帯は編集者がこの本をこうやって読者の方におすすめしたいという、魂の一言が入っていることが多い。それを基準に選ぶのは面白いんじゃないか」と語った。

■プロが熱弁する「ガチ推し本」

 出演者たちが今もっともおすすめしたい本、紙上氏は『私たちはたしかに光ってたんだ』を推す。紅白出場経験もある超人気バンドの元メンバーである主人公が、バンドを辞めるまでの物語だ。「何かに挫折した経験がある方や、諦めた経験がある方にはひどく響く物語」と魅力を語った。

 竹村氏は『セクシー・プロジェクトで差をつけろ』を紹介。現代のあらゆるタスクを素晴らしいプロジェクトに変える50の方法が書かれたビジネス書だ。「新卒1年目の時に出会い人生が180度変わった」といい、「目の前のつまらない仕事を感動的で最高の仕事に変える。一文一文読み進めるごとに元気が出てくる本。AI時代に読むべきビジネス書はこれしかない」と熱弁した。

 名嘉真氏は、『どんでん返しミステリガイド』を紹介。ネタバレを避けた状態で、どんでん返しがある小説を60作品紹介したガイド本だ。「どんでん返しは、人の偏見や先入観、社会常識を揺さぶる力がある。本を読んで感動したときに、どうやってネタバレせずに紹介するかが詰まっている。この1冊だけで何年も楽しめる」と、その奥深さを伝えた。

 大住氏は『〆切本』を紹介。芥川龍之介や吉川英治といった名だたる文豪たちが、締め切りに対する考えや、戦いに敗れ去って編集者に送った「間に合いません」という謝罪の手紙などをまとめた1冊。「タイパやコスパが優先されてコンテンツ消費が早くなっている現代において、何かを生み出すことがこんなに大変なことだという、文豪たちの苦しみを感じられる」と推薦した。

■なぜ売れる?令和の大ヒット作『成瀬は天下を取りに行く』

 本の数が毎年増え続ける一方で、書店が減っていくという厳しい現状の中、令和で最も売れた小説の1つが『成瀬は天下を取りに行く』だ。シリーズ累計220万部を突破した本作について、紙上氏は「結局、ネットやSNS以上にリアルの場で口コミが広まっていく本が売れる。この本の場合、みんな口コミをするときに『成瀬読んだ?』と、成瀬あかりという人物の話をしている。これが強力な口コミのしやすさに繋がっている」と分析した。

 また、大住氏はヒットの裏にある泥臭い営業努力を明かした。「書店の店頭は場所取り合戦が始まっている。成瀬に関して言うと、営業の方が発売前に色々な書店に足を運び、熱意を持って相談しに行ったそうだ。それが1番初めのスタートダッシュの弾みになった。出会いの場を作るための熱意は必要だ」とした。

(『ABEMA Prime』より)