みんな大好きモンチッチ!52周年おめでとー! 写真提供/(C)SEKIGUCHI

写真拡大

 ボディはぬいぐるみ、手足と顔がソフビ製。おしゃぶりポーズとそばかすがキュートなモンチッチは、1月26日でデビュー52周年を迎える。発売と同時に爆発的ブームを起こし、現在までに30か国以上、累計7,000万体以上が販売されたモンチッチは、令和の現在、改めて注目を集めている。半世紀以上にわたって愛されるモンチッチの人気の秘密を追った。

【写真】22年前の1月26日に社内結婚…シェラトン・グランデ・トーキョーベイでの挙式披露宴の様子などモンチッチ52年の歩み

猿じゃなかった

 誰もが知るモンチッチだが、その名の「モン」はモンキーのモンではないこと、つまり彼らは「猿じゃない」ということをご存じだろうか。モンチッチの名はフランス語の「モン」「プチ」(私の/小さく可愛いもの)に由来しているそう。モンチッチと同い年……1974年生まれで今年52歳の筆者でさえ、長年の間、猿と信じ込んでいた。

みんな大好きモンチッチ!52周年おめでとー! 写真提供/(C)SEKIGUCHI

 さらに、産みの親である株式会社セキグチでは、「モンチッチくん」が「社長室長」、リボンを付けた「モンチッチちゃん」が「社長秘書」であることも、あまり知られていないかもしれない。年齢にふさわしい立派な役職や肩書。だが、いったい何者なのだろうか。

「細かな設定、ストーリーが決まっていないことがモンチッチの魅力のひとつです」

 とは、セキグチの広報担当・山口さん。

「手にした方それぞれにとって、友達だったり、子どもだったり、その人に必要な存在になれるキャラクターなのだと思っています。だから、時代設定や流行にも縛られない。その自由度の高さが、長く支持される理由なのかもしれません」(山口さん、以下同)

レトロブームも追い風

 改めてモンチッチを見ると、昭和レトロな風情があり、「懐かしさ」と「褪せない可愛さ」がある。3世代続くなどの長いファンがいる一方で、国内外で新規ファンも増えた。公式Instagramのフォロワー数は、2026年1月23日現在で15.5万人。約1年間で、およそ6倍にも増加した。

「一昨年の50周年や、昨今のレトロブームの影響など、要因は多数あると思います。一昨年の夏ごろ、タイのインフルエンサーさんの投稿が注目を浴び、タイでの人気が高まりました。また韓国のアイドルやインフルエンサーさんの発信も、いい影響があったように思います」

 アジア圏での人気が日本に“逆輸入”され、国内の新規ファン獲得につながったのだろう。今ではモンチッチをバッグに付けたSNSの投稿は急増。タイ、韓国に加え、アメリカの若い世代からの反応も目立つようになった。

「近年はキーチェーンサイズなど、カバンにつけられるタイプのものが特に人気になっています。アメリカでの人気は“日本のレトロ”が注目されていることも影響しているのではないでしょうか」

 レトロ感が人気の理由の1つになる。流行の波だけに頼らない、「長〜く愛されてきたキャラならでは」の強みだ。

多彩コラボもこなす「ベテラン」

 52年の歴史の中では、細かいリニューアルも行われたという。

「誕生からずっと人気の定番・Sサイズは1974年誕生当時からのスタンダードモンチッチがベースとなっていますが、当時の可愛さはそのままに、時代に合わせて変化させています。例えば、誕生当時から10年程で目の色がブルーアイからブラウンアイになり、2016年のリニューアル『モンチッチ プレミアム スタンダード』では、顔色が明るく色白に。足裏にモンチッチのロゴマークが刻印されたり、背中にモンチッチのラベルが縫込まれたり、本体も柔らかい手触りのボアになりました」

 また、新ラインナップも展開されている。

「2023年より販売を開始した『モンチッチCOLORS』はカラフルなボアを使ったシリーズで、色違いで集めたり、お揃いでつけたり、推し色で選ばれたりと非常に好評です。現在、シックなモノトーンやヒョウ柄など、続々新作が登場しています」

ほかにも「俺の」レストランとのコラボ企画や、アーティストの木村カエラや原宿系クリエイター・しなこらとのカラフルなコラボ、ハローキティらメーカーを超えたキャラコラボなど、多彩な企画は常に話題をふりまいている。

「『俺の』様とのコラボでは、“コース料理とモンチッチのセットで1万円”と高価でしたが、予約があっという間に埋まりました。お母さんと娘さん、モンチッチ好きのご夫婦などがご一緒されるなどの光景もモンチッチの企画ならではかもしれません」

やっぱり「本家」モンチッチ

 そんなモンチッチは今、どういう立ち位置にいるのだろうか。近年比較されるのは、若者を中心にブームを巻き起こした「ラブブ」だ。若い世代の間では「モンチッチに似てる」「モンチッチのニセモノ」などという声もあった。ラブブブームが、モンチッチ人気の再燃に一役買ったことはありえそうだ。

「ラブブが話題となり、“元祖”や“本家”などと言ってもらえたのはありがたいことでした。モンチッチは長く作り続けてきたことで、幅広い世代に認知してもらえたキャラクター。たとえば、おばあちゃんが好きだったモンチッチをお孫さんにプレゼントして、お母さんも含めた3世代でかわいがっていただける、そんな存在になれているのは嬉しいですね」

 さらに、先ほどコラボ相手として紹介したハローキティも、実は同年に誕生している。幾度ものブームを超えて完成されたグローバルキャラクターで、「殿堂入りキャラ」「スーパースター」と言っていい存在だが、幼馴染のような存在といえるかもしれない。

 年代や時代が違っても共通の「可愛い」存在。安心して贈れて、次の世代へ渡っていく。それは、一過性のブームでは得られないモンチッチならではの強みだ。

ファンの聖地

 筆者が子どもの頃、実家には初代モンチッチがいた。大人になって実家を出ると距離ができたが、20代後半に旅先で「ご当地モンチッチ」を手に取ったことをきっかけに、モンチッチ愛が再燃。それからは、旅に出るたびご当地シリーズを購入し、友人からも「モンチッチ好き」認定をされるように。気づけば家には何体ものモンチッチがいる。

 これ以上いたずらに体数を増やしてはいけないと、国内外のファンが訪れる有名なオフィシャルショップ――原宿・キデイランド、銀座・博品館、浅草・TOYSテラオ、上野・ヤマシロヤなどとは距離を置くようにしているが、さらにファンにとってたまらない場所があるそうで……。

「東京都葛飾区には、モンチッチ誕生の地である弊社の工場・旧本社の跡地につくられた『モンチッチ公園』があります。モンチッチのモニュメントやミニミュージアムなどがある『モンチッチエリア』には国内外からファンが訪れ、SNSの撮影をされたりしています」

 また、モンチッチ公園の最寄り駅である新小岩駅も、なかなかモンチッチ色に染まっている。北口駅前広場ではモンチッチモニュメントがお出迎え、駅周辺にはモンチッチをデザインしたマンホールや時計塔が設置され、おまけにラッピングバスも走っている。「モンチッチに会えるまち かつしか」というキャッチフレーズも、なんともファン心をくすぐるではないか。

 こうした商店街で長年愛される老舗、長寿番組のレギュラー、若手が次々と現れても、どんと構える大御所……モンチッチは、そんな“大ベテラン”に近い存在だ。流行は巡り、ブームは生まれては消える。その中でモンチッチは、世界征服もせず、炎上もせず、「可愛い存在」として生き残ってきた。

「モンチッチは常に自由。その時代に合わせた愛されるモンチッチをお届けしていきたいと思います」

取材・文/安川ヤス子
1974年生まれ。最推しは初代モンチッチ、ご当地伊勢海老モンチッチも好き

デイリー新潮編集部