「舌ピにカラコン」大河女優、衝撃の素顔 「キラキラは向いていない」異色アイドルの生存戦略
yosugala・汐見まといインタビュー
昨年の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で寛政三美人の1人・高島屋おひさ役を演じた汐見まとい。普段は4人組アイドル・yosugalaとして活動している。早大時代はコンカフェで働いていた。「べらぼう」でのチャキチャキした姿から想像もつかない素顔に迫るとともに、大河出演の経緯や初めての演技について聞いた。(全3回の第1回)【大宮高史/ライター】
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【写真】「舌ピにカラコン」姿も…「美少女すぎる」「和装も似合う」と話題になった大河に出演時の汐見まとい
2025年、汐見は「べらぼう」のほかにも民放やTVerのバラエティに出演し、yosugalaも12月にメジャーデビューを果たした。yosugala結成から3年半、さらなる飛躍の気配を見せているが、当人は冷静さも忘れていない。

「自分の知らないところで仕事が次々決まって、どんどん新しい環境になっていったので、新鮮だっただけでなく戸惑いもありますね。自分にそんなにスターみたいな気持ちがなくて、一般人寄りの感覚を持っているタイプだと思います。だから大河ドラマに出たり、メジャーデビューしたりするというのも、他人事とは言わないですが『えらいことになったな』という感覚はありました」
普段の汐見は、カラコンをつけ舌ピアス、トレードマークの黒のロングヘアでダウナーな雰囲気を醸し出す。「べらぼう」での和風美人ぶりしか知らないと、そのギャップに驚いてしまう。そもそも出演のきっかけは、汐見が「なんでも酒やカクヤス」のYouTubeチャンネルに出ていた時の動画だった。
「NHKのプロデューサーさんが、渋谷のアイドルファンが集まるお店に行って、おひさに合う子を探していたそうです。そこで何人か名前が挙がった中に私がいて、決め手になったのが、私が東京でひたすらお酒を飲んではしご酒をするその動画だったようです。『どこに縁があるかわからないな』と思いましたし、飾らない感じが町娘らしかったのかもしれません」
“本職”にこだわった「べらぼう」のキャスティングゆえの起用。出演を聞いた時のエピソードも、彼女らしい脱力感に満ちている。
「プロデューサーから連絡が来た時もお酒を飲んでいて、ワインボトル一本ぐらい空けていました。お話を聞いてすぐ『出ます!』って返信だけして寝ました。次の日に『変な夢見たな』とも思ったんですが、LINEを見て『本当だったんだな』と。演技の経験もなかったし、テレビに出たいわけでもなかったので、不思議な感じでした」
「ピアスをしていると大河ドラマのオファーが来ない」という都市伝説もあるが、ピアスは全部封印。しかしそれ以外は、ほとんど作り込まずに演じられた。
「ピアスは全部特殊メイクで埋めて、舌ピアスも外しました。おひさちゃんはチャキチャキした町娘で、おせんべいを買いに来たファンのような人が並んで、手渡ししてあげたりする役どころなんです。それは普段やっているアイドルの特典会とほぼ変わらないなと感じました。演技についても『素の汐見さんのままでお願いします』と言われていたので、普段の自分と地続きだったのかなと思います」
「ハードルは高かった」
せんべい屋の看板娘として、江戸のアイドルのような役どころゆえに白羽の矢が立ったわけだが、それでも「ハードルは高かった」と振り返る。
「おでこの髪も上げて、メイクもすごく薄かったですし、普段の自分がマックのフライドポテトだとしたら、“蒸したままのジャガイモ”のような状態でカメラに映っていました(笑)。演技だって配信でファンから『やってほしい』と言われても『絶対やらない』って言ってきたほど畑違いだったので……。普段の私のままを求められたのでできました。機会があれば、これからもお芝居には挑戦していきたいです」
アイドルとしての汐見も、メインストリームから外れてあえて我が道を行く。昨今は可愛さや自己肯定感を最大級に押し出す楽曲がSNSでバズっていく中、yosugalaはロック系のサウンドを駆使して強いメッセージを込めた楽曲にこだわっている。
「自分たちの楽曲は、いろんな人が 共感できるような楽曲になっていると思います。自分の葛藤や実体験などに基づいてパフォーマンスをするほうが、説得力が出ますし、それがyosugalaの強みです。可愛いアイドルさんに需要があるのと同じく、今でもちゃんと格好いいアイドルにも需要はあると実感しています」
芝居やライブ、ファンとの特典会や配信でも、無理に自分を飾る気はない。
「典型的なアイドルみたいな、キラキラした振る舞いは向いてないですね。そんなキャラを作っても、いつか絶対メッキが剥げるじゃないですか(笑)。自分も無理があるし、素の状態でステージに上がるほうが、確実に良さが出るので。人前にいる時も、常に自然体でいたいなと思っています」
ライブでの全力の歌姫ぶりに、こんな飾らない人柄が加わるのだから魅了されないわけがない。「べらぼう」おひさとのギャップも“沼”に引きずり込んでくれそうだ。
第2回【早大卒アイドルの壮絶な反抗期「家の壁に穴を開けた」 “毒親”への反発、真っ白な髪で通学した大学時代と「救い」】では、汐見が幼少期の頃や早稲田大学時代を振り返っている。
汐見まとい(しおみ・まとい)
2000年11月20日生まれ、東京都出身。22年6月22日、 恵比寿LIQUIDROOMにてyosugalaの一員でデビュー。23年3月に早稲田大学を卒業。yosugalaは23年5月には1stアルバム「ヨモスガラ」をリリース。25年12月5日発売の「ハルカカナタ」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビュー。
大宮高史
エンタメでは演劇・ドラマ・アイドル・映画・音楽にまつわるインタビューやコラムを執筆。そのほか、交通・建築など街ネタも専門分野。
デイリー新潮編集部
