「貸し切り」はどう訳す?【北村一真 月曜日の「英借文」】#26
北村一真さんによる英作文トレーニング! #26
英語学習者から大きな支持を得ている英語学者、北村一真さん。英文読解についての著作の多い北村さんですが、自身の英語力の基礎は、英作文によってつくられたと言います。
真の英会話力を効率的に身につけるには、「英借文」というコンセプトで英作文のトレーニングをするのがいちばん。数々の英語学習者を「上級」に導いてきた北村一真さんの指導で、毎週英借文のトレーニングをしてみましょう!
「英借文」のコンセプトについては第0回をお読みください。
トレーニング開始!まずは【例題】の和文英訳問題に独力で挑戦してみて下さい。この時点では瞬時に訳す必要はなく、少し時間をかけても大丈夫です。ひとまず英文ができたら、[解答・解説]に進んで、ポイントとなる表現を確認しましょう。解説を一通り理解したら、【練習問題】に取り組んでみましょう。
【例題】次の和文を英語に訳しましょう。
公園に誰もいなくて、貸し切り状態だった。
[解答・解説]
The park was empty, so we had the whole place to ourselves.
日本語の「貸し切り」というのは文字通りの意味に加えて、誰もいなくて好きなように利用できる状態の比喩としても用いますね。日常でよく耳にする言い回しですが、いざ英語で言おうとするとなかなか難しいかもしれません。「独占できる」と解釈することは可能ですが、occupy the placeなどのように言うと戦争で占領したかのような言い方になってしまいますし、monopolizeは市場などの独占に使うのが自然です。「場所などを自分たちだけでまるごと使える」ことを表現するのに一番自然なのは、have … to oneselfという言い回しです。今年の夏に完成した北朝鮮のビーチリゾートについて報じたCNNニュースで、ロシアの観光客のリゾートを独り占めできたという言葉を紹介するのに次のような1文が用いられていました(下のURL、二次元コードでその部分を確認できます)。
Darya says they basically had the whole place to themselves.
「ダリヤさんはほとんど貸し切り状態だったと言っています」
参照:https://www.youtube.com/watch?v=Ix-VOaZtvAc&t=53s
まさに「ほとんど貸し切り状態だった」や「ほとんど独り占めできた」という日本語で置き換えられる表現ですね。なお、have the whole place to oneselfのthe whole placeは「その場所まるごと全部」という意味ですが、もちろんここにhave the entire resort to oneselfのように具体的にその場所を表す名詞を置くこともできます。また、すでに場所が言及されている場合には、have it all to oneselfのように表現することもできます。
【練習問題】
早起きしたおかげで、ビーチを独り占めできた。
[解答]
As I got up early, I had the beach all to myself.
As we got up early, we had the whole beach to ourselves.
ポイント:「ビーチを独り占めできる」なので、have the beach to oneself、もしくはhave the whole beach to oneselfを使います。主語については文脈次第で自分一人ならI、「自分たち」ということならweが使えるでしょう。また、「早起きしたおかげで」は「おかげで」を活かすなら、thanks to getting up earlyと言うことももちろんできますね。
この1週間、【例題】【練習問題】の日本語を見て瞬時に英語に訳せるまで練習してみましょう。
プロフィール北村一真(きたむら・かずま)
1982年生れ。2010年慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。学部生、大学院生時代に関西の大学受験塾、隆盛ゼミナールで難関大学受験対策の英語講座を担当。滋賀大学、順天堂大学の非常勤講師を経て、09年杏林大学外国語学部助教、15年より同大学准教授。著書『英文解体新書』『英文解体新書2』(ともに研究社)、『英語の読み方』『英語の読み方 リスニング篇』(ともに中公新書)、『英文読解を極める』(NHK出版新書)、『文法知識と読解力を高める上級英文解釈クイズ60』(左右社)。共著『上級英単語 LOGOPHILIA』(アスク)など。
ヘッダーデザイン:明石すみれ

