矢沢永吉・B′z、『紅白』でのサプライズを成功させる条件 日本中の注目を経てさらなる伝説へ
2025年大みそかに放送された『第76回NHK紅白歌合戦』(NHK総合/以下、『紅白』)の視聴率が1月5日に報告され、第1部が30.8%、そして第2部が2025年の全番組トップとなる35.2%を叩き出した(※1)。
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好成績を記録した理由の一つは、特別企画の充実にあるのではないだろうか。“歌合戦”という要素は確かに年々薄らいでいるものの、今や『紅白』は、多彩な演出を背景に出演アーティストたちが魅力を存分に発揮する舞台となっていると言える。自分たちのパフォーマンスだけでなく、他のアーティストのバックでパフォーマンスをしたり、自身の作品ではない楽曲をカバー歌唱するなど、さまざまな“出しろ”が用意され、そのなかでも特別企画の存在は、特に目の離せないものになっているように思う。
矢沢は2025年、ソロデビュー50周年の記念イヤーを迎え、テレビ番組などにも積極的に出演したほか、9月26日には『矢沢永吉のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)も担当。ドンピシャの“矢沢世代”だけではなく、日本音楽シーンのレジェンドとしての姿を多くの人々の記憶に残した。
そんな中、12月25日に矢沢の『紅白』出場が正式決定した。しかし、発表当時は特別企画のなかで「ソロ50周年の節目に発表し、ドラマ主題歌としても話題を呼んだバラード「真実」を披露していただきます」(※2)とだけ伝えられ、詳細は明らかにされていなかった。2012年以来となる『紅白』で、矢沢がどのようなパフォーマンスを繰り広げるのか、そして『紅白』側がいかなるステージを用意しているのか、注目を集めた。
■空気をかっさらった矢沢のサプライズ演出
そんな2025年の『紅白』でとりわけ注目されたのが、矢沢永吉のサプライズパフォーマンスだったのではないだろうか。
そうして迎えた『紅白』本番では、2025年リリースの楽曲「真実」を都内から演奏。それだけでも十分に満足できるものだったが、その後「E.YAZAWA」のロゴが夜空に浮かび上がる演出を経て、矢沢本人が『紅白』の会場であるNHKホールに突如登場。司会の有吉弘行も「聞いてない!」と驚きの声を上げるなど、騒然とした雰囲気に包まれた。そして矢沢は「止まらないHa~Ha」(1986年)と「トラベリン・バス」(1976年)を披露。客席では矢沢のコンサートでは名物のタオルが舞い上がるなど、『紅白』の空気をかっさらった。
■「サプライズ出演」が成立する条件とは?
『紅白』という、日本の音楽番組の中でも特に注目度が高い舞台で、サプライズ出演/演出に応えられるアーティストは限られている。
視聴者の記憶に新しいのが、2024年の『紅白』の特別企画として出演したB'zだろう。これが、長いキャリアにあいても『紅白』初出場となったB'z。本番は、同年放送の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合)の主題歌「イルミネーション」のパフォーマンスに加え、NHKホールにサプライズで登場し、会場を大いに沸かせた。その後、「LOVE PHANTOM」(1995年)と「ultra soul」(2001年)の2曲を生歌唱。このパフォーマンスは「7分54秒の奇跡」とも称された。
B'zや矢沢のサプライズは、有無も言わさぬアーティストの実績があるのはもちろん、ドラマ性を生み出すための経緯が相まってこそ成立できるもの。逆に言えば、圧倒的かつ複数の要素が揃わないと“サプライズ”にならないのだ。
これらはきわめてハードルが高い演出であり、B'zや矢沢のようなサプライズを含んだ特別企画を2年連続で実現できたのは、むしろ「運をも味方につけることができた」と言ってもおかしな話ではない。つまり、5年先、10年先までこういった驚きのある企画が行われなくても決して不思議なことではないのだ。それだけ両者の企画には価値があり、一方でサプライズ演出との親和性が誰よりもあったと見ることができる。
2組ともすでに誰もが認める存在だが、『紅白』への特別企画枠での出場を経て、よりレジェンド化が進んだのではないだろうか。2026年も精力的な活動が予定されているが、音楽ファンとしてはその一挙手一投足が見逃せない。
矢沢は2025年11月には東京ドーム2DAYS公演『EIKICHI YAZAWA LIVE in TOKYO DOME「Do It!YAZAWA 2025」』を行い、その後は12月まで日本武道館3DAYSを含むツアー『EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR「Do It!YAZAWA 2025」』を開催。2026年もツアーを開催することを発表している。1970年代に在籍したロックバンド キャロルでのデビューから数えて、来年2027年には55年を迎える。“最長不倒”とも言えるであろうロックスターの軌跡が実感できるツアーになりそうだ。
B'zは7年ぶりのドームツアー『B'z LIVE-GYM 2025 -FYOP-』に続き、今年は全国アリーナツアー『B'z LIVE-GYM 2026 -FYOP+-』を開催することが決定。アリーナツアーは、ドームツアーからセットリストやステージセットを変更し、「2026年アリーナツアーVersionとして全国を廻ります」としている(※3)。パワーアップしたパフォーマンスとクリエイティビティが見られることは間違いないだろう。
『紅白』の歴史のその名を刻んだ矢沢永吉とB'z。両者は“生きる伝説”として、これからもさまざまな舞台で輝き続けることだろう。
※1:https://www.videor.co.jp/tvrating/past_tvrating/music/02/nhk-2.html※2:https://www.nhk.or.jp/kouhaku/topics76/topics-251225-1.html※3:https://bz-vermillion.com/livegym2026/
(文=田辺ユウキ)

