Video Game History Foundation(VGHF)のフィル・サルバドール氏が、1990年代後半にセガが展開したケーブルテレビ回線経由のゲーム配信サービス「セガチャンネル」の歴史を保存するための大規模なプロジェクトを2025年12月15日に発表しました。セガチャンネルは1990年代後半にサービスが終了して以来、データや資料が散逸したため、長年にわたり謎に包まれた存在となっていましたが、VGHFは2年間にわたる調査の結果、100以上の新たなROMを含む貴重な資料の復元に成功しています。

The Secrets of Sega Channel: VGHF recovers over 100 Sega Channel ROMs (and more) | Video Game History Foundation

https://gamehistory.org/segachannel/

Don't Just Watch TV: The Secrets of Sega Channel - YouTube

セガチャンネルは1994年に提供が始まったケーブルテレビ加入者向けのサービスで、専用カートリッジをメガドライブ本体に装着することで、毎月3000円でさまざまなゲームをケーブルテレビ回線経由で遊ぶことができました。また、ゲームのヒントやデモ、さらには日本やアメリカでは発売されなかったタイトルなども提供されていました。日本で発売されたカートリッジの実物や当時のマニュアル、画面などは以下のサイトにまとめられています。

■セガチャンネルについて・・・

https://www.lcv.ne.jp/~mgs1988/sega/segachannel.html

セガチャンネルは、「家庭のゲーム機に月額定額でゲームのデータを配信する」という点でまさに時代を先取りしたサービスだったといえますが、サービスが始まった1994年に発売された次世代機・セガサターンへの移行が進んだため、日本では1996年に、アメリカでは1998年にサービスが終了しました。

このプロジェクトはGDC Expo 2024において、VGHFがセガチャンネルの元編成担当ヴァイスプレジデントだったマイケル・ショロック氏と出会ったことから本格的に始動しました。当時、VGHFのブースでは、偶然にもショロック氏が表紙に写った販促パンフレットが展示されており、これをきっかけに協力関係が築かれたとのこと。



時を同じくして、「SegaChannnel Guy」という名で活動するコミュニティメンバーのレイ氏が元スタッフと接触し、セガチャンネルの内部データや多数のロムデータを含むテープバックアップを入手していました。ショロック氏の個人コレクションとレイ氏のデータバックアップを組み合わせることで、これまで謎に包まれていたセガチャンネルの運営実態や配信作品の全貌を解明する包括的なストーリーが構築されました。

今回の成果として、大きく分けて2つのコレクションが公開されています。ひとつは「マイケル・ショロック・コレクション」で、ここにはセガチャンネルの設立や視聴者層に関する内部文書、メモ、プレゼン資料などが含まれており、セガチャンネルの後継として計画されながら未発表に終わったPC向け配信サービス「Express Games」に関する情報も明らかになりました。



もうひとつはセガチャンネルのロムデータコレクション。当初、セガチャンネルで配信されていたゲームは142タイトルとされていたそうですが、再集計の結果、2つのバージョン違いが見つかり、合計で144タイトル存在することが確認されました。このプロジェクトにより、セガチャンネル独自のゲームはほぼすべて網羅されたとサルバドール氏は述べています。

特に、これまで消失したと考えられていた『Garfield: Caught in the Act - The Lost Levels』や『フリントストーン』といったゲームや、セガチャンネル専用のバージョンが多数発見されました。これらは開発中止になったプロジェクトがセガチャンネル専用コンテンツとして再利用されたものである可能性が高いとのこと。



また、かつて雑誌記事でセガチャンネル初の独占タイトルと報じられた『Ozone Kid』については、実際には配信されなかったことが確認されました。内部データによると、これは開発上の問題により1994年7月に計画から削除されたとのことです。

さらに、ファイルサイズ制限に合わせて内容が削減された特別版も保存されており、キャラクター数が減らされた『スーパーストリートファイターII』や、パスワード機能で分割された『ソニック3Dブラスト』などが含まれます。こうした1994年から1997年半ばまでに配信されたほぼすべてのタイトルに加え、ケーブルテレビ回線を通じてウェブサイトを配信するウェブブラウザのプロトタイプなども発見されたとのこと。



なお、サルバドール氏は、このプロジェクトはデータテープの専門家チャック・グジス氏の協力なしには実現しなかったと述べられています。グジス氏は2025年に亡くなりましたが、彼の技術によってテープからデータをサルベージできたため、その功績はデジタル保存コミュニティにとって計り知れないものだとサルバドール氏は称賛しています。