Image: Raymond Wong / Gizmodo US

体験だけでなく、ゲームのプレイ成績そのものをも左右するゲーミングギア。パソコン本体はもちろん、マウスもヘッドホンも、当然ディスプレイだって影響します。Samsung(サムスン)のゲーミングモニターOdyssey G7を米Gizmodoがレビューしました。けっこう辛口な結果に。

つい「おぉ…」と声が出てしまうモニターというものがあります。その手の優れたモニターは、通常、設置して線繋いで電源入れて画面を見て、初めて「おぉ…」と声が出ますが、サムスンのOdyssey G7は違います。箱を開けた途端に「おぉ…」が出ました。湾曲した大きなディスプレイに背面のリングライトで、箱から出しただけで高揚感が爆上がりです。が、結論からいうと、そこがピーク。実際に電源を入れてみるとちょっとガッカリ感が…。

Odysseyシリーズは今年すでにレビューしていまして、今年頭にOdyssey G75Fを触っていました。Odyssey G6(27インチOLED・360Hz)とOdyssey G8(27インチOLED・4K・240Hz)の間のモデルでした。が、Odyssey G7はまた全く違うタイプのディスプレイ。リフレッシュレートは180Hzですが、40インチの巨大ディスプレイ。しかも、OLEDではなくVA型液晶パネル。OLEDほどはないものの、液晶の中ではコントラストと黒が綺麗なパネルです。140ppiなので画像はシャープ。

OLEDではなく液晶派という人もいるので、明るさやら電力性能やら、どっちがいいかという議論はここでは避けましょう。要は、自分は美コントラストにいくらまで出すこだわりがあるかという個人の問題。

Odyssey G7は1,200ドル(約18万円)ほどですが、定期的にセールで750ドルほど(約11万円ほど)になっているのを見かけます。サムスンのモニターは、同スペックの他社製品よりも少し価格が上になりがちです。

美画面の足をひっぱるポートとケーブル

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

オフィスのモニターレビュー用のデスク(横眺め)に設置してみました。でかい。さすが40インチ。この画面サイズの1000R湾曲は、小さめ画面の1800Rよりずっと迫力があります。34インチのPhilips Evnia QD-OLEDや32インチのAlienware AW3225QFよりも没入感はずっと高い。迫力と没入感なら、たぶん57インチのOdyssey Neo G9が最高クラスだと思います。つまり、画面において大きいは正義。

湾曲画面は、とくにゲーマーなら大きなゲーム体験の差を感じると思います。 4KのOdyssey G7の最大画質は5120×2160で、一般的な4Kの3840×2160より上。画面アスペクト比は21:9、一部ゲームはこれに対応。ストリーミングサービスの映画・ドラマなども、プラットフォームによってはこの横長比に対応しているところもあります。

コンテンツの設定は置いておくとして、物理的なモニター設置は非常に簡単。フラットなベース部分にモニターのスタンドを差し込みネジをしめ、モニターアームをソケットに差すだけ! ポートはHDMI 2.1が2つ、DisplayPort 1.4入力ポートが1つ、USB-A 3.2が2つ、ヘッドフォンジャックが1つ。価格を加味すると、ポートが豊富とは言えませんね。

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不思議なのは、サムスンってケーブル整理に無頓着ぽいこと。モニタースタンドの裏にゴムのストラップが1つついてますが、これだけで各種ケーブルをきれいにまとめるのは絶対無理なんですよね。なんか、ひっかけるループとかあってもよさそうなのにな。

ポートとケーブルに物足りなさは感じつつ、メインのモニターはさすがです。背面のリングライトがまず個性的で楽しい。プリセットのパターンがいくつかあり、これでプログラミングライティング可能。このリングライトで壁(モニター背面)が照らされることで、没入感を高めるという狙いもあり。搭載スピーカーも、低音充分とはいいませんが悪くはないと感じました。

モニターはVESA DisplayHDR 600認定ありですが、色範囲は90%で、コントラスト比は3000:1 。また、Dolby Visionは非対応で、代わりにサムスン独自のHDR10+ゲーミング規格を採用。『レッド・デッド・リデンプション2』『サイバーパンク2077』など一部タイトルはHDR10+対応も、多くのゲームでは基本のHDR10です。

グレアが気になる 

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

Odyssey G7に採用されているVA液晶は、輝度も美しさも残念ながら最高クラスではありません。明るさは350nitsほどで普通。これだと、窓が近いデスクに設置すると画質に影響が出ます。暗い部屋なら問題なし。ゲームルームを地下に作った!という人なら何の心配もなし。日光が当たる場所だと、値段とサイズと質が釣り合わない気がして本当に残念。

何より最大の問題はグレア。周辺の光が映り込みやすいようです。で、想定よりも画像がクリアに見えないというね。

一般的な液晶モニターと同様にOdyssey G7の応答速度は1ms。有機ELだともう少し早くなります。それでいうと、Odyssey G7は応答速度1msだしグレア出がちだしで、いいとこなしになるわけで…。

ただし、本当に重要なのはゲーム体験にそれが差し支えあるかであり、それは大きな問題なし。最適環境だと他の液晶ならグレーに見えてしまいそうな黒もしっかり黒。『Hollow Knight: Silksong(ホロウナイト:シルクソング)』のように21:9のアスペクト比に対応しているゲームなら、周りが非常によく見えます。確かにコントラストはベストではないものの、その他の要素もあってゲーム体験はいい。

ただし、ベストなゲーム体験の話になると、タイトルによっては微調整が必要。『Total War: Warhammer III』は、21:9対応なのですが、テキストサイズやUIの大きさをマニュアルで設定する必要あり。『サイバーパンク2077』は40インチ大画面の迫力は素晴らしいものの、一緒に使うパソコンがこれをサポートできるかにもよります。また、PlayStation 5は21:9はデフォルトで非対応なので、4K画像が伸びるだけになります。

マルチタスクには最適

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

40インチもあれば、そりゃマルチタスクも捗ります。その上、角度・向きの自由度がけっこう高い。5度から20度まで角度つけられますし、左右は20度まで可能。特殊なマウントがないと縦設置は不可能ですけどね。ただ湾曲ディスプレイなので、理想はモニターの中心に自分がいること、それが没入感の最大値です。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

さらに、2つの端末に接続して使えるPiPモードもあり。PS5とPCゲームで使ってみたのですが、これ横に2つ並ぶ感じで悪くはないけど…。正直、大画面に1表示、小さな画面をレイヤーして角に表示のほうがよかったのでは? (個人的にはノートPCかタブレットをセカンドモニターとして使うほうがいいと思うけど)選択肢としてはもちろんありがたいですね。

総評

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

OLEDには負けるものの、美しい40インチのゲーミングモニター。ただ、その美しさを最大限発揮するには、部屋が暗いことが絶対条件。地下室でゲーム・作業する人にはおすすめします。日光がどうしても当たるという人は、モニターのポテンシャルを発揮できません。今年は有機ELのディスプレイが豊富なのでつい比べてしまいますしね…。

となると、Odyssey G7は湾曲液晶好きというけっこうニッチな需要になりそう。

いいところ:設置が簡単、適切な条件下では美画像、40インチモニターにしては画面角度の調整幅が大きい、マルチタスクしやすい、背面のRGBライトがユニーク

残念なところ:明るい場所だと画面クオリティ低下、輝度は低い、ゲーブルまとめ、HDMIポートに限りあり