ワンダ・ギアハート・フィアリング氏は、米国の大手映画館チェーンであるシネマーク(Cinemark)のチーフ・マーケティング&コンテント・オフィサーであり、小売業界のベテランとして映画業界を独自の視点から見ている人物である。同氏は、ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)やリミテッド・ブランズ(Limited Brands)のCMOを務めた後、2018年にシネマークへ参画。新型コロナウイルスのパンデミックにより製作活動が停止し、映画館チェーンが大きな打撃を受けるなかで、数年間にわたり同社のマーケティングを舵取りした。現在、テキサスに本拠を置く同社と映画業界全体は回復傾向にある。同社は今年上半期の総収益を約15億ドル(約2250億円)と報告しており、前年同期比13%の増加である。米国で304館、ラテンアメリカで193館を展開し、14か国で約9500万人の来場者を記録した。これは前年同期比で5%増である。さらに、有料会員制プログラム「シネマーク・ムービー・クラブ(Cinemark Movie Club)」は、第2四半期に145万人に到達し、前年同期比12%増、2019年比で50%以上の増加となった。これらの会員は北米における同四半期の興行収入の30%を占めた。無料会員と有料会員を含むロイヤルティプログラム全体では、興行収入の55%以上を占めている。フィアリング氏は、Modern Retailとのインタビューで、映画館における消費者需要の現状や、同社のロイヤルティプログラムおよび会員制度から小売業が学べることについて語った。
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――今年の映画館での消費者需要は過去と比べてどうか?
消費者需要は戻ってきていると思う。コロナ以降、スタジオからのコンテンツ供給は2年間ほど停滞していた。さらに2023年には脚本家と俳優のストライキもあった。完全な供給に戻ったわけではなく、2026年に映画本数が元の水準に戻ると予測している。しかし素晴らしいのは、消費者が家を出て没入体験を求めていることだ。大型の週末や大作の公開時には、コロナ前を上回る記録を更新した。たとえば、4月の『マインクラフト(Minecraft)』映画は大ヒットで、ファミリー映画として史上最大の3日間オープニングを記録した。また、『リロ&スティッチ(Lilo and Stitch)』や『ミッション・インポッシブル(Mission Impossible)』によって、メモリアルデー週末の史上最高興行収入を達成している。ジャンルを問わず、多くの好材料が見えている。
消費者はあらゆるデバイス・プラットフォームに分散しており、限られた予算でどうターゲティングするかが課題だ。そのため、インフルエンサーを活用した大規模なクリエイターキャンペーンを展開し、映画館体験の魅力を語ってもらっている。さらにAIを活用し、アルゴリズムやマーケティングの効率化を図っている。メディア支出をリアルタイムで調整し、人気が出始めたコンテンツに即座に予算をシフトできるようにしている。[原文:Cinemark CMO explains how theaters are luring in cash-strapped audiences]Mitchell Parton(翻訳・編集:島田涼平)