スダチに恋した夫婦 神山に移住し第二の人生【徳島】
神山町のスダチに魅せられ、移住を決めた一組の夫婦がいます。
自分たちの手で育てたスダチを、全国の人に知ってもらいたい。
スダチに対して強い思いを持つ、夫婦の第二の人生を取材しました。
■スダチの産地・神山町
人口4600人余りの小さな町、名西郡神山町。
県内有数のスダチの産地で、これから収穫期を迎えるスダチ農家は、不要な葉を取り除くなど、収穫前の作業に追われています。
■スダチ農家になるために移住?
スダチ農家の遠國優さん、悠子さんご夫妻。
5年前にスダチ農家になるために、ここ神山町に移住してきました。
(スダチ農家・妻 悠子さん)
「移住地をそれぞれ探している時に、たまたま知り合ったんですけど」
「じゃ2人で移住地を探そうかってなって、彼は農業をしたい、私は田舎に住みたい」
「農家のお嫁さんなら、なってもいいかなと思っていたので」
■運命の出会い
北海道出身の悠子さんは2016年、移住地を探すため住みなれた故郷を離れ、全国各地を回り、住み込みで農作業を体験する生活をしていました。
そんな時、小豆島で同じように農作物の収穫体験の旅をしながら移住地を探していた、優さんと出会いました。
意気投合した2人は、移住地探しの旅をはじめ、神山町を訪れた際に食べたスダチに魅了され、移住の地を神山に決めました。
■「理想の田舎暮らし」
(スダチ農家・妻 悠子さん)
「すごい良かった」
(スダチ農家・遠國優さん)
「言うことがないというか、最高の町ですね」
(スダチ農家・妻 悠子さん)
「理想の田舎暮らしができているのかなと」
そう話す2人ですが、移住にあたり農地を貸してもらえるのかなど、不安もありました。
■スダチづくりの師匠
しかし、神山の人たちは、遠國さん夫婦を温かく迎え入れてくれました。
「お疲れ様でーす」
(記者)
「師匠ですか?」
(スダチ農家・長尾英智さん)
「師匠ではないんやけどな」
長尾英智さん78歳、遠國さんにスダチづくりを教えた師匠です。
遠國さん夫婦に農地を紹介し、スダチの栽培も一から教えました。
師匠の教えもあり、5年前80本からスタートしたスダチの木も、今では450本まで増えました。
(スダチ農家・長尾英智さん)
「スダチの生産者がものすごく減ってきているので」
「これからスダチを維持していくには、移住者の人に頼らなければ、これからは増やすことができない」
「遠國さんには特に頑張ってもらいたい、次のリーダーとして」
(記者)
「リーダーって言われてますけど?」
(スダチ農家・遠國優さん)
「神山全体で考えてスダチを守れるように」
「みんなで、移住者も含めて頑張っていこうと思います」
■スダチ農家によるスダチ専門店
遠國さんは、スダチを栽培する傍ら「スダチ農家によるスダチの専門店」を立ち上げました。
「和柑橘とおくに」という名前で、自らが育てたスダチを使った手作りのお菓子を販売しています。
普段スダチにあまり馴染みのない人たちにも、その美味しさを知ってもらおうと、経験のないお菓子作りに挑戦しています。
(スダチ農家・妻 悠子さん)
「こういう味がいいなというイメージが勝手にあって」
「お土産でもらったら嬉しいスダチのお菓子は、食べた時に酸味がキュッとあって、スダチらしさを残しながらというお菓子なので」
「そういうお菓子を作ろうと思うと、なかなかやりごたえがあるなと感じています」
「これが試作したものです、スダチの半切りにしたような形にしたかったが」
「酸っぱさが足りなかったり、スダチらしさが足りなくてボツになったものです」
今まで試行錯誤を重ね、30種類以上のお菓子を作ってきましたが、いまだ自分が思い描くお菓子にはたどりついていません。
■スダチで恩返し
5年前、自分たちを温かく迎え入れてくれた神山町に、次は自分たちがスダチを通じて、町に恩返しをする番だと遠國さんは話します。
(スダチ農家・遠國優さん)
「四国と言えばスダチというのを、全国に名前を知ってもらえるように作っていきたいですね」
(スダチ農家・妻 悠子さん)
「日本もそうですけど、海外の方も最近はすごく(スダチを)知っていただいている部分もあると思うんですけど」
「まだまだなので、微力ながら産地から発信して広めていけたらいいなと」
■神山町のスダチに生涯ささげる
故郷を離れ、神山町のスダチに生涯をささげた遠國さん夫婦。
夫婦の挑戦は、まだまだ始まったばかりです。
