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「チョコレートの中に小さな虫!?」どんな虫?

筆者の自宅で、買い置きのチョコレートがあったことを思い出し、開封したところ、チョコレートに小さな穴が開き、その中にごく小さな白い虫がいたことがありました。

【閲覧注意!】これが「死番虫」ことシバンムシの姿 幼虫はどんな形?【画像5枚】

賞味期限は切れていて、長期保存している間に入り込んだ可能性が高いですが、、、それにしてもどこから入り込んだのでしょう。

害虫に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに、この虫についてたずねると、どうやら「シバンムシだろう」ということ。このシバンムシ、実は、一般家庭でしばしばみられる害虫なのだそうです。

ーシバンムシは、どんな害虫なのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「シバンムシ」は、漢字では「死番虫」。“死”の“番”をする虫のようで、なんとも縁起が悪い名前ですね」

「この名前の由来には諸説ありますが、その一つをご紹介します」

「シバンムシの仲間には、ヨーロッパ原産の木材害虫「マダラシバンムシ」がいます。この虫は英語で『death watch beetle(死の時計の虫、死を看取る虫)』と呼ばれています」

「マダラシバンムシはオスが頭を打ち鳴らし、音でメスに求愛します。石造りの建物では、その『コツ、コツ、コツ…』という音がよく響きます」

「静寂な場面でこの音が鳴ると、まるで死神が懐中時計を出して死者を迎えに来るように聞こえ、恐れられたのかもしれません」

「このような由来から『death watch beetle』、転じて『死番虫』と呼ばれるようになったのでしょう」

「当のシバンムシ自身は、メスの気を引くために一所懸命に鳴いているだけなのですが……」

日本の家庭にいるシバンムシは?

ー筆者が、古いチョコレートの中にみつけたシバンムシは?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「シバンムシの仲間には、木材ではなく私たちの食品を狙う変わり者もいます」

「今回は、よく見かける2種類をご紹介しましょう(ちなみにこの2種類は音を立てません)」

「1種類目は、タバコシバンムシ。かつては、乾燥葉タバコの大害虫として恐れられ、今でも葉巻愛好家にとっては悩みの種です」

「漢字では『煙草死番虫』と書きます」【画像①】(※虫な苦手な方は閲覧注意)

「2種類目は、ジンサンシバンムシ(人参死番虫)」【画像②】(※虫が苦手な方は閲覧注意)

「ここでの『人参』とは、ニンジンではなく漢方薬に使われるチョウセンニンジンのことです」

「高価なチョウセンニンジンを食害するため、漢方薬店を泣かせる虫として『クスリヤナカセ』とも呼ばれます」

「これら2種類は、名前に『タバコ』や『ジンサン』とありますが、実際には乾燥動植物質を幅広く食害します」

「世界的に『貯蔵穀物害虫』として、食品業界ではよく知られた存在です」

「そして、家庭内でも決して他人事ではありません」

「乾麺・スパイス・ふりかけ・小麦粉・茶葉・乾燥野菜・果物・海藻・クッキー・ビスケット・チョコレート・ペットフード・畳・革製品・標本・剥製・動物や昆虫の死骸や糞など……乾燥している動植物質なら、ほとんど何でも食べてしまいます」

「ただし、穀粒そのもの(お米の粒など)は食べません」

「近年はネット通販の普及や長期保存食品の増加、さらには夏場の短期間での世代交代(約1か月で卵から成虫)もありますし、住宅街でも簡単に見つかります」

ー未開封なら少々賞味期限が切れても大丈夫かと思っていましたが、家庭でも乾燥した食品を長期保存するときには注意が必要ですね。

「まさか自宅で虫が発生するとは思わなかったという例も耳にします」

成長するとどうなる?

ー成長するとどうなるのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「成虫はどちらも2~3mmほどの小さな虫です」

「幼虫時代の栄養状態で個体差はありますが、ジンサンシバンムシのほうがやや大きめです」

「色は、タバコシバンムシが茶色っぽく光沢があり、ジンサンシバンムシは黒褐色で光沢が乏しいのが特徴です」

「丸みのある体型、短い触角、よく歩き、ふわりと飛びます。死骸は、お腹を曲げ、脚が細いため、まるでゴマ粒のように見えます」

「幼虫は乳白色でうっすら毛があり、C字型の姿勢をとります」【画像③】(※閲覧注意)

ーチョコレートの中にいたのは、こんな姿でした…。

「乾燥食品や畳内部の被害跡では、粉状の食害跡や、唾液で固めた丸い小部屋(繭のような部屋)が見つかります」

「また、乾物や畳をかじり、1~2mmほどの丸い穴を開けるのも特徴です」

「【画像④】は食害にあったペットフードです」

ーこんな穴を見かけたら要注意ですね。

「シバンムシ類は毒を持たず、刺すこともありません。しかし、以下のような不快・経済的な被害をもたらします」

「乾物食品を粉状にし、糞や食害跡による不快臭を発生させる」

「包材や畳、標本などに小さな穴を開ける」

「アレルギーの原因になることもある」

「幼虫に寄生する『シバンムシアリガタバチ』【画像⑤】が人を刺すことがある」

1匹のメスから爆発的に増殖 対策は?

ーシバンムシをみつけたら、どんな対策ができますか?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「1匹のメスが50~100個ほどの卵を産むため、数が少ないように見えても、数世代で爆発的に増えます」

「1匹でも侵入を許し、そこに産卵されると、やがて家中のあちこちで見つかるようになります」

「早期発見・対処が何より重要です」

発生しやすい場所と対策ポイント

【発生しやすい場所】

キッチン・パントリー:袋の口が開いている乾物食品、木箱のそうめんや放置された乾燥昆布など

押入れ・納戸:古い畳や五月人形など革製品、長期間置きっぱなしの荷物

ペットフード置き場:しばらく使っていないペットフードは要注意

【予防・駆除のワンポイント】

こまめな掃除と換気:棚や隙間の粉や埃を除去

乾物は密閉容器に:チャック袋でも良いですが、密閉容器のほうが効果的です。

成虫を見つけたら即除去:掃除機やテープで捕獲し処分。複数見かけたら家の中で発生している可能性が高いです。

発生源の特定と処分・隔離:廃棄または密閉隔離を。冷凍庫保管や熱湯処理も有効です。

大量発生や発生源不明の場合は専門業者へ相談:畳や壁内など、見えない場所まで調査・駆除が可能です。

【まとめ】

タバコシバンムシやジンサンシバンムシは、決して珍しい虫ではなく、意外と身近な場所から侵入してきます。大切なのは、発生源を突き止めて早めに処理すること。

小さな虫だからと油断せず、日頃の清掃や保管管理を徹底し、快適な住まいを守りましょう!