「トランプ支持」を貫いたハリウッド俳優たち “ハリス旋風”が席捲した業界で何を訴えていたのか
トランプ役を演じたMCU俳優
ハリウッドでは、日本でも高い人気を誇る俳優たちが次々と「ハリス支持」を表明し、投票を呼び掛けていた。大きなニュースになった例は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の「アベンジャーズ」シリーズでおなじみの7人による動画だ。
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スカーレット・ヨハンソン(ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ)の呼びかけに応じ、オンライン会議で集結したのはマーク・ラファロ(ブルース・バナー/ハルク)、ロバート・ダウニー・Jr.(トニー・スターク/アイアンマン)、ドン・チードル(ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシン)、ポール・ベタニー(J.A.R.V.I.S./ヴィジョン)、ダナイ・グリラ(オコエ)、クリス・エヴァンス(スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ)。7人がユーモアを交えながらハリス支持を訴える動画は、投票日の5日前に公開された。
この場にいなかったセバスチャン・スタン(バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー)は、若き日のトランプ氏を描いた話題作「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」(2025年1月17日日本公開)で何とトランプ役を演じている。
とはいえ、トランプ支持ではない。投票日の2日前に出演したイベントで「マンハッタンの会員制クラブに入り、壁に名前を刻まれるために戦い続ける、偏執的で怖がりの小さな男がいる。彼はあなたの状況なんて気にしていない」とトランプ氏を酷評した。
政治と一線を引いていた名優も
「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」(2025年2月公開)でサディアス・ロス大統領/レッド・ハルクを演じ、80代にしてMCU入りした超ベテラン俳優といえばハリソン・フォード。90年代の代表作「エアフォース・ワン」でも専用機の中で敵と戦う大統領を演じた“大統領俳優”は、ハリス陣営のキャンペーン動画に出演した。
フォードはその長い俳優人生において、政治的な活動と一線を引いていたことでも知られている。そんな彼が、「かつてトランプ政権にかかわった多くの人々が、『またあのようなことになってはダメだ』と警告している」などと真摯に訴えたことは、世界中で大きなニュースになった。
他にもアーノルド・シュワルツェネッガーやレオナルド・ディカプリオ、マイケル・キートンなど、ハリス支持を表明した俳優は多い。ハリウッドでは明らかに大勢を占めているものの、それでもトランプ支持を表明した俳優たちはいったい何を主張していたのだろうか。
トランプ支持でキャリア崩壊の報道も
「トランプに投票した理由」について自身のSNSに長文を投稿したのは、現在77歳のジェームズ・ウッズ。軍人の父を持ち、全額奨学金で進んだ大学で政治学などを修めた頭脳の持ち主でもある。俳優としては「ゴースト・オブ・ミシシッピー」や「サルバドル/遥かなる日々」で米アカデミー賞ノミネート経験を持つベテランだが、近年は「オッペンハイマー」の製作総指揮としても脚光を浴びた。
ウッズが明らかにした「トランプ支持の理由」は明快だ。彼が憂いているのは「全米で増え続ける犯罪」、「崩壊寸前の米国経済」、「もはや存在しない国境」、「文化を破壊するトランスジェンダー」など。「そんな米国を立ち直らせることができるのはトランプとヴァンスだ」としている。
前述のMCU俳優たちに迎合せず、「トランプ支持がキャリアの崩壊を招くのでは」とまで報じられていたのは、MCU「マイティ・ソー」シリーズやDC「シャザム!」シリーズなどで知られるザッカリー・リーヴァイ。現在44歳のリーヴァイは、当初支持していたロバート・F・ケネディ・Jr.氏の撤退を受け、トランプ支持に回った。
リーヴァイは9月下旬、ケネディ氏のイベントに司会として出演。「我々はこの場所を完全に崖から突き落としたい人々に乗っ取られてしまった国で生きている。そして、我々はそれを止めるためにここにいる」「我々はこの国を取り戻す。この国を再び偉大な国にする。トランプ大統領こそ我々をそこに導くことができる」と主張した。
イーストウッドの“匂わせ投稿”?
メル・ギブソンが今回のトランプ支持を明らかにしたのは、空港で応じた短いインタビューでのことだった。聞き手が「推測するとトランプ氏(に投票するの)では?」と尋ねたところ、「いい推測だ」と返答。ハリス氏について「彼女のIQはフェンスの柱並み」と痛烈な一言を浴びせた。ただしギブソンといえば、破壊力ある暴言を録音したテープの流出騒動が記憶に新しい。当時の暴言と比較すると今回の発言は軽いジャブ程度だろう。
微妙なのがハリウッドの重鎮、今年94歳ながらいまだ現役のクリント・イーストウッド。8年前の大統領選ではトランプ支持だったが、4年前は不支持だった。今回は支持を明確にしたというニュースがなく、代わりに「アプレンティス」の監督を断っていたという“第三者の証言”が一部で報じられている。
では今回も不支持なのかと思いきや、9月末に自身のXアカウントで意味深なスリーショットを公開していた。写っているのは右からジョン・ヴォイト(ボイト)、メル・ギブソン、イーストウッド。ヴォイトと前述のギブソンはトランプ支持である。これを“匂わせ投稿”と受け取ったトランプ支持者たちは、「本物のハリウッドのヒーロー」「あなたたちは全員、歴史の正しい側にいる」といった返信で賛辞を送っていた。
デイリー新潮編集部