Intelの次世代プロセッサは70%以上を自社工場で生産してTSMC依存から脱却しメモリも増設可能に、ダウ平均からの除外やAIチップ苦戦などの逆境の中で起死回生の一手となるか
IntelはノートPC向けプロセッサ「Panther Lake」を2025年に、デスクトップ向けプロセッサ「Nova Lake」を2026年にリリース予定です。2024年第3四半期決算発表に合わせて行われた電話会議では、Panther LakeとNova Lakeの大部分をIntelの自社工場で生産予定であることが明かされました。同時にノートPC向けプロセッサのメモリ仕様を変更することや、AIチップの販売目標を達成できなかった理由なども明らかになっています。
https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1716/intel-reports-third-quarter-2024-financial-results
Intel Corporation (INTC) Q3 2024 Earnings Call Transcript | Seeking Alpha
https://seekingalpha.com/article/4731858-intel-corporation-intc-q3-2024-earnings-call-transcript
◆自社工場での生産割合を増やしてTSMC依存から脱却
記事作成時点のIntelのノートPC向け主力プロセッサであるLunar Lakeは、TSMCの工場で生産されています。次期ノートPC向けプロセッサとして開発されているPanther Lakeについて、Intelのパット・ゲルシンガーCEOは「Panther Lakeの70%以上がIntelの工場で生産される」と発言し、TSMCへの依存を減らす方向性を示しました。また次期デスクトップ向けプロセッサのNova Lakeについても「一部を外部に委託することも検討しているが、Nova Lakeの大部分は自社生産となる」と述べています。
Intelは2024年8月に自社工場でPanther Lakeの生産に成功したことを報告しています。IntelはPanther Lakeの量産を2025年中に開始予定で、Panther Lakeの生産に用いる生産技術「Intel 18A」を活用して他社の半導体も生産することを明らかにしています。
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なお、ゲルシンガーCEOはTSMCとの関係について「TSMCは素晴らしいパートナーです」「我々はTSMCとの関係を重要視しています」と述べていますが、電話会議の数日前には「ゲルシンガーCEOの2021年の発言が原因で、TSMCとの値引き交渉が撤回された」ということが報じられています。
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◆ノートPC向けプロセッサのメモリ内蔵方式をやめてメモリ増設可能に
Lunar Lake世代のプロセッサにはCPU・GPU・NPUに加えてメモリも内蔵されているため、Lunar Lake搭載ノートPCはメモリの増設や交換が不可能となっています。ゲルシンガーCEOによると、パッケージにメモリも含む設計方式はLunar Lakeの一度限りのものとのこと。Panther LakeやNova Lake以降の世代では従来通りメモリをパッケージに含まない設計となるそうです。
◆AIチップ「Gaudi 3」は目標に届かず
IntelはAIチップ「Gaudi 3」を2024年第3四半期にリリースしました。Intelは2024年内にGaudi 3だけで5億ドル(約760億円)の収益を得る計画でしたが、目標は達成できませんでした。ゲルシンガーCEOは目標を達成できなかった理由について「Gaudi 2からGaudi 3への製品移行やソフトウェアの使いにくさが採用率に影響した」と説明しています。
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◆ダウ平均の構成銘柄からIntelが除外される
Intelは1999年にダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)を構成する30銘柄の1つに採用され、その後26年にわたって構成銘柄の地位を保ってきました。しかし、ダウ・ジョーンズは2024年11月1日にIntelを構成銘柄から外して代わりにNVIDIAを組み入れることを発表しました。ダウ・ジョーンズは構成銘柄変更の理由を「半導体業界などをより適切に反映するため」と説明しています。なお、構成銘柄の変更は2024年11月8日に実施されます。