萩原利久

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 俳優の萩原利久が1日、第37回東京国際映画祭で行われた映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025年4月公開)の舞台あいさつに登壇。役づくりにおいて「いつもの何倍も選択肢を増やして、現場の要素から何を選ぶかを考えて演じていました」と、これまでと異なる試みに挑んだことを明かした。

 本作は、お笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介が2020年に発表した小説を、映画『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』などの大九明子監督が実写化したラブストーリー。主人公の冴えない大学生・小西徹を萩原、小西が恋に落ちるヒロイン・桜田花を河合優実が演じている。イベントには河合、伊東蒼、黒崎煌代、大九監督も登壇した。

 パッとしない大学生活を送る小西役を演じた萩原は「日傘をさしているとか、さえないとか、見える部分、キャラクター的な部分から入るのは危険だと思いました。小西の考えや行動を分析することから始めました」と役づくりを振り返る。

 また「(小西に)共感できる部分、共感できない部分があって、普段なら正解のようなものを探して、この子は多分こういう場所ならこうするだろうというのを決めて演じるんですけど、今回はそういうことを決めずに、いつもの何倍も選択肢を増やして、現場の要素から何を選ぶかを考えて演じていました」とも。

 一方、主人公・小西の生活を変えていくヒロイン・桜田を演じた河合は「彼女の姿勢やお団子頭、衣装だったり、メイクだったり。外堀を埋めるように、脚本を読んだり小説を読んでいると、小西の目線で桜田が語られるので、最初は小西から見た桜田、観客から見た桜田とか、自分の外から見た彼女のイメージを思い浮かべ、それ中心に役をつくっていきました」と話す。

 大九監督は、ジャルジャル・福徳の小説を映画化することになった経緯について「プロデューサーから提案を受けたんです。小説を読むと、とあるシーンで、登場人物の一人が熱量を持って喋り出すシーンがあって、それを小説ではありえないほどのページを割いていて、それを映像にするのは楽しそうだなと思ったんです」と説明。同シーンを本作の見どころの一つに挙げ、「今日はとても若いフレッシュな、才能溢れるキャストを連れてきましたがいろんなキャストが他にも出ています。私にとっても特別な作品になりました」と自信を覗かせた。(取材・文:名鹿祥史)