試合2日前に倒れていたフリーマン プレー断念の危機も「絶対にやめないよ」壮絶な舞台裏が判明
ドジャースがワールドシリーズ制覇
米大リーグのドジャースは30日(日本時間31日)、敵地ニューヨークで行われたヤンキースとのワールドシリーズ(WS)第5戦に7-6と逆転勝ちし、2020年以来4年ぶり8度目の世界一に輝いた。WSのMVPに輝いたのは初戦から4試合連続本塁打を放ち、12打点を挙げたフレディ・フリーマン内野手。右足首負傷をおしての出場だったが、実は他にも肉体にアクシデントがありながら最後までプレーを続けていたという。父親に対し「絶対にやめないよ」などと強い意思を示した舞台裏を米記者が伝えている。
WS第1戦で史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打を放ち、チームを勢いづけたフリーマン。ニューヨークに舞台を移した第4戦まで毎試合本塁打を放ち、12打点はWSタイ記録という大暴れだった。シーズン終盤、9月26日のパドレス戦で右足首を捻挫。ポストシーズンでは足を引きずりながらベースランニングするなど、懸命のプレーを見せていた。
そんなフリーマンだったが、実は肋骨も骨折していたという。米スポーツ専門局「ESPN」はジェフ・パッサン記者の署名記事を掲載。「ドジャースのポストシーズンが始まる2日前、フレディ・フリーマンは実戦形式の練習でスイングした際に、胸郭に痛みを感じた」と負傷した時期を記し、こう続けた。
「翌日の10月4日、フリーマンが足首の負傷があるにもかかわらずプレーできると宣言した記者会見を終えたのち、彼はドジャースタジアムのバッティングケージに戻った。ライブBPに向けてスイングをしたいと思っていた。最初の12スイングの1つ1つに脇腹がうずいた。13回目のスイングで、フリーマンは体中に衝撃を感じ、地面に崩れ落ちた」
当時の様子についてパッサン記者は「床から立ち上がることすらできず、ダグアウトの隣にあるレントゲン室に運び込まれた」と記述。「決定的な結果は出ず、午後9時半頃、彼は電話を受けた。ドジャースは、さらなる画像検査のためにサンタモニカまで車で行ってほしいと頼んだ。彼は車に飛び乗り、MRI検査室に入った。午後11時半頃、結果が届いた。フリーマンは第6肋骨の肋軟骨を骨折していた。これは通常、選手に何カ月もの戦列離脱を強いる怪我だ」と同日のフリーマンの動きを追った。
プレーはもちろん、呼吸するのも苦しい状態。その様子を見たフリーマンの父・フレッドさんは「フレディ、これはそれほどの価値があるものではない。君が野球を愛していることは知っているよ。私だって野球を愛している。君がこれから経験するであろうことは、割に合っていないよ」とポストシーズンのプレー断念を促したという。
だが、フリーマンは猛反論。記事では「彼は、私がまるで狂ったかのように見つめ、こう言ったんだ。『父さん、僕は絶対にやめないよ』」といった言葉も紹介した。体はボロボロになりながらも、WSを最後まで駆け抜けたフリーマン。精神力の強さを見せつけたシーズンだった。
(THE ANSWER編集部)