ニイナさんはわけもわからぬまま、なかば強引に自室に押し込まれ、その日は大志さんに会えずじまい。彼に何度LINEを入れてもずっと未読スルー。

「さらに次の日、そのアラフォー男性に話を聞きました。気を遣われてハッキリとは言われなかったんですが、要するに私が大志君をストーカーしていて、それで病んだ大志君が鬱っぽくなってしまっている――っていう噂が流れてたっぽいんです」

 ニイナさんはすぐにピンときて、「ヤラれた!先手打たれた!」と思ったそう。どういうことなのでしょうか?

「というのも、大志君ってすごくソトヅラはいいんだけど、付き合ってるうちに意外と利己的だし保身的だし、我が身かわいさから意外といろいろ計算してるっていうのはちょっと感じてて、彼のことがなんだか怖いなって思うときがあったんですよね……。

 だから『ハメられたんだ』って直感しました。“人懐っこいみんなの人気者”の彼が、私のことを悪者だと吹き込んでまわったら、そりゃたいていの人は大志君を信じるよなって」

シェアハウスを退去することに

 ニイナさんは大志さんとまともに話し合える機会もなく、広まってしまった悪評の誤解を解くこともできず、いたたまれなくなってシェアハウスを退去することにしたそうです。

「今思うと大志君は、私とサシ飲みはするけどまだ付き合ってないっていう時期に、ハウス内のあるアラサー女性に言い寄られて困ってるって愚痴ってたんですよね。

 ただ、それからすぐにアラサー女性は退去したんで、一件落着したと思ってました。でも、もしかするとその女って、実は大志君の恋人だったんじゃないかなって思うんです。私という次の彼女候補ができたから、私に乗り換えるために切り捨てた。

 ……この仮説がもし当たっているとしたら、私に別れを切り出して私の悪い噂を吹聴してたときに、すでにいい感じになっている次のターゲットの女がいて、見事にスライドしたんでしょうね」

 筆者はニイナさん側の主張しかヒアリングできておらず、また彼女の憶測の要素も多いため、真相は闇の中ですが、もし彼女の考察が的中していたとしたら、大志さんはとてつもなくクズな「人たらし」ということになるでしょう。

<文/堺屋大地>

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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi