俳優・山口祥行【3】スマホでしか見られないコンテンツなど、これから新しい事に挑戦したい!
【画像】撮影は常にケガの危険…「内臓とか頭とかでなければ何とかなる」
本宮泰風さんとW主演を務め、2013年に始まったオリジナルビデオ「日本統一」シリーズを始め、映画「覇王」シリーズ(小沢和義監督)、映画「大激突」シリーズ(港雄二監督)など主演作品も多い山口祥行さん。11月1日(金)から、崔哲浩さん、福士誠治さんとトリプル主演を務めた映画「ぴっぱらん!!」(崔哲浩監督)が公開されている。
■クランクアップが誕生日、オメデトウケーキが空を飛んで…2013年に始まり、現在64話までDVDリリース中の大人気ビデオシリーズ「日本統一」は、不良少年・氷室蓮司(本宮泰風)と田村悠人(山口祥行)が日本から抗争をなくすため日本極道会の頂点を目指す様を描いたもの。
クールな性格で頭がいい氷室と熱い性格で言葉よりも先に手が出る武闘派・田村。真逆な主人公二人の抜群のコンビネーションも魅力。2022年にはシリーズ初の映画「劇場版 山崎一門〜日本統一〜」(辻裕之監督)が公開。今年4月には、シリーズ10周年記念作品として、これまで描かれてこなかった氷室蓮司の“父親”としての側面に焦点を当てた映画「氷室蓮司」(辻裕之監督)が公開された。
沖縄での抗争後、突然氷室(本宮泰風)の携帯に猿ぐつわをされ椅子に縛り付けられた氷室の息子・悠太の写真が届く。悠太が高校の修学旅行で行った台湾で行方がわからなくなったことを知り、氷室は一人で台湾へ…という展開。
「『日本統一』ってW主演と言っても氷室蓮司が主演じゃないですか。てっぺんに来るのは
氷室なので、『その“スピンオフ”って、何だそりゃ?』って思われちゃうから、どういう風にアナザーストーリーを作っていくか、監督、プロデューサーと考えましたよね。だからこそ、泰風がOKするかどうか不安でしたね」
――本宮さんにお話しされた時はどうでした?
「『氷室のスピンオフ?よくわかんねえよな』って言われて(笑)。最初はあまり乗り気じゃなかった。それならば氷室の家族の話に徹して、俺らがほとんど出ない方がいいってなって。だから俺は台湾にも行かないということにしました」
――それまであまり氷室蓮司の私生活は描かれていなかったので新鮮でした
「そうでしょう?それで、今までの『日本統一』にはない、ちょっとしたサスペンスにしようってなったんですよね」
――首謀者が意外な人で驚きました
「あれは結構驚きでしたよね。自分もつらい思いを経験しているのに、蓮司の子どもを殺そうとしていたのか、ひどいじゃんって。悪いですよね(笑)」
――メイキング映像を拝見したら、山口さんがクランクアップの時に盛大にケーキを顔面にぶつけられてクリームだらけになっていましたね
「そうそう。俺、誕生日だったんですよ。『おめでとうございます!』って言われて、ベチャーッてやられて、衣装までぐちゃぐちゃでした(笑)」
――本宮さんには阻まれていましたね
「本当ですよ。泰風にもベチャーッてやろうとしたんだけど、嫌がられてテーブルで阻まれました(笑)。行こうと思ったんですけど、『この衣装はダメだ』って言われて」
――あのあとが大変だったでしょうね
「俺は自分で落としてないんですよ。顔とか髪もクリームでべっちょりでしたけど、メイクさんが優秀なので(笑)。全部やってくれました」
――和気あいあいとしていて楽しそうでしたね。いい現場だなって思いました
「『日本統一』の現場はああいう感じですよ。俺が一番なめられていますからね(笑)。泰風はプロデュ−スもやっているから雑には扱われないんです」
■内臓や頭でなければなんとかなるもの
11月1日(金)から、主演映画「ぴっぱらん!!」がテアトル新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開されている。韓国語で「ぴっ」は【血と雨】、「ぱらん」は【風】を意味するということで、タイトルの「ぴっぱらん!!」【血と雨と風】は、まさしく百鬼の歴史を切り開こうとする3兄弟の人生の代名詞。
25年前、全国で名前を轟かせていた百鬼(なぎり)3兄弟だったが、突如一家の大黒柱の父・百鬼剛(金守珍)が何者かに暗殺された。次男・百鬼要(崔哲浩)は、父の意思を継ぎ、百鬼組を継ぐが、元百鬼組の政治家・福沢正志(三浦浩一)は選挙を控え、同じ堂心会の丹羽組組長の丹羽毅(永倉大輔)が刑務所から出てくるタイミングで、麻薬ビジネスを発端に襲撃事件が起こる。大阪で一目置かれている三男・百鬼湊(福士誠治)のピンチを助けた長男・百鬼峻(山口祥行)は、本家と構えることになった次男・要を助けに、湊と共に要の元に現れ、壮絶な闘いに挑むことに…。
――お話が来た時はどんな感じでした?
「崔(監督)は昔から知っているので、『いいよ』と。ちょっと今っぽくないストーリーなんですよね。泥臭いでしょう?兄弟愛も色濃く出ているし、そういう世界観がいいなあって思います」
――昭和の雰囲気を感じさせますよね
「そうなんですよ。だから、ちょっと面白そうだなって思いましたね。血のつながりとか民族的なこととかもあるし、その中でのヒューマニズムとか…そういう説明を受けた時に、ちょっと面白そうだなと思って。
正統派でもないし、家族としては成り立っていないところもあるけれど、思いだけはよその家族に負けないような家族です。見える優しさではない、見えない優しさを描いているのかなと思います」
――この映画でもダイナミックなアクションをされていますね
「階段落ちのシーンは、アクションチームも昔からよく知っている人たちだからやりやすかったですね。本番当日に殺陣師が来ないんですよ。電話でこういうのをやってみたいなことを言うだけで(笑)。でも弟子の人たちがしっかりと準備してくれたのでスムーズに行き、安心して挑めました。
常にケガの危険はあります。ただ、内臓とか頭とかでなければ何とかなる、っていうのを経験していますからね。ギブスをしていてもそこを映さなきゃいいじゃないですか(笑)。テレビの世界でそれはやらないですけど」
――だからすごいですよね。皆さんやっぱり鍛えられているというか、慣れているというか
「いやいや、だいたい何とかなるもんですよ。『監督とカメラマン、頼むぜ!』っていう感じですよね。何だかんだ言っても現場は楽しいですよ」
――オリジナルビデオ作品と映画の現場で一番違うのは?
「スピード感が違うっていうのは感じますよね。若い時は空気感もだいぶ違うってすごく感じていたんですよ。でも、もう50歳を超えると、どの現場でもあまりそういう空気の違いを感じなくなり、大元は一緒だなって感じるようになりましたね。どの現場に行っても楽しんでいますね」
■小沢仁志さんと一緒だとだいたい職質されるコワモテ俳優として知られているが、実は大の犬好き。「ダンベル」くん(チワックス・13歳)、「エル」くん(ミニチュアダックスフント・3歳)、「スミス」くん(ピットブル・2歳)、3匹の愛犬の優しいパパ。スクリーンで見せるコワモテの役柄とのギャップも魅力。
――今一番ホッとするのは、ワンちゃんたちといる時ですか
「そうですね。可愛いですよ。家の中で飼っていますけど、よく遊んでいます」
――ワンちゃんのお話をされている時はお顔が変わりますね
「そうなんですよ。やばいですよね(笑)。とにかく可愛い。ダンベルはもう15歳になるから階段も降りられないし、上がれない。耳が遠くなったのか大きい声で言わないと聞こえないみたいで心配ですよ。シニアだからフードとかもいろいろ気をつけています」
――ペットフードを小沢(仁志)さんと一緒に買いに行った時に職務質問されたことがあったそうですね
「そう。職質されました。小沢さんと一緒だとだいたいやられる。パトカーが通り過ぎたなと思ったら、サイレンを鳴らしてUターンして来たり(笑)。
新宿駅でも小沢さんと一緒の時に鉄道捜査官に呼び止められましたよ。小柄な女性捜査官が『ちょっといいですか?』ってすごい剣幕で。上司の方は気付いて、『この人たちはいいんだよ』って言っているのに、『いや、でも風貌が』と言って引かないんですよ。
それで俺『この人がでしょう?』って聞いたら、『そうです』って。俺じゃなくて小沢さんなんですよ(笑)」
――小沢さんと一緒じゃない時もありますか?
「ひとりの時もありますよ。俺は花粉症で帽子とマスクをしているから、コロナ前とかはよく職質されました。コロナ禍でみんながマスクをするようになったらなくなりましたけど、それまではよくありましたね(笑)。
いちいち説明しなくちゃいけないから大変なんですよ。ポケットの中身を全部出させられたりして。『あっ!』って途中で気づいたり、わかってくれる人は素通りしてくれたりして。
ただ警察の中でも新人を教える研修期間があるんですよ。そういう時は絶対ダメです。上司の警察官が俺を使って『こういう風にしてこうやれ、ああやれ』って新人に指導するんですよ。『講習に付き合っているのかよ、俺は』って感じで(笑)。最近はないですけど、以前はよくありましたよ。兄ィ(小沢仁志)は毎週やられていると思いますけどね(笑)」
――ワンちゃんの散歩ではどうですか?
「俺はほとんど声をかけられないです。帽子を深く被っているし、あまり気づかれないですね。ただ、犬が大きくて目立つから、『あれっ?スミスだ。もしかして山口さんですか?』って声をかけられることはあります。犬の方が俺より知られているんですよ(笑)」
――今後新たにやってみたいことはありますか?
「新しいことはやってみたいですよね。例えば、スマホ向けの作品というのがあるじゃないですか。そういうのはちょっと気になりますよね。できるかどうかかは別にして、こういうコンテンツもあるんだというのは勉強になります」
俳優としてだけでなく、声優、ファッションモデル、ブランドデザイナーなど幅広い分野で活躍している山口さん。コワモテな雰囲気とダイナミックなアクション、ギャップ大のチャーミングな笑顔で暴れ回って欲しい。(津島令子)
ヘアメイク:坂口佳那恵
衣装:1PIU1UGUALE3 RELAX