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企業などに属さずフリーランスとして働く人の環境を整備するための法律が、11月1日に施行されます。フリーランスの人への報酬を60日以内に支払うことなどが企業などに義務付けられます。

11月1日に施行されるのは「フリーランス・事業者間取引適正化等法」で、フリーランスとして働く人が不当な扱いを受けないよう、業務を委託する企業などに義務を課すものです。業種や業界の限定はなく、今年11月1日以降に締結、更新された契約が対象です。

まず、企業がフリーランスの人に委託した業務の内容、納品日、報酬の額、支払期日などの取引条件について、「口約束」などではなく、「書面」かメール、SNSのメッセージなど「電磁的方法」いずれかで明らかにすることが企業側に義務付けられます。(この「取引条件の明示義務」はフリーランス同士の取引でも義務となります)

また、報酬について、企業側は発注した物品等を受けとった日から原則60日以内のできる限り早い日を支払期日として設定し、それまでに報酬を支払わなければなりません。

■「これもついでにタダでよろしく」はダメ 7つの禁止事項

また1か月以上の業務委託をした場合、企業側には、次の7つの行為が禁止されます。

1.(委託した物の)受けとり拒否
2.報酬の減額
3.返品
4.買いたたき(通常の場合に比べて非常に低い報酬など)
5.正当な理由なく発注側が指定する物品の購入や利用の強制
6.経済上の利益提供を不当に要請する(契約にはない荷積み作業を「ついでによろしく」などと頼む)
7.不当に内容変更・やり直しを命じる

こうした行為は、フリーランスの人の了解や合意を得たり、発注側に違法性の意識がなかったりしても違法となります。

■育児・介護との両立 配慮義務

そして、6か月以上の業務委託の場合、フリーランスの人が育児や介護などと業務を両立できるよう、申し出に応じて必要な配慮をしなければならないと盛り込まれています。(6か月未満の業務を委託する場合は努力義務)

たとえば「子どもの急病で予定していた作業時間の確保が難しくなったため、納期を変更する」「介護のために特定の曜日はオンラインで働けるよう調整する」などです。

逆に以下のような行為は禁止されます。
「フリーランスの人が子育てや介護に関連して配慮を申し出る場合に、膨大な資料の提出を求めるなど、手続きをわざと煩雑にする」「出産のためにできなかった業務量に相当するよりも多い額を報酬から削る」(企業側が、やむを得ず必要な配慮を行うことができない場合には、配慮を行うことができない理由について説明することが必要だということです)

■フリーランスへのハラスメント防止

企業側は、フリーランスの人に対するハラスメント(セクシュアルハラスメント、出産した人の契約を解除するなどマタニティーハラスメント、暴力や過大な要求といったパワハラなど)をしてはならないという方針を明確にし、企業内で周知・啓発するほか、ハラスメントに関するフリーランスの人からの相談や苦情に応じ、適切に対応する体制の整備、ハラスメントがあった場合、迅速かつ適切な対応なども義務化されます。

■途中解除は30日前までに予告

6か月以上の業務委託を途中で解除する、更新しないなどの場合は、企業側からフリーランスの人に対して、原則として30日前までに予告しなければならないとし、予告の日から解除日までに、フリーランスの人から理由の開示の請求があった場合には、理由を開示することも企業側に義務付けられます。

■もし違法行為があった場合は

フリーランスの人は、違法行為があったという場合は、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省に申し出ることができます。これらの省庁は、その申し出の内容に応じて、企業など発注側に対して立ち入り検査など調査を行い、指導・助言のほか、勧告を行い、勧告に従わない場合には企業などに改善を命令し、企業名を公表することができます。命令違反には50万円以下の罰金があります。

また、企業側は、フリーランスの人が行政機関の窓口に申し出をしたことを理由に、契約解除や今後取引を行わないようにするといった不利益な取り扱いをしてはならないと定められています。

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