「全面高」状態の昭和学院(千葉・市川市)

写真拡大

首都圏にある中高一貫の男子校と女子校に続いて、前回は共学校の1回目として埼玉を取り上げた。志望者増で元気な中堅・中位校が多く見られたが、今回の千葉と茨城にある共学校の2025年入試はどのような状況にあるのだろうか。(ダイヤモンド社教育情報)

千葉孤高のトップ校「渋幕」

 2025年中学入試は、中堅・中位校を中心に人気が上昇する傾向にある。6月から7月に実施された四模試(サピックス、四谷大塚、日能研、首都圏模試)の志望者数合計を前年同期と比べ、24年や23年入試での実倍率も参照しながら、千葉と茨城の共学校について、25年入試の競争状況を考えてみたい。年内に第一志望者を集めた入試を行い、一定数の入学者を確保することに特徴がある。

 前回見たように、東京や神奈川の受験生が模試的に受ける埼玉に比べ、千葉や茨城の場合は地元の実需が中心となる。そのため、実倍率は2倍台の入試が多く、結構シビアな競争状況である。千葉には男女別学校が女子校2校しかない。埼玉とは異なり、首都圏トップの共学校もある。かつては公立王国だったこともあり、千葉と東葛飾という県立高校のツートップが共に中学を併設するなど、県の教育委員会も本気で巻き返しを図っている。いずれも難関・上位校レベルである。

 茨城の場合は、県がさらに気合を入れて、「第一」が校名に付く県立高校中心にエリアのトップ校を軒並み中高一貫化してしまった。公立中高一貫校が13校と、東京の11校を抜いている。こうした流れを受けてか、つくば・取手・土浦エリアを中心に中高一貫校受験熱が近年高まりを見せている。

 千葉の難関校受験生は、1月20日の朝に幕張メッセ会場で市川を受験、午後には歩いて昭和学院秀英の午後特別入試へ。21日は東邦大学付属東邦、22日には渋谷教育学園幕張(渋幕)といった具合に、毎日併願することが可能となっている。

 高校の開校が1983年、中学は86年に立ち上がり、それから40年ほど。渋幕(千葉市美浜区)は、千葉はもとより首都圏の共学トップ校として、確固たる地位を築いた。東京からの受験生も多く、東京や神奈川の難関校の合格を辞退して本校を選ぶ例も少なくない。

 志望者数で見ると、[22日一次](左は入試日、右は入試名。以下同じ)は微減、[2月2日二次]は前年並みで、一次は24年実倍率2.96倍がいささかマイルドに、二次は同7.66倍の水準を25年も保つことになりそうだ。一次の受験者数は1969人(うち女子は592人)で、23年1898人、22年1797人、21年1661人と毎年100人ほど増えている。実は、20年には受験者数が2058人だったので、翌年400人近く減少したことから「渋幕ショック」と驚かれたことがある。歩留まりを考えて合格者数を絞ったことが背景にあるのだが、そういう意味では、まだ回復途上にあるのかもしれない。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)