石橋静河&内田有紀が女優賞に輝く!NHKドラマ『燕は戻ってこない』東京ドラマアウォードで3冠
2024年10月28日、都内で「東京ドラマアウォード 2024」の授賞式が開催された。NHKで放送された連続ドラマ『燕は戻ってこない』での演技が評価され、俳優の石橋静河が主演女優賞、同ドラマより内田有紀が助演女優賞を受賞した。本ドラマは連続ドラマ部門で優秀賞を獲得しており、3️冠となった。(取材・撮影・文 田中景子)
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3冠獲得となった『燕は戻ってこない』
『燕は戻ってこない』は代理出産をテーマとした桐野夏生さんによる小説が原作。石橋は、お金も夢もない29歳の派遣社員・大石理紀を演じた。
理紀はワーキングプアの状態にあるため、元トップダンサーで自らの遺伝子を継ぐ子どもを望む草桶基(稲垣吾郎)と、不妊治療を諦めた妻・草桶悠子(内田)夫婦と代理出産の契約を結ぶ。報酬は1000万円。
揺れ動く登場人物たちの心情と生殖医療の光と影を描き、話題を集めた。
トロフィーを持った石橋は「このような賞をいただきまして、うれしく思っています」とほほ笑み、「今回私は大石理紀という、貧困や社会格差に苦しむ女性を演じました。この作品の中では、大石理紀を“かわいそうな人”という小さな枠に収めない描き方をしていて、私はそれがすごく好きでした。この原作を書いてくださった桐野夏生さん、体が思わず体を動かしてしまうような脚本を書いた長田育恵さん、スタッフ、キャストのみなさん、素晴らしい方々で感謝しています。最後に、この企画を立ち上げから最後まで引っ張ってくれた板垣麻衣子プロデューサーに感謝を申し上げます」とスピーチした。
主演女優賞を受賞した石橋静河
助演女優賞を受賞した(左)内田有紀と(右)石橋静河
読むのと演じるのは随分違って…
助演女優賞となった内田は登壇すると「この空気を1回吸いたい」といい、壇上で目を閉じて大きな深呼吸。
「このような素敵な賞をいただけて本当にうれしく思っています。助演女優賞という言葉の重みを感じております」と感慨深く話した。
「主演の石橋静河ちゃんをはじめ、みなさん一丸となって、代理出産をテーマとしてつくったドラマ。血や骨や肉すべて演じた女性に染み込ませなきゃ向き合いきれなかった作品だと思う。桐野さんの原作は、どのキャラクターも人として美化せずに、感情をむき出しにそのままを書いた非常にリアリティのある物語。ですので、読むのと演じるのは随分違って、最初は不安に思ったり悩んだりしました」と苦労と吐露。
心強い支えがあり撮影と向き合えた
続けて「助演」という意味をしみじみと噛みしめたという内田は、「監督の田中健二さん、プロデューサーの方々、脚本の長田さん、みなさんが心強く支えてくれて、揺れながら、呼吸しながら、日々の撮影に向き合えた。今日、素敵な賞をいただけて、〈寄り添って〉いける俳優であるように、一歩一歩を大切に進んでいきたい。この賞をいただけたことで、スタッフのみなさんを信じて今日までやってきたことが認められたと感じている。評価してくれたみなさん、本当にありがとうございました」と感謝と決意を述べた。
今年で17回目となる「東京ドラマアウォード」は、作品の質の高さだけではなく、「市場性」や「商業性」にもスポットを当てて、世界水準で海外に売れる可能性が高いテレビドラマを選出・表彰するイベント。
今回、対象となる作品は前年7月1日から表彰年6月30日に放送された作品となる。司会は脚本家の三谷幸喜、フリーアナウンサーの有働由美子が初めて務めた。
「東京ドラマアウォード2024」受賞作品・受賞者は下記の通り。
■作品賞
<連続ドラマ部門>
グランプリ…『VIVANT』(TBS)
優秀賞…『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』(NHK)/『燕は戻ってこない』(NHK)/『不適切にもほどがある!』(TBS)/『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ)
<単発ドラマ部門>
グランプリ…『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(NHK)
優秀賞…『未解決事件 File.10 下山事件』(NHK)/『侵入者たちの晩餐』(NHK)/『ブラック・ジャック』(テレビ朝日)/『生きとし生けるもの』(テレビ東京)/『PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024』(フジテレビ)
<ローカル・ドラマ部門>
『京都のお引越し』(朝日放送テレビ)/『琉球歴史ドラマ 阿麻和利 THE LAST HERO』(琉球放送)
■個人賞
主演男優賞…草磲剛(デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士)
主演女優賞…石橋静河(燕は戻ってこない)
助演男優賞…若葉竜也(アンメット ある脳外科医の日記)
助演女優賞…内田有紀(燕は戻ってこない)
脚本賞…宮藤官九郎(不適切にもほどがある!)
演出賞…金子文紀(不適切にもほどがある!)
主題歌賞…Creepy Nuts「二度寝」(不適切にもほどがある!)
特別賞…脚本家・山田太一