大観衆の中、始球式を務めた松井秀喜氏

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 ゴジラとユニコーンがニューヨークで初合体! ヤンキースOBの松井秀喜氏(50=ヤンキースGM特別アドバイザー)とドジャースの大谷翔平投手(30)が30日(日本時間31日)にヤンキー・スタジアムで行われたヤンキースとドジャースのワールドシリーズ(WS)第5戦で初めて同じフィールドに立った。2009年のWSでMVPに輝いた松井氏が始球式を務めたのだ。「1番・DH」で先発出場した大谷も左肩を亜脱臼した影響も忘れ、大いに刺激を受けたはずだ。

 ヤンキースのジャンパー姿の松井氏がフィールドに登場するとヤンキー・スタジアムは地鳴りのような大歓声に包まれた。手を上げて応えながらマウンドへ。捕手を務めたトレビノに山なりの“ストライク”を投じると大きな拍手が送られた。松井氏は笑顔で応えた。ヤンキースの4連敗でWSが終了していれば幻に終わっていただけに、前夜の勝利は大きかった。打者を立たせる日本式なら打席の大谷に松井氏が投げる“初対決”が実現しただけに残念だ。

 松井氏がピンストライプのユニホームでプレーしたのは03年から09年の7年間。第3戦で始球式を務めたデレク・ジーター氏(50)がヤンキース一筋20年で世界一5回、第4戦のポール・オニール氏(61)が93年から引退する01年までの9年間でWS制覇4回と比べると、プレーした期間は短い。

 しかし、ヤンキースが最後に世界一に輝いた09年のフィリーズと対戦したWSで日本選手初のMVPに輝いている。特にヤンキー・スタジアムで行われた第6戦では2回にペドロ・マルティネスから右翼2階席へ先制2ラン、1点リードの3回二死満塁で中前に2点適時打、5回には勝負を決める右越え2点適時打を放ち、「MVP」コールを浴びた。それ以降、ヤンキースがワールドシリーズから遠ざかっていただけにその功績は光を増している。15年後の大舞台で大トリを飾るのは当然だ。

 また、大谷の前で投げたのもドラマ。松井氏は日本の本塁打王、大谷は投打二刀流でともに大注目の中、メジャーへ移籍し、1年目から結果を出した。エンゼルスでプレーしているのも共通点だ。面識はないが、お互いにリスペクトしている。

 松井氏は大谷がメジャー挑戦後、再三、絶賛している。昨年6月17日に大谷が米通算150本塁打を達成した際には「大谷選手が何をしても誰も驚かなくなった。それが彼の存在」と語り、4月21日に自身を超える日本選手最多の176号を放つと「彼の存在の大きさ、選手としての素晴らしさを思えば、私の数字と比べる必要はない」と強調していた。

 一方、大谷もWS開幕前日の24日(同25日)に松井氏について「直接会ってすごく話したってことはないんですけど、画面の中の人というか、本当に自分が少年の頃に憧れた選手っていう感じですし、子供たちの模範となるような人であり、選手だと思うので、相当影響受けたんじゃないかなと思います」と尊敬を口にしていた。選手、ファンの誰からも愛される大谷のお手本なのだ。

 ヤンキースの世界一を願う松井氏だが、大谷をさらに燃えさせたとしたら…。どんな形でドラマが決着するのか。世界中の野球ファンが注目している。