飲食業界で働いたのち転職したという「コンビニ副店長」氏。Xには同業者からの悲鳴が寄せられている

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深刻な人手不足が叫ばれる今、多くの職場が採用難にあえいでいる。そうしたなか、ひと昔前までは採用されなかったような“ヤバいバイト”が現場に大量発生しているという。常識やモラルが疑わしい人材でも雇わざるを得ない、壮絶現場の実態とは?バイトの横暴で疲弊する社員や店長、バイトリーダーたちを直撃!
◆店長より偉い“バイト様”。頼みの綱は勤勉な留学生

「ひと昔前と比べ、アルバイトに応募してくる日本人の質が変わってきたと感じます」

そう語るのは、大手コンビニ従業員としてXで情報発信する「コンビニ副店長」氏(50歳)。8年ほどコンビニで働いており、長年アルバイトの採用にもかかわってきたという。

「バイトで生計を立てるフリーターはほとんどおらず、高校生や主婦など、片手間にバイトをしようという人がほとんどです。いざ採用しても、コミュニケーション能力に難があったり、店長に歯向かったりする人も多い」

態度の悪さだけでなく、悪事を働いたスタッフもいた。

「パートで入っていた主婦バイトがレジのカネを盗んでいたんです。総額で数千円でしたが、さすがにその人は解雇しました。あとはいくら教えても仕事が速くならないおじいさん。朝の通勤ラッシュ時に長蛇の列をつくり続けたので、常連さんから大クレームものでした」

そうした事情もあってか、同氏は「むしろ外国人のほうが戦力になる」と続ける。

「彼らは仕事を失えば生活ができなくなるので、とにかく一生懸命。大手コンビニ3社は外国人用の研修プログラムも行っていますし、むしろ外国人を優先して採用しているきらいもあります」

勤勉で真面目な日本人像は、もう過去のものかもしれない。

◆カフェ採用も砂漠状態。消えた大学生バイト

チェーン店を20年近く転々とし、現在は埼玉県のファストフードの店長代理を務める金澤裕也さん(仮名・46歳)もまた、人材確保の難しさを明かす。

「かつてはカフェで働くことに憧れる学生もいましたが、それは昔の話。最寄り駅から車で15分という立地もあってか、応募は半年で3〜4件ほど。大学生など引く手あまたの人材は、時給のいいバイトをかけ持ちしているのか、一日10時間近くなんていう長時間シフトはまず出しません」

現在、金澤さんの店では近所の主婦と高校生が主力となり、ギリギリでシフトを回している状況だという。

「それでも平気で当日欠勤するバイトも多く、始業の10分前に『休みます』と連絡が来ることも。代理で入れる人を自主的に探すわけでもないので、その割を食うのは我々、管理職です。近所の主婦たちは責任感が強く頼りにはなりますが、彼女たちは我が強い。昼と夜のバイトリーダー同士が担当業務の分担でよくけんかしています。店としてはどちらも手放せない大事な戦力なので、やめないように気を使いつつ仲裁。本社と現場アルバイトの板挟みになる店長の仕事は、昔よりずっと神経を使います」

 もはや店の主導権は店長にはなく、“バイト様”の時代なのだ。

取材・文/週刊SPA!編集部