「ここならナンパされる心配もないから」「外国人と日本人が肩を組みながら雑談」…若者の《渋谷ハロウィーン離れ》が進む一方で「新宿二丁目」に人々が集まる「意外な理由」
若者ならぬ”バカ者”たちによる路上飲酒やゴミのポイ捨てを受けて、昨年に引き続き”厳戒体制”で幕開けた、渋谷のハロウィーン。
前編『《現地リポート》「渋谷ハロウィーン」にコスプレ大好き外国人が「急増中」…!区長は「渋谷に来ないで」と直訴するもすでに訪れた「ヤバすぎるカオス」』に続いて、後編ではカオス化していく街の様子とともに、渋谷とは対照的に異常な盛り上がりを見せた新宿2丁目エリアをリポートする。
仮装姿の外国人がEDMに合わせてダンス
ハロウィーン本番に先立つ10月26日、時刻は夜の11時すぎ。現代ビジネス取材班がふたたび渋谷を訪れると、センター街にはカオスな光景が広がっていた。酒に酔いすぎたのか、雑居ビルの下で体育座りのまま爆睡している女性や、周りから介抱されているも白目を向いていたり、土下座の体勢のまま気を失っている男性までおり、繁華街ならではの光景が広がっている。
さらには、路上にたむろする外国人の数も増加。アニメ「ONE PIECE」のルフィやミニオンの着ぐるみ、そのほかにも女性警官やアニメ「ドラゴンボール」のピッコロのコスプレをしている外国人の集団が、持参したスピーカーでEDMを爆音で流しながら楽しそうに踊っている。どこから持ってきたのか、缶チューハイを飲んだりタバコをふかしている外国人も多い。空き缶や吸い殻が路上に散らばっており、まるでスラム街のような光景が広がっていた。
もちろん渋谷区から委託されたスタッフが注意を促しているが、このような状況に肩を落としているのは、渋谷ハロウィーンをナンパの漁場としている若者も一緒だ。今年10月に公開された映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」になぞらえて、ジョーカーのコスプレをしていた20代の男性はこう嘆く。
「ぶっちゃけ自分は女の子目当てでここ(渋谷ハロウィン)に来たんすけど、まあ渋いっすよね。歩いていても若い女の子は少ないし、仮装してるのも外国人ばかり。さすがに英語でナンパするのは厳しいし、マジで苦戦してます…」
警察官に仮装した女性に「俺のこと逮捕してくれませんか?」
関西出身のこの男性は、一昨年のハロウィーンは大阪・難波で、ホラー映画「チャイルド・プレイ」のチャッキーの仮装をして参加。さらに去年は渋谷で、ディズニー映画「リメンバー・ミー」のヘクターの仮装をして参加したという大のお祭り好き。このような厳しい状況でも、まだ秘策はあると取材班に語る。
「去年の渋谷ハロウィンも渋くて、路上でナンパするのが厳しい感じだったんで道玄坂にあるクラブに行ったんすよ。そしたら仮装してるってだけで女の子からのウケもよくて、その日にお持ち帰り成功したんで、今回もその手を使おうかなって感じっす(笑)。もう少し見てダメそうだったらクラブに場所を移そうと思ってます」(同上)
事実、この日も道玄坂周辺を散策していると、クラブが立ち並ぶ路地は、多くの日本人の若者たちで混雑していた。そのなかには警察官のコスプレをしている女性もいて、すれ違う男性に「お姉さん、俺のこと逮捕してくれませんか?」と声をかけられていた。
クラブの看板に目を向けると、ハロウィーン限定のイベントを実施している店なども多く、次々に若者たちが吸い込まれていく。クラブの行列に並んでいた男性グループの一人は、こう語る。
「正直な話、渋ハロとかもうオワコンっすよ(笑)。もう仮装してるのは外国人くらいしかいないし、同世代の子と遊びたかったらクラブに行くしかないんです。なんというか説明しづらいんだけど、こういうイベントがある日って”かかってる”女の子も多いんで、けっこう狙い目なんすよ」
新宿二丁目は仮装してる人々で大盛況
その一方で、渋谷とは対照的に異常な盛り上がりを見せていたのが、新宿二丁目エリアだ。時刻は深夜の2時すぎ。取材班が現地を訪れると、路上には溢れんばかりの人の姿が。マリオやヨッシーといった有名なキャラクターのほか、アニメ「魔法少女まどか★マギカ」の鹿目まどかなど、様々な仮装をしている人びとが、道端で酒を飲み交わしているのだ。
なぜ新宿二丁目では、ここまでハロウィーンが盛り上がっているのか。その理由を、ポケモンのシャワーズのコスプレをする、現役のドラァグクイーンの男性はこう語る。
「新宿二丁目は私たちみたいなドラァグクイーンの聖地だからね。性別に関係なく自分をさらけ出せる場所だから、ハロウィーンではみんなで盛り上がろうとするし、派手な格好をする人が多いんだと思う」
その言葉どおり、取材班が路地裏に足を踏み入れると、人が通る隙間がないほど混雑していた。そこでは外国人と日本人が肩を組みながら雑談したり、酒を飲み交わしたりと、グローバルな交流が繰り広げられていた。
「ここならナンパされる心配もないから」
仕事の都合で数年前から日本で暮らしているという、妖精の仮装をした20代のアメリカ人女性は「これまでは渋谷でハロウィーンを楽しんでたけど、去年からお酒にすごいうるさくなったから、友達に誘われて(新宿)二丁目に来たの」と笑顔で話す。
その一方で、新宿二丁目ならではの理由でハロウィーンを楽しみにきた女性もいた。
「この街って女性に興味のない人ばかりだから、ある意味安心してお酒が飲めるんですよ。私も以前まで渋谷のハロウィーンに行ってましたが、あそこは『一緒に飲まない〜?』とかすぐにナンパしてくるからウンザリしてて。ここだとそういうこともないから、周りを気にせずに楽しめるんですよね」(20代・女性・中国人)
ハロウィーン本番は、いったいどんな波乱が巻き起こるのか。くれぐれも事件や事故には巻き込まれぬように注意してほしいものだ。