(左から)水島裕、かかずゆみ、野村道子、水田わさび(撮影・持木克友)

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 アニメ「ドラえもん」の野比のび太役で知られ、7月に88歳で死去した声優・小原乃梨子(おはら・のりこ、本名・戸部法子)さんのお別れの会が30日、都内で行われた。

 祭壇は小原さんが好きだったというバラ2500本で彩られた。柔和な笑みを浮かべる小原さんの遺影の隣には、のび太や「ヤッターマン」のドロンジョといったアニメキャラクターのパネルが並び、小原さんによって命を吹き込まれてきた登場人物たちも約350人の参列者とともに別れを惜しんだ。

 「ドラえもん」で、のび太の同級生・しずかちゃんを演じた声優・野村道子(86)は「のび太さん、しずかちゃんと言い合って26年」と長きにわたり、支え合ってきた盟友への思いを吐露。ドラえもん役で知られ、9月に90歳で死去した声優・大山のぶ代(本名・山下羨代=やました・のぶよ)さんも含めた3人で「プライベートもよく遊んだ」と打ち明けた。

 野村は「外国旅行は、小原さんが外渉係。英語で全部の交渉を彼女がこなしてくれて。食べることは大山さんが全部引き受けて、私はどっちにしようかだけ」と回想。ベルギー旅行が特に思い出深いと話し「小便小僧を見るか、ワッフルを食べるかで3人でもめて。結局は両方とも行ったんだけど」と目を細めた。

 ジャイアン役のたてかべ和也さんが2015年、スネ夫役の肝付兼太さんが16年に亡くなっており、当時の主要キャストで存命なのは野村だけ。「あたしだけ残っちゃったなと。5人組が私だけになっちゃいました」と寂しそうにつぶやいた。

 会には、声優の水田わさび(50)、羽佐間道夫(91)、水島裕(68)、かかずゆみ(51)らも来場。現在のドラえもんの声を務める水田は「新人時代に発声方法や滑舌、正しい日本語を全て教えてくださって。なんて後輩思いな先輩だったんだろうと。小原さんが入ってくるとスタジオにキレイな花がパッと咲くようで」と涙ながらに故人の人柄を明かしていた。