〈新橋・ガールズバー刺殺〉あだ名は“ヒロポン”“ボンボン”法律の専門学校に通ったバツイチ男は「当時もキレやすかった」店外デート断られ逆上か
客として訪れた東京・新橋のガールズバーで従業員、谷沢優奈さん(18)を刺殺したとして警視庁に逮捕、殺人容疑で送検された千明博行容疑者(49)=群馬県渋川市=が「谷沢さんとは今年6月にマッチングアプリで知り合い、店に通うようになった」「谷沢さんから外で会いたくないといわれた」と供述していることがわかった。また、千明容疑者が高校卒業後に上京、通学していた法律専門学校の同級生が取材に応じ、生真面目だがキレると手がつけられなくなるという容疑者の一面を証言、犯行の動機の一端が垣間見えた。
〈画像多数〉ニッコリと笑う制服姿の谷沢さんと取材に応じる千明容疑者の母親、供えられた酒瓶と花
あだ名は“ボンボン”、ロレックスをして仕送り生活
千明容疑者は茨城県で農業を営む両親のもとで育った。♯2で報じた母親の記憶では、司法試験合格が目標とみられた千明容疑者は、実際には司法書士を目指して勉強していたようだ。都内の法科専門学校の司法書士学科で同じクラスだったという男性が証言した。
「彼は専門学生時代からロン毛で黒色が好きなオタク風の見た目でしたが、当時は千原ジュニア似の細身で、目ぶたは一重でした。40人ほどのクラスの中では目立たないタイプで、必要以上に人に近づかない感じでした。
バイトもせず仕送りだけで生活していたので、実家が裕福なのかなぁと思っていました。そのためか、周りの生徒は陰で『ぼっちゃん』と呼んだり、薬物の昔の呼び名にちなんで『ヒロポン』と呼んでいる人もいました。キレやすかったので、目の前では呼べませんでしたけど」
金に困っている様子は全くなく、年齢や雰囲気に不釣り合いな装いも「ぼっちゃん」感を高めていた。
「時計は金無垢のロレックスをしていました。成人式にはクリスチャンディオールのスーツで行ったらしく『テレビのインタビューを受けた』と自慢していましたね。
でも社交性があるほうではなく、特定の4人グループで一緒に居ることが多かったです。女の子にモテていた印象は全くないし、当時は女性にそんなに興味がなさそうな感じでした。タバコは吸わなかったし、酒も飲まなかったと思います。夜遊びもしていませんでした。
口下手で無口な田舎から出てきた素朴なお兄ちゃんでした。彼は根っからの悪人ではないと思います」
授業にも熱心で成績も上位だったという。しかし…
「基本時に真面目で勉強をすごくしていて成績も上の方だったし、頭はよかったと思いますが、沸点が低く突然切れるイメージがありました。だから、なるべく怒らせないようにしていました。とっつきにくい感じがあって、自分が嫌いになった人はとことん嫌いになるタイプだったと思います。だから、今回の事件はなんとなく想像がつくんです」
専門学校のクラスで席替えがあり、その際の千明容疑者の豹変ぶりが男性には忘れられないという。
「席替えで移った先の机の中に教科書が入っていたことに腹を立てて、教室のゴミ箱に投げ捨てたんですよ。教科書の持ち主は女子生徒で、見かねた男子生徒が『千明、頭おかしいよ』とゴミ箱の中から教科書を取り出したんです。
すると千明は怒り狂って、その生徒を3~4発殴りつけ、最後にはハイキックまで繰り出していました。周りの生徒に『やめといた方がいいんじゃない?』と諌められ、最終的に謝っていましたが、感情を抑えきれない危なさはありました」
「人につかわれたくない」と話していた
男性も「直接被害」を受けたことがあるという。その当時、男性の机は千明容疑者のすぐ後ろだった。
「授業中に千明が寝ているのに気づいたので、私が後ろの席から椅子の足や底の部分を軽く蹴って起こしたら、急に怒り出したんです。そのときは足を何回も踏まれましたよ」
生真面目だがキレる沸点が低く、融通がきかない田舎のボンボン。そんな千明容疑者は、都心の家賃10万円ほどのけっこうなマンションで優雅に暮らしていた。
「群馬県の実家からは遠くて通えなかったんでしょうね。学校の最寄駅でもある駒込駅近くのマンションに住んでました。学校から近いので、昼休みに友達3~4人で彼の部屋に行って昼食をとることもありました。
部屋の中はシンプルでしたよ。でも彼は、僕らを泊めさせることは決してなかった。夜遅くまで遊んで終電を逃して『泊めさせてくれ』と頼んでも『ここは人を泊めちゃいけないところだから』と頑なでした。そんなことが何回もありました。
司法書士を目指していたので、管理規約を守る真面目さはあったんですね。司法書士はすぐに独立できる職種でもあるためか、彼はよく『人につかわれたくない』と言ってました。卒業後は連絡を取ってなかったので、結婚歴があることも知りませんでした」
女っ気が全くない尖ったナイフのような若者は、30年後にはガールズバーに通い詰める中年になっていた。“店外デート”を断られた男の手には果物ナイフがあった。そして、キレやすさだけは30年前と変わらなかった。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班