対策多く、審査・工事に時間=福島第1原発と同じ「沸騰水型」―女川原発
東北電力女川原発2号機は、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)として初めて再稼働した。
すでに12基が再稼働している加圧水型軽水炉(PWR)と比べ、事故時に放射能を閉じ込める格納容器の容積が小さいことなどから、新規制基準適合に必要な審査項目や対策工事が多く、時間がかかったことなどが一因とされる。
BWRは核燃料で水を直接熱し、蒸気を発生させて発電用タービンを回す。核燃料に触れる水と、蒸気になる水を別系統にしたPWRより構造は単純だが、原子炉圧力容器を納め、放射性物質が外に漏れないように閉じ込める格納容器の容積はPWRに比べ10分の1程度と小さい。
このため、福島第1原発事故のように冷却ができなくなる重大事故の際に、内部の圧力が高まって格納容器が破損し、放射性物質が外に漏れる事態に至るまでの時間的余裕が少ないデメリットが指摘されている。
同事故後の2013年にできた新規制基準に基づく適合性審査では、放射性物質を一定程度低減した上で圧力を外に逃がすフィルター付きベントの即時設置や、「代替循環冷却系」と呼ばれる予備の冷却系統の設置などBWR特有の対策を要求。これらの審査や整備に時間を要し、女川2号機では当初、16年3月に完了予定だった安全対策工事が計7回延期され、8年遅れる結果となった。