「自民党のせいにしている場合ではない」 現役創価学会員が明かす「公明党」大敗の前兆
波乱の衆院選が終わり、結果は与党の“惨敗”。特に自民党は56もの議席を失い、1955年の結党以来、2番目に少ない当選者にとどまった。
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これが政権与党としての「過半数割れ」の要因であることに疑いようはないが、両翼の一端を担う公明党の大敗も、世間に大きな衝撃を与えたところだ。全国紙記者によれば、
「公明党が失った8議席は、一つひとつが大きな意味を持っています。たとえば同党にとって大阪は、『常勝関西』と呼ばれるほどの重要な場所です。それが、長年議席を守ってきた3区、5区、6区、16区のすべてで日本維新の会に敗北。中でも3区は、支持母体である創価学会の中で“聖地”とされる特別な場所ですからね……」
さらに、
「何より、この9月から党代表に就任した石井啓一氏が、埼玉14区で国民民主党候補に負けたのは大きいです。『士気が下がる』として比例代表と重複立候補をしていませんでしたから復活当選もなく、党の代表を辞任する意向を固めました。ある意味、一番の敗者は公明党だといえるかもしれません」
自民党の“裏金問題”に端を発した与党への不信感は、想像以上に大きかったというわけか。
創価学会の内部事情
一方、
「公明党の大敗について、自民党のせいにしている場合ではないでしょう。選挙前の創価学会内部の動きを見ても、議席が減る前兆はあったと思うのです」
そう打ち明けるのは、創価学会のさるベテラン会員である。
「たしかに今回の総選挙も、学会全体としてかなりの力の入れようではありました。石破総理から解散が告げられるよりもだいぶ前から、“10.27”を見据えて各地区で活動は活発に行われていましたしね。教義の学びを深めるために行われる『教学試験』も、台風の接近のため9月から12月まで延期されたのですが、3か月もの延期ですから、『10月の総選挙を見据えたものだろう』と見る会員もいます」
さすがは最強の集票力を有すると称される組織である。今回も万全の選挙態勢が敷かれていた様が垣間見える。
「しかし、かねて指摘されている『組織の弱体化』がより深刻になっているのも事実。“バリ活”と呼ばれる、積極的にF票取り(友人や知人に公明党への投票を依頼すること)に努める層は高齢者ばかりですから、年々機動力は弱まっている。選挙ハガキの発送業務一つとっても、担い手がなかなか集まらない地区も出てきたようで驚きました。それだけ人員が減ってきているということでしょう」
役職者が足りない
何より問題なのは、次世代が育っていないことだという。西日本在住の別の会員が語る。
「2世、3世と若い世代になるほど、生身の池田大作名誉会長を見たこともないし、ネット社会が浸透したことで組織に疑問を持ったりする人も増えてきている。こうして学会員でありながら公明党に投票しない人も出てきている状況です。そんな傾向下で、40〜50代くらいが務めることの多い『地区部長』を、世代交代が進まず70代以上が務め続けるところがあったり、また役職者が足りないことから、地区部長よりも上の『支部長』が、支部だけでなく地区やブロックまで見ないといけなくなっていたり、とにかく人員不足が顕著になってきた印象ですね」
来月には池田大作名誉会長の死去から1年の節目を迎える。
「今年も各地区で、池田先生の名前を使って発破がかけられていましたが、その効力は当然、いつまでも続くものではありません。創価大学が定員割れを起こしていることからも、組織の先細りは明らかでしょう。次の選挙が今から案じられるところです」
こうした組織の高齢化、人員不足などの実態について創価学会広報室に確認してみると、
「憶測による質問は迷惑です」
28日の公明新聞、聖教新聞には、「激戦突破相次ぐ」なる華々しい見出しが紙面を飾っていたが、読者はどう受け止めていたのだろうか。
デイリー新潮編集部