アルファベット、第3四半期業績が予想超え AI投資でクラウド好調
Kenrick Cai Deborah Mary Sophia
[29日 ロイター] - 米グーグルの持ち株会社アルファベットが29日発表した第3・四半期決算(7─9月期)は、売上高・利益とも市場予想を上回った。デジタル広告事業の着実な成長と、人工知能(AI)にけん引されたクラウド事業の35%増収が寄与した。
株価は時間外取引で6%近く上昇。クラウド大手のアマゾン・ドット・コムとマイクロソフトも約1%上昇した。
スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はAIへの投資が検索事業とクラウド事業を通じて「実を結んでいる」と述べた。
第3・四半期の売上高は15%増の882億7000万ドル。LSEGがまとめたアナリストの平均予想は863億ドルだった。
1株当たり利益は2.12ドル。アナリスト予想は1.85ドルだった。
グーグルのクラウドプラットフォームの売上高は35%増の113億5000万ドルと、アナリスト予想の108億6000万ドルを上回り、増収率は8四半期ぶりの高水準となった。
アルファベットの総収益の中で最も大きな割合を占めるデジタル広告の売り上げは658億5000万ドルと、前年同期の596億5000万ドルから約10%増加。ただ、成長ペースは前期から鈍化した。
このうち動画投稿サイト、ユーチューブの広告収入は12%増の89億2000万ドル。ピチャイCEOによると同事業の収益は過去4四半期で500億ドルを超えた。
テックアナリシス・リサーチのプレジデント、ボブ・オドネル氏は「グーグル・クラウドが検索の落ち込みを補って余りある伸びを示したのは、クラウド収益の重要性が高まるとともに、同社が収益基盤を多様化し続けていることを物語っており、素晴らしい四半期だった」と述べた。
AI開発競争で競合マイクロソフトに後れを取っているとみられてきたグーグルは、生成AI「Gemini(ジェミニ)」の強化やAI検索サービスの改善に取り組み、多額の投資を続けている。
アナト・アシュケナージ最高財務責任者(CFO)は決算会見で、アルファベットの来年の設備投資が今年を上回ると述べた。第3・四半期の設備投資は62%増の130億ドルだった。第4・四半期も同様になる見通しという。
グーグルは、生成AIが検索結果を要約して説明する機能「AIオーバービューズ」でも広告を展開している。アナリストによると、利用者はこの新機能が当初から大きく改善されたとみているという。
ただ、CFRAリサーチのシニアエクイティアナリスト、アンジェロ・ジノ氏は、グーグルが今後2─3年の間に広告市場でシェアを失い始めると予想し、「AI主導の市場に移行するにつれ、競争圧力が高まるのは明らかだ」と述べた。