藤川監督のサインが入ったドラフト会場のパスを手に、笑顔でガッツポーズをする日本海L富山・佐野大陽(撮影・西岡正)

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 阪神からドラフト5位指名を受けた佐野大陽内野手(22)=日本海L富山=が29日、富山県高岡市内で宮脇編成ディレクター、畑山統括スカウト、筒井スカウトから指名あいさつを受けた。理想のショート像は球団OBの鳥谷敬氏。名前の由来は「病気にならないこと」から字画を考慮し、「太」から「大」になった。これまでも大きなけがはなく、プロでも鳥谷級の“鉄人”を目指す。

 虎カラーの黄色いネクタイをビシッと締め、佐野は緊張の様子で指名あいさつを終えた。「プロ野球選手になった、指名されたんだなと実感が湧きました」。藤川監督のサイン入りのドラフト入館証も手渡され、満面の笑みを浮かべた。

 佐野大陽。名前の由来がプロでの活躍を予感させた。「字画が病気になるとか、ダメな人間になるみたいで」。太陽ではなく大陽。「『大』の方が大成すると言われたみたいです」。これまでの人生はその名の通り、強く大きく成長してきた。

 小学1年から野球を始めたが、大きな故障はなし。「けがをしても、すぐ治るんですよ」。不思議な力が宿っているのか…。手術も5歳で中耳炎を患った時だけ。骨折や肉離れ、脱臼など、アスリートの“勲章”とは無縁の体の強さだった。

 そんな佐野の憧れが球団OBの鳥谷氏。遊撃手を始めた頃、プレーに魅了された。日本海L富山での背番号1は同氏への憧れから選択。鼻骨骨折でも休むことなく、NPB歴代2位の1939試合連続出場という大記録を持つレジェンドを目標に掲げた。

 「何試合も連続で出場されている。僕もタフな体をこれから身につけて、打撃も守備もチームを代表する選手になれるように、鳥谷さんみたいになれるように頑張ります」

 球団は近い将来のレギュラー候補として期待している。技術だけではなく、メンタル面も評価ポイントの一つ。筒井スカウトは中野の性格と重ねながら、「何を言っても『やります』、『やれます』というタイプ。ポジティブにアグレッシブにいける選手」と気持ちの強さに太鼓判を押した。

 まだまだ成長途上。実戦で力を発揮できるという前評判もある。「独立リーグに所属している選手に夢を与えられるように」と佐野。目標も大きい。「まずは名前を覚えてもらえるようにしたいです」。大陽の心は熱く燃えている。

 【佐野大陽(さのたいよう)アラカルト】

 ◆生まれ 2002年2月14日、22歳。静岡県富士宮市出身

 ◆家族構成 父、母。5人兄弟の長男。弟が2人、妹が2人

 ◆サイズ 178センチ、81キロ

 ◆血液型 A

 ◆投打 右投げ右打ち、内野手

 ◆球歴 小学1年から富士宮リトルイーストで野球を始める。常葉大橘では高校3年時に正捕手の故障で捕手を務めた。中部大を経て、24年から日本海L富山に入団。1年目で最高出塁率(.464)のタイトルを獲得

 ◆好きなこと 料理。オムライスは「トントンって卵も包めます」。チンジャオロースー、回鍋肉も得意メニュー

 ◆対戦したい投手 DeNAの松本凌。大学が同じリーグでライバル関係