ファイザー、第3四半期売上高・利益が予想上回る コロナ治療薬が寄与

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[29日 ロイター] - 米製薬大手ファイザーが29日発表した第3・四半期決算は、売上高が市場予想を上回った。調整後1株利益も1.06ドルと、アナリスト予想の0.62ドルを上回った。新型コロナウイルス感染症の治療薬「パクスロビド」の売り上げ急増が寄与した。

総売上高は177億ドル。市場予想は149億6000万ドルだった。    

「パクスロビド」の売り上げは27億ドルと、アナリスト予想の4億5640万ドルを大きく上回った。同四半期中のコロナ感染率の上昇が影響した。

ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」の売上高は14億2000万ドル。LSEGがまとめた予想は合計8億7000万ドルだった。    

第3・四半期の決算を受けて、「パクスロビド」と「コミナティ」の年間売上高見通しを従来の85億ドルから105億ドルに引き上げた。

通年の1株利益は2.75─2.95ドルになるとし、下限と上限を共に0.30ドル引き上げた。

アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は電話会見で、アクティビスト(物言う投資家)のヘッジファンド、米スターボード・バリューによる経営陣批判について初めて公の場でコメントし、コスト削減や幹部の入れ替えなど構造改革を進めてきたと強調。

「株主の総リターンを改善する必要があるという(スターボードの)見解には同意するが、事業展開で資金を無駄遣いしたという主張は全くわれわれの認識と異なる」とインタビューで述べ、最近実施した買収は「変革をもたらすものだと考えている」と語った。

スターボードは、ファイザーが研究開発や買収を通じて収益性の高い新薬を出せているかについて懐疑的な見方を示し、経営陣が業績の相対的不振の責任を取るべきと主張してきた。

株価はこの日の取引を1.4%安で終了した。

ファイザー株を保有するアプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、デーブ・ワグナー氏は、同社が製品ラインアップを絞り、供給網などでさらにコストを削減することを望むと語った。

「まだやるべきことが多いため、スターボードからの圧力は全く弱まらないだろう」と予想した。