サウジ政府系ファンド、海外投資比率20%に削減へ 国内にシフト
Hadeel Al Sayegh Iain Withers Anousha Sakoui
[リヤド/ロンドン 29日 ロイター] - サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)のヤシル・ルマイヤン総裁は29日、投資全体に占める海外投資の割合を30%から18─20%へ3分の1程度削減し、国内の事業計画に重点を置く計画であると明らかにした。この日リヤドで開幕した未来投資イニシアチブ(FII)サミットのパネル討論で述べた。
PIFは、石油収入に依存するサウジ経済の多角化を図るムハンマド皇太子の方針のもと、新分野の開拓やより持続可能な収入源確保に向け数千億ドル規模の投資を行っている。
ルマイヤン氏は、ファンドの投資が、国際企業や地元企業との合弁事業設立への投資にシフトしていると述べた。「現在は、私たちに投資してほしいという要望から、共同投資へシフトしている」と語った。
サウジのハリド・ファリハ投資担当相は、同国に地域本部を置く外資企業の数が2030年目標の500社を上回り540社に達したと述べた。一例としてみずほ銀行が挙げられる。同行の加藤勝彦頭取はリヤドの金融地区に地域本部を設立すると述べた。
29日のパネル討論には、モデルナのステファン・バンセルCEO、ブラックロックのラリー・フィンクCEO、ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンCEO、アルファベットのルース・ポラット最高投資責任者(CIO)らが参加。大半の経営者が人工知能(AI)の可能性について語った。
続いて講演した経済学者ジェフリー・サックス氏(米コロンビア大学)は、パネル討論で話題に上らなかった中東紛争に言及し、「戦争にAIは必要ない。戦争を止めるために人間の知能が必要なのだ」と指摘。「高精度の武器は必要ない、交渉が必要だ」と主張した。イスラエルと米国がパレスチナの独立国家樹立を妨害しているとし「(パレスチナ国家が)できるまで、この地域に平和は訪れないだろう」と語った。
イーロン・マスク氏もビデオリンク形式で会議に参加し、人口減少や「最大限の真実追求」を目的とした人工知能(AI)の必要性などについて語った。
マスク氏は40年までに2万─2万5000ドルの価格のヒューマノイドロボットが数十億台存在するようになると予想。こうした開発の動きによりテスラの評価額が何倍にも高まる可能性があると指摘した。