9月の愛チャンピオンSでAオブライエン調教師と握手をかわす矢作調教師(右、本人提供)

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◆第41回ブリーダーズカップクラシック・G1(現地時間11月2日、米国デルマー競馬場・ダート2000メートル)

 刺激的な戦いが続く。矢作調教師がフォーエバーヤング(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎、父リアルスティール)を送り出す大一番には、シンエンペラー(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎、父シユーニ)の愛チャンピオンS、凱旋門賞と同じく、対戦相手にAオブライエン調教師の名前がある。特に今回は英ダービー、エクリプスS、インターナショナルSと芝G1・3連勝中のジャスティファイ産駒、シティオブトロイをダートへ初投入という大胆な戦略に打って出た。

 「エイダンにとってのBCクラシックは日本人にとっての凱旋門賞なのかな、と強く感じているけどね。ただ、(米3冠馬の)ジャスティファイ産駒だから当然、俺でもそれは考えると思う」。

 矢作師は特に「当然」という言葉に力を込め、笑った。20年には2年前の安田記念を勝っていたモズアスコットをダート路線に切り替え、根岸SとフェブラリーSを連勝させた。また、22年には日本で1度しかダートを走っていなかったパンサラッサでサウジCを勝った。常に斬新な思考回路を張り巡らせ、チャレンジを続ける矢作師にとって、決して驚くような選択ではなかった。

 しかし、300頭近い馬を管理し、次々と各国のビッグレースへ送り出す「すごさ」は十分すぎるほど分かっている。

 「あれだけ多くの馬をマネジメントしているというのはね。うらやましくもあるけど、ある意味、あれだけの駒を持てば持つだけの難しさがあると思う。俺はもっと(馬房数を)欲しいと言っているけど、これ(28馬房)だけでも一杯一杯のマネジメントをしているのに、その辺の能力はすごい。一頭一頭のこともよく分かっている」。

 愛チャンピオンSのパドックでは軽い会話をかわし、「いつも帽子いいね」と声をかけられたという。そんな2人がまだ手にしていない勝利を渇望するダート最高峰の舞台。熱い戦いがもうすぐ始まる。(山本 武志)