ファーウェイが新たなハーモニーOS発表、「自らが全てを仕切る」が可能に―中国メディア
中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は22日、モバイル用の基本ソフト(OS)である「ハーモニーOS ネクスト 5.0)」の発表会を開催した。中国初の国産モバイル用OSで、アップルのiOSとアンドロイドに次いで世界第3位のモバイル用OSの地位を得ることになる。多くの中国メディアがこの話題を紹介した。
説明によると、これまでに発表されたハーモニーOSは、基盤部分の一部にグーグルが提供するオープンソースのAOSPを使用していたために、アンドロイド用アプリケーションソフトとの互換性を維持せざるを得なかった。「ハーモニーOS ネクスト」は全てを自習開発したことで、「すべてを自らが仕切る」ことが可能になった。発表を担当した同社端末ビジネスグループの責任者を務める同社の余承東常務取締役は、「ハーモニーOS ネクスト」の開発について、海外でのOS開発では10年以上かかった道のりを、1年間で歩み切ったと説明した。
「ハーモニーOS ネクスト」上で作動するアプリケーションとサービスは1万5000種以上がリリースされ、業務用アプリケーションの中には中国全国の18業界の3800万社以上が利用しているものもある。余乗務取締役によると、ハーモニーOSシリーズを登載したデバイスはこれまでに10億台を突破した。
余乗務取締役はさらに、「ハーモニーOS ネクスト 5.0では性能が全面的に飛躍的に向上した。操作のスムーズさは30%以上向上し、携帯電話のバッテリーの持続時間も1時間近く伸びた」と説明。開発チームには毎年20%から30%の性能向上を実現するように求めているという。
専門家によると、OSを構築するには必ず、技術上の土台部分が必要だ。これまで開発されたモバイル用OSは、ユニックス(Unix)あるいはリナックス(Linux)を技術上の土台にしていた。しかし「ハーモニーOS ネクスト」は土台部分から自主開発した。
中国科学院情報工学研究所の徐震研究員は、「自主性があれば、安全性を有効に確保することができる。土台部分が自分のものでなければ、安全確保の必要があっても、(土台部分について権利を持つ)人が同意しないと不可能だ」と説明。自分自身ですべてを「仕切る」ことができてこそ、ユーザーデータやネットワーク接続を非常に良好に保護するための設計が可能になるという。
自主OSを世に出すもう一つの難しさは、研究開発に成功したとしても、ソフトウェア開発者がそれまでに存在したOS向けの製品だけを作っていたのでは、ユーザーは新開発のOSには「使い勝手が悪い」として背を向けることだ。すなわち、ファーウェイがOSの自主開発に取り組んだ背景には、中国における業界の全面的な発展がある。
ファーウェイは22日、「ハーモニーOS ネクスト 5.0」を使用するスマートフォンの「ノバ13(nova)13シリーズの発表も行った。価格はnova 13が2699元(約5万7700円)からで、Proバージョンは3699元(約7万9100円)からだ。(翻訳・編集/如月隼人)