NEXCO東日本が進める次世代高速道路の実現に向けた実証実験(写真は多機能ポールの設置イメージ)

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道路の地中に送電コイルを埋設

「高速道路という国民の共有財産を時代の変化に合わせて進化させていくことが我々に課されたミッションだ」─。こう語るのは東日本高速道路(NEXCO東日本)の技術者だ。

 同社が2021年に打ち出していた次世代高速道路づくりが実証実験へと動き出している。「moVisionプロジェクト」と呼ぶ同社の構想には具体的に、走行位置に応じた行き先方向の道路交通状況を配信する「次世代ハイウェイラジオ」、カメラなどを活用し、高速道路の状態を常に監視する「リアルタイム全線監視」、ワイヤレス給電などを整備する「次世代燃料供給設備」など31項目が並ぶ。

 その中で26年度から東北自動車道の鹿沼インターチェンジ(IC)から宇都宮IC間で実証実験が行われるのがリアルタイム全線監視。遠赤外線カメラなどを搭載した多機能ポールを約300メートル間隔で設置。高速道路上の事故や落下物などの道路情報を面的かつリアルタイムで収集し、画像解析AIにより自動検知する。これによって「自動運転車に搭載される車載カメラでは捉えられない前方の情報の検知が可能になる」(同)。

 さらに電動化にも対応。道路の下に送電コイルを埋め込み、非接触で電気自動車に充電する構想も進む。25年度には停止時における非接触給電実験を行い、29年度には高速道路本線での走行中給電の実験を目指す。類似の取り組みは中日本高速道路も行っているようだ。

 ただ、「各社で開発した技術を俎上に載せ、最も適切な技術を全社で共通化させることで合意している」(同)という。

 地球環境を考える上でCO2削減などは避けて通れない。インフラ整備でも工夫が求められる。

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