2024年「全国社長の出身大学」調査

 2024年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,974人で14年連続トップを守ったが、調査を開始以来、初めて2万人を下回った。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学で、上位10位まで変動はなかった。
 都道府県別では、日本大学が最多の14都県でトップを占めたが、前年より2県減少した。複数の都道府県でトップは、日本大学、近畿大学、福岡大学の3校だった。
 また、2024年に業歴100年超の『老舗企業』の出身大学は、日本大学が1,194人でトップだった。しかし、2位の慶応義塾大学が僅差で迫り、老舗企業の跡取りの出身大学に変化の兆しがみえる。

 国立大学は、東京大学が4,454人で唯一、上位10校入りを維持した。このほか、一橋大学が2年連続で増収、増益など業績が好調企業の社長出身大学トップを独占した。
 都道府県別では、西日本で日本大学がトップを占める県が初めてゼロとなった。西日本は地元国立大学のほか、同エリア内の有力私立大学が存在感を増している。
 日本大学は卒業生が日本一のマンモス校で出身社長が多く、上位3位以内には35都道県で入る。ただ、社長の出身大学は国立大学や他私大の勢力が強まっており、今後の変化が注目される。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、代表者データ(個人企業を含む)で公開された出身大学を抽出、集計した。同一人物が複数の企業で社長を務める場合、売上高の上位1社を集計対象とした。集計対象外となった企業は31万8,973社。
※ 出身大学が校名変更、統合した場合、存続大学で集計した。本調査は2010年に開始し、今回が14回目。


日本大学が14年連続トップも初の2万人割れ

 社長の出身大学は、日本大学が14年連続でトップを守った。だが、社長数は1万9,974人(前年2万248人)と調査を開始以来、初めて2万人を下回った。2位は慶応義塾大学の1万737人、3位は早稲田大学が1万582人で、2位の慶応義塾大学に僅差で迫る。上位3校が1万人を超えた。
 4位以下は、明治大学8,071人、中央大学7,356人、法政大学5,948人と“MARCH”の3校が並ぶ。次いで、東海大学、近畿大学、同志社大学、東京大学が続き、上位10校の順位に変動はなかった。
 11〜20位には、“MARCH”から青山学院大学と立教大学、西の“関関同立”から関西大学、立命館大学、関西学院大学が入った。関東、関西以外の地方からは、福岡大学が16位、愛知学院大学が18位に入った。ランクアップは国公立大学9校、私立大12校で、ほとんど差はなかった。

 国公立大学では、東京大学4,454人が6年連続で10位入り。次いで、京都大学が2,652人で19位を維持した。このほか、22位に大阪大学、23位に北海道大学、26位に九州大学、29位に神戸大学、30位に東北大学と、旧帝大を中心に7校が上位30校に入った。
 なお、東京医科歯科大学(1,175人)と東京工業大学(815人)は統合して10月1日、「東京科学大学」が誕生した。同大学の出身社長数は合計1,990人で、東北大学を上回り30位に入る。(ただし、本集計の時点では個別に集計)

業績別 売上・利益ともに一橋大出身社長の企業が2年連続でトップを独占

 出身社長数の上位100校を対象に、経営する企業の直近2期の売上高と当期利益を比較し、出身社長数全体のうち、『増収』、『増益』、『増収増益』の3部門で社長数の割合を算出した。
 その結果、増収企業・増益企業・増収増益企業の3部門で、一橋大学出身社長が前年に続いてトップを独占した。前身は東京商科大学で、日本最初のビジネススクールといえる「商法講習所」を源流に持つ。経済分野におけるリーダー育成の理念を受け継ぎ、多くの著名財界人を輩出してきた。出身社長の堅実な経営ぶりをうかがわせる。
 このほか、増収企業は東京大学と神戸大学が続き、国公立大学が上位20校のうち14校を占めた。一方、増益企業では6校、増収増益企業では8校にとどまり、利益面では私立大学が健闘をみせた。

※ 2023年1月期以降を最新期とし、2期連続で売上高と当期利益が判明した企業を対象に算出した。

老舗企業も日本大学出身が最多、慶応義塾大学が僅差で2位

 2024年に創業100年を超える企業は全国で4万5,189社あり、判明した社長出身大学のトップは日本大学の1,194人だった。次いで、慶応義塾大学1,112人が僅差で続く。慶応義塾大学は1858年創立の名門私立大学で、老舗企業の子女に人気があるようだ。
 このほか、東京を中心に歴史のある私立大学が上位10校を占めた。上位の私立大学では付属中学や高校からの進学組も多く、老舗企業の跡取りが集まる傾向も見えてくる。一方、上位20校に入った国立大学は、12位の東京大学、20位の京都大学の2校にとどまった。

都道府県別 日本大学が東日本の14都県でトップ、前年から1県減少

 都道府県別では、東日本の21都道県のうち、14都県で日本大学がトップを占めた。しかし、岐阜県で地元国立大学の岐阜大学に1位を譲り、前年調査から1県減少した。ただし、依然として宮城県と愛知県を除いた19都道県で3位までに入った。卒業生が126万人(出典:同校ホームページ)を超えて日本一を誇り、全国で社長を輩出している。また、東日本に所在する23校の付属高校から進学した経営者の子女による事業承継が、各県での上位入りを後押しした。
 このほか、明治大学が関東を中心に6県で3位以内に入り、早稲田大学も5県で3位以内に入った。
 一方、北海道、新潟県、岐阜県、三重県では地元の国立大学が、岩手県、宮城県、愛知県では地元の私立大学がそれぞれトップを守った。

西日本では日本大学トップはゼロ、16県で地元国立大学がトップ

 西日本の26府県では、宮崎県で順位変動があり、日本大学出身の社長がトップの県はゼロとなった。しかし、上位3校以内には16県で入り、西日本でも存在感を保っている。
 西日本は26府県すべてで、県内あるいは同じ地域の大学がトップを占めた。このうち、16県で地元の国立大学がトップだった。一方、私立大学が多く所在する近畿は、2府4県すべて私立大学がトップを占めた。近畿大学は大阪府、奈良県、和歌山県でトップだった。近畿大学は西日本の6府県で3位以内に入り、卒業生が55万人を超える(出典:同校ホームページ)マンモス校だが、近畿と四国に偏った傾向がみえる。
 九州では福岡大学が、福岡県と佐賀県でトップを占めた。複数の都道府県でトップに立ったのは、全国で日本大学と近畿大学、福岡大学の3校だけだった。