手を組んだ自動車世界1位のトヨタと3位の現代自動車トップ、モータースポーツで協力始動
27日午後、京畿道竜仁(キョンギド・ヨンインシ)エバーランド・スピードウェイ。トヨタ「ヤリスWRC」のエンジン音がサーキットを囲む山にこだました。速度を上げた車は突然ドリフトして360度回転した。轟音とともにタイヤとアスファルトの摩擦で起きた煙が周りに広がった。観覧客の間から拍手がわき起こった。
約3分間のドリフト妙技を見せた車は客席近くのステージに上がった。しばらくして運転席から出てきたのはトヨタ自動車の豊田章男会長、助手席から降りたのは現代(ヒョンデ)自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長だった。「モリゾウ」というニックネームで各種レーシング大会に出場してきた豊田会長はこの日韓国で直接本人の実力を見せつけた。世界自動車販売台数1位のトヨタと3位の現代自動車グループのトップが27日に竜仁で会った。この日開かれた現代自動車とトヨタのコラボレーションイベントでのことだ。これまで非公開で交流してきた2人が公式に出会いを外部に公開したのは今回が初めてだ。
この日鄭会長は「今年初めに豊田会長と会った席で提案を受けて設けた行事」とレーシングフェスティバルを共同開催した契機を紹介した。豊田会長も、提案から10カ月で立派なイベントができ驚いているとしながら、現代自動車と組んで今後重要な未来を議論したいとの考えを示した。
今回のイベントについて現代自動車グループが明らかにした公式的な趣旨は「モータースポーツ活性化協力」だ。だが自動車業界では2人の会長の協力がモータースポーツに限定されるものではないだろうとの見方が出ている。今回の訪韓で3日間ソウルに滞在した豊田会長が現代自動車グループと未来自動車の研究開発方向と世界的モビリティ産業の流れについて幅広く議論したとみられる。現代自動車グループとトヨタは世界の水素産業の最高経営責任者(CEO)協議体である水素協議会の創立メンバー企業として水素燃料電池関連協力を摸索中だと伝えられている。
電気自動車の需要停滞と中国製電気自動車の浮上に対する悩みも両会長はともにしている。現代自動車グループは1〜7月販売台数基準で電気自動車世界7位だが需要停滞への対応策としてハイブリッドカーの生産拡大計画を明らかにした状態だ。
今年初めに「電気自動車のシェアは最大30%程度にとどまるだろう」と予想した豊田会長だが、彼にも電気自動車は無視することはできない市場だ。ただ現代自動車グループとトヨタはモータースポーツ行事以外に豊田会長の訪韓期間中の日程や両社の交流に対しては一切口を閉ざしている。
この日のイベント会場にはサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長も訪問した。李会長としてはサムスン物産が運営する事業所を訪れた豊田会長、鄭会長と自動車電装事業の協力を話し合ったとの見方も出ている。エバーランド・スピードウェイは李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン先代会長の指示により1995年にサムスン物産が作った韓国初の自動車競技場だ。このためサムスン電子と現代自動車などでは「サムスンの歴史に意味ある所で過去最大規模水準の行事が開かれたので李会長が直接訪問したようだ」という解釈も出ている。ハンコックタイヤを傘下に持つハンコック&カンパニーグループの趙顕範(チョ・ヒョンボム)会長も会場をサプライズ訪問した姿が見られた。韓国主要大企業オーナーのサプライズ訪問にもイベント自体はモータースポーツイベントという趣旨を強調する様子だった。