神宮大会出場を決めスタンドに向かってガッツポーズする富士大・佐藤

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 「明治神宮大会東北地区代表決定戦・決勝、富士大2−1仙台大」(27日、ヨークいわきスタジアム)

 広島からドラフト2位指名を受けた佐藤柳之介投手(21)=富士大=が27日、明治神宮大会(11月20日開幕)の出場権を懸けた「東北地区大学代表決定戦」で仙台大との決勝に先発した。指名後初登板は、4四球と本調子ではないながらも5回3安打1失点、6奪三振の粘投。同4位の渡辺悠斗内野手(22)が勝ち越し決勝打を放ち、2年連続6度目となる神宮切符をつかんだ。

 秋晴れの下、マウンド上にできた歓喜の輪の中でほおを緩めた。粘りに粘ってつかんだ2年連続の神宮切符。ナインとハグを交わしながら、佐藤は喜びをかみしめた。

 「正直、あまり納得はできない。エースの自覚を持ってしっかり投げなきゃいけない試合だったんですけど、自分の投球と程遠い内容でした」

 ドラフト指名後初登板は苦しみながらの投球となった。初回には四球が絡み2安打を浴びて先制点を献上。序盤3回は毎回得点圏に走者を背負った。それでも、要所を締めて2点目は与えず。尻上がりに調子を上げて5回3安打1失点と試合をつくり「チームが勝てたことは、すごいうれしい」と胸をなで下ろした。

 ドラフト選手の肩書を背負って臨んだマウンドだが、「そこまで意識はありませんでした」ときっぱり。「この悔しさを持って、神宮では良い投球をしたい」。学生野球の集大成となる大舞台ではエースの矜持(きょうじ)を示すつもりだ。

 理想とする姿がある。広島で印象的な投手として、大瀬良の名前を挙げた左腕。「人柄がすごく良いなと。家族思いなところ、グラブを投げないとか、野球人として当たり前のことを当たり前にやっている方。1年目から投げていてカープを代表する方だと思う」と尊敬のまなざしを向けた。自身も「応援される選手になりたい。私生活から野球につなげていければ」とグラウンド内外で愛される選手を目指す。

 試合を見守った担当の近藤スカウトも期待を寄せる。「球持ちの良さや左打者にもチェンジアップを投げられる」と改めて魅力を説明。「先発ローテーションに入ってほしい。力は十分ある」とうなずいた。

 神宮大会まで約3週間。佐藤は「変化球の精度や、直球の出力を出していきたい。自分はゾーンで勝負する投手なので、初回から強さを出していけるよう、詰めていきたい」と最後まで成長を続けるつもりだ。決勝まで進めば、昨秋の準決勝で敗れた青学大と激突し、ドラフト1位の佐々木と対戦する可能性も。「自分が投げ切るつもりで、まず去年のベスト4の壁を破りたい」。笑顔でプロの世界へ飛び込むため、初の神宮制覇を置き土産とする。

 ◇佐藤柳之介(さとう・りゅうのすけ)2002年11月1日生まれ。21歳。宮城県出身。179センチ、86キロ。左投げ左打ち。投手。小学校時代に塩釜ドラゴンズで野球を始め、中学時代は七ケ浜シニアでプレー。東陵高では1年秋からベンチ入り。富士大では1年春からリーグ戦に登板。これまで4度の全国大会を経験。最速は148キロ。自信のある変化球はカーブ。趣味は音楽、マンガ。好きな俳優は永野芽郁。